ガリレオこと物理学者・湯川学を探偵役にしたガリレオシリーズの8冊目の短編集。
福山雅治さんのTVドラマ版が有名で、第2シリーズの放送(2013年4~6月)に先駆けて書き下ろしされた作品。最近はハードカバーはなかなか買わないので、ついつい先延ばしにしている内にドラマが始まってしまって読まずしまいになってしまっていました。
透視す トリックは単純なほど騙されやすい。科学の世界でも同じだ
曲球る あなたがいう抵抗は立派な努力に見えます。努力することに無駄はない
念波る 運命なんてものは信じない。サンタクロース以上に
猛射つ 私は君にそんなことをさせたくて科学を教えたんじゃない
ガリレオシリーズは小説とTVドラマ版で設定が異なるので、ドラマを見ている人でも楽しめるのが良いところ。
ですが、ドラマで放送された「曲球る」「念波る」の2作よりも、この短編集では「猛射つ」が秀逸。
帝都大学の湯川を訪れた伸吾の元に届いた姉の凶報。その後、伸吾は大学をやめ、足跡が掴めなくなる。
別の事件の容疑者として浮上した伸吾の姉の死に大物代議士が関わっていることを掴んだ草薙と内海は、湯川に事件の相談にやってくるが……
「彼が事件に関係している可能性は百パーセントないと断言できる。」
レールガンの技術を教えた湯川が、出身校の後輩の伸吾に事件の現場で接した時に告げる言葉が凄い。科学者、研究者としての矜持が詰まった言葉で、なんでこれをドラマにしなかったかなぁと思うくらい……あ、レールガンを作るのが難しかったのかな。
個人的には「容疑者Xの献身」「真夏の方程式」の次に好きな作品になりました。
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