- 2012年3月11日
辻調グループフェスティバル2012に行ったらもの凄く面白かった件……と、考えさせられたこと。
義妹から妻が情報を得て、"料理界の東大"をキャッチフレーズにしている辻調グループのイベント「辻調グループフェスティバ……
私が参加しているHOLG「地方公務員オンラインサロン」で、業務の引き継ぎについての講演がありました。
登壇したのは山形県庁の山本泰弘さん。人事異動により業務を公認に引き継ぐ際の「引継書」のテンプレートを県の有志グループで製作しました。
このテンプレートがまた良くできているのですが、都道府県と市区町村、そして私がいるような政令市の中の行政区ではやっぱり使い勝手が違うので、私が普段から作っている資料に、このテンプレートの要素を組み込んで使っていることを話したら、それも見たいと参加者からのお声がありました。
こういうことは熱があるうちにやらないと、というわけで、今回は私の業務引継ぎ法と引継書の話をば。
と、その前に、今回の記事の元になった山形県の「引継書テンプレート」のご紹介から。
私たち公務員は数年に1度、ほぼ転職のような人事異動があります。しかも多くの自治体では十分な業務引継ぎをする時間など用意はされません。異動する先でも、異動する元でもそれは一緒で、仕事の引継ぎ時間が持てたとしても1回限り数時間。当たり前ですが、数年間してきた仕事をそんな短時間で説明することはできません。
そこで「引継書」といった書類を作成して、「後はこれ読んで頑張ってください」というようなめちゃくちゃ雑な引継ぎが行われます。
「引継書」様式が用意されている自治体もあるにはあるんですが、その大半が実務に即したものではないのが現状。結果、これまた作る人の技量に丸投げという事態になります。
山形県庁有志グループが作成した「引継書テンプレート」は、そんな「引継書」を標準化しようという試みです。
主な特徴は次のとおり
といったところ。
入力する項目が結構あるので、異動が決まってから作るのではなく、普段の業務をこなしながら随時更新していき、担当者が変わってもこれを修正・追記していく使い方が良いと思われます。
ちなみに山本さんは、4月に異動してきて仕事に慣れ始める8月を「引継書作成月間」にしてはどうかと提案しています。
このテンプレートは山形県のホームページからダウンロードが可能なので、興味のある方は一度触ってみることをおすすめします。
さて、ではここからはカスタマイズ版の引継ぎテンプレートについてのお話です。
実際に山形県の「引継書テンプレート」をダウンロードしてみて、自身の職場で引継書を作ってはみたのですが、このままでは巧く使いこなせそうにないなと思いました。
テンプレートが悪いのではなく、次のような理由で自分とは相性が悪いと印象です。
府県や大阪市であれば市役所の各局で働いている人に向いたテンプレートだなあと思います。事業の全体像を知って、予算から事業実施までを一手に担当する。私の勤める区役所は、そういった事業を実際に「回す」のが主な業務。
そういった職場で有効なのは、事業全体を知る引継書ではなく、事業を回すための手順書・マニュアルのような部分が手厚いもの。そんなテンプレートを作ろうと思います。
ここで紹介するテンプレートは、対面で後任者に説明する際の資料として使う「引継ぎノート」と、実際の業務の各場面で参照してもらう「手順書テンプレート」の2種構成。
職場の環境では、共有フォルダの第1階層に各事業のフォルダがあり、第2階層にマニュアルなどを入れるフォルダを作成しています。
引継ぎ時に業務の細々としたことを話すのは非効率かつ伝わらないと思うので、引継ぎに使うのは「引継ぎノート」のみ。「手順書」は各事業のフォルダに保管しておいて、実際に事業を行うときに見るようにしていただくという形です。
まずは「引継ぎノート」から。引き継ぐ事業(事項)をシンプルに伝えるためのテンプレートにしています。 A4判・縦、マージンは上下左右とも20mmと紙で印刷してファイルに綴じる時にも文字が切れたりしないように配慮しています。 フォントはWindows標準の「BIZ UDPゴシック」で統一しておりデジタル環境で見ても、印刷したものを見ても読みやすい作りです。
それぞれの項目はスタイルとして登録してあるので、ポチポチとスタイルを選んでいくだけで統一したデザインで作成することができます。見出しをふれば[表示]>[ナビゲーションウィンドウ]で、各見出しへのリンクが表示されるので便利です。
急な異動などでも、最低限この「引継ぎノート」だけを作って引き継ぎたいところです。
「手順書テンプレート」は、その名のとおり、個々の事業や作業についての具体的な手順を書いておく手順書のテンプレートです。
「引継ぎノート」が引継ぎ時でも作成が間に合いますが、手順書は気がついたときに更新しておき、引継ぎ時には「それぞれの細かな手順とかは、各事業フォルダにデータで残してあります」と渡します。
「引継ぎノート」と同じような形でスタイル設定しているので、見出しをつけ構造化することで、デジタル環境でも情報を引き出しやすい手順書・マニュアルになります。
要綱や要領、手引き書といったものが作成されていたとしても、現場での事務では使いづらいということは良くあります。
「手順書テンプレート」で作成するのは、個々の現場実態に合わせたカスタマイズマニュアルです。このテンプレートではよく使うと思われる項目をブロックにして作成しています。
①関係者一覧
他課など関係する連絡先を一覧にして書いておきます。連絡先はメールアドレスでも構いませんが、私は氏名にメールアドレスをリンクしています。
以前の担当者に質問したいときがあるので、これは山形県のテンプレートからパクらせていただきました。
②資料保管場所・パスワード
この事業に関係する資料(データ・簿冊など)がどこにあるかを記載します。
資料にどこにあるのか、鍵が必要な書架などであればどの鍵で解錠できるかなどを書いておくといざと言うときに探しやすくなります。
システム管理している場合はIDやパスワードも書いておくと便利ですが、セキュリティには注意しましょう。
③業務スケジュール
年間スケジュールはガントチャートではなく表で。4月~3月までのどの時期に何をするのかに加えて、毎日する「日次処理」、毎月特定の時期にする「月次処理」、次年度以降の計画を書いておく「次年度以降」の欄を用意しています。
また、懸案事項、注意事項は表の下に注記できるように枠を用意しています。
④手順書
作業などの手順を各ブロックについては、「引継ぎノート」と同様にスタイルを適用して自由に作成できるようにしています。
箇条書きで手順が分かるようにしたり、システムの操作であれば画面のキャプチャを入れるなど、具体的に何をすれば良いのかという基準で手順書を作成してください。
⑤その他
山形県のテンプレートにあるように、用語集やQ&Aを加えたり、手順をフローチャートで作成する方法もあります。
どんな用途にもカスタマイズできるシンプルなテンプレートになっていますので、それぞれの職場にあった形でご活用頂ければ幸いです。
また、こんな項目があれば便利なのではというような提案があれば嬉しいです。
[…] https://utatane.asia/blog/2024/13690/ →個々人の引継ぎスキルに左右されない、仕組化の参考になります。 […]