GWに読書「対人支援の実務で使える対話力」

GWに読書「対人支援の実務で使える対話力」

ここ最近、本業で追い込まれていたこともあって、なかなかアウトプットする元気がなかったのですが、GWに合わせてアウトプットしようと思いまして……

ということで、初日は最近読んだ書籍の中で一番、付箋を貼って読み返した一冊『対人支援の実務で使える対話力』(毛利元貞 著/並木書房)をご紹介します。

著者は対話型キャリア支援コーチの毛利元貞さん。警察政策学会に所属し、警察での研修などにも携われたことがあるハードな現場での「対話」のプロです。
本書では司法や行政の現場で「動かせない枠」を抱えて対話に臨まなければいけない現場の職員に向けた「対話力」の実践的なアドバイスが書かれています。
私は生活保護の現場に長くいた(そして今もいる)こともあり、この「動かせない枠」の制約の為に苦しい面接を何度も行ってきました。
「交渉力」が必要と考え、実践的なテクニックを求めて面接術に関する書籍を読んだり、福祉現場には共感力が必要と各種の理論を学んだりしました。しかし、現場での実践であまりしっくりすることがなく、自身の感覚で乗り切ってきたような気がします。
この書籍は、私が曖昧な感覚で乗り切っていた面接に必要な「対話力」を整理・整頓させてくれました。本書を私と同じような福祉現場など対人支援の現場で働く皆さんにに少しだけ抜粋してお伝えします。

 「動かせない枠」を動かそうとしない

福祉現場では「共感」や「傾聴」といった言葉に基づく対応が求められます。
時には、それが過剰に強調された結果「動かせない枠」を「動かす」のか「守る」のかという判断に迫られることも少なくありません。
悪い言葉で言えば、行政職員が「動かせない枠」を抱えているのを分かってそれを犯しに来る、そんな相談者の対応に疲弊しています。
本書では「共感」を相手の考えを理解する知的理解と相手の気持ちに寄り添う情緒的理解に分けて、そのバランスを保つことを助言しています。
そして、こちらに法律や制度の「動かせない枠」があるのと同様に、相手にも「動かせない枠」があることを理解し、「動かせる枠」の中で相手に決めさせる「対話」の手法を紹介しています。
単に「相手の気持ちに寄り添って」と説明されていた職員にとって、「動かせない枠」をどう扱うかを学ぶことが非常に意味があります。

相手の「性格」ではなく「状態」を見て対話する

第3章では「タイプ別の対話術」として、対話の中で現れる相手の状態に合わせた対話法が紹介されています。
攻撃・反発タイプ、理屈・論破タイプ、感情優位タイプ、協力的に見えるタイプの4つに分類し、それぞれが対話の中でどういった状態にあり、どういった発言をするのかを紹介しています。それぞれのタイプには対話を前に進ませるためのコツがあり、それをシンプルにまとめています。
私は若手のケースワーカーに「カード(手法)をもっとたくさん持ちなさい」と言っていますが、声のトーンや高低、大きさ、仕草や目線、色々なことを使い分ける、単に先輩の真似するのではなく、「カードの切り方」を技術として伝えてくださっているのは本当にありがたいことです。


自分自身の面接時のクセや苦手とする会話タイプを明らかにして「対話力」を向上させることは、相談・援助業務についている職員にとっては必要なことだと思います。
私自身、相談・援助の場での面接は得意な方ではなく、長く経験するなかで得たテクニックをこねくり回してなんとかこなしているというのが正直な所です。本書はそのこねくり回したテクニックを整理・整頓し、現場にフィードバックできそうな良著でした。
第4章で語られている「対話ノート」を、いわゆるミーティングノートのテンプレートのように落とし込めれば、実践の場でも再現性のある助言ができそうです。現場で役立てていきたいと思います。

私がこの記事を書いたよ!

があ

があ 男性

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

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