- 2024年10月31日
(良い意味で)ヤバい公務員集合「地方公務員アワード2024授賞式」
10月13日、東京の大崎ブライトホールで開催された「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2024」(地方公……
本日、ワタクシ、まちづくり局長を任命されました。
いやいや、もちろん勤務先での役職ではなくて、「えふ市」での話。
兵庫県庁の有志が2011年から続けておられる”ゲストから話を聞いたり、参加者同士で話し合ったりする会”の「元町カフェ」に初参加。
以前から気にはなっていたのですが、なかなか一歩踏み出す気合いが入らなくて……。そんな「元町カフェ」に今回参加させていただこうと思ったきっかけが「SIMふくおか2030」がプレイできるということでした。
今回の「SIMふくおか2030」の原型は、熊本県庁職員の自主活動グループ「くまもとSMILEネット」が平成25年8月より5ヶ月間かけて作成した「対話型自治体経営シミュレーションゲーム」。
プレイヤーひとりひとりが、仮想の自治体の部局長級になり、戦後に生まれた団塊の世代が高齢化し、日本の人口の1/3が65歳以上の高齢者と言われる2030年問題に対応すべく、2030年までの5年ごとに迫りくる課題を他の部局長とともに「市としての判断」を下していきます。くわしい説明はこちらでどうぞ。
自治体の財政をゲームで学ぶことができるこの「SIM熊本2030」は話題になり、主に九州で何度も開催されています。「SIMふくおか2030」はその福岡verで、「SIM熊本2030」の簡易版です。
この日の元町カフェのゲストは、福岡市の元財政調整課長・今村寛さん。
福岡市の行財政改革の陣頭に立ち、職員向けの「財政出前講座」を80回以上繰り返し、福岡市の職員の約1割は聞いているという「地方公財政を語らせたらこの人しかいない」という方です。(今村寛さんのことを、よく知りたいかたはこちらのインタビューを。)
そんな今村さんの「出張財政出前講座」で、参加者に最初に投げかけられた質問がこちら。
「この中で財政局とか財政課の職員が嫌いな人!?」
はい、ウチも手を挙げましたよ。参加者80人の内、8割が自治体職員。ほとんどが手を挙げてたんじゃないでしょうか? ごく一部、手を挙げていない自治体職員がいるなと思ったら、財政課の職員で、今村さんは「嫌われてないと思っている? それは誤解。財政当局の人間は大概嫌われています。」なんて言い切りました。
そうなんです。大阪市だと財政局だったりするんですが、ウチも福祉局にいるときに「なんでこの事業の予算を削るんじゃこらっ!」と思っていました。
そんな枕から、前半戦は財政課の連中はなんの仕事をしているのか? ということを入り口に、福岡市の例にあげて財政について巧妙で熱量高めに語り続けます。
そんな講座は分かりやすくて目から鱗が落ちまくることと言ったら!
「予算って『使えるお金』やと思ってませんか?」という言葉から、確かに予算が決まってしまえば予算内で事業執行(予算を使う)することに事業課は意識が行って「その予算のお金は財布にあるのか?」ってことに自治体職員は意識が薄れがちということに気づかされたり、
自治体の現在の借金の総額を比べても意味がないという話も、住宅ローンというたとえを用いて、公共事業は単年度で支払うのではなくいわゆる長期ローンを組んで支払っているわけだから、時点時点のローン残高を比べても意味はなくて、ローンをちゃんと返せるかが大事という財政を見る上での視点を指摘します。
そして、福岡市を例に挙げてはいますが、自治体の財政についてはどこも基本的な構造は同じとして、「高齢者が増えるので社会保障費は増える」「高度成長期に行った公共事業によるローンは返済し続けなきゃならない」「公共施設の老朽化も対応しなきゃならない」、その一方で収入は増えない。つまり、問題は借金が多いことではなくて、自治体が新しいことをする政策的経費がないということだという指摘で午前中の講義を締めくくります。
と、いうことで午後は「SIMふくおか2030」を体験。
ゲームは6人一組。6人はそれぞれ、架空の「えふ市」の局長となって、それぞれ自身が担当する3つの「事業カード」が配られます。私に配られた事業は、が「都市サインの整備事業」「自転車安全利用の推進」「コミュニティバスの運航事業」の3事業。ちなみにそれぞれの事業費はゲームということもあって1億円で統一されています。
ゲームが始まると2020~2024年の市の状況を6人の局長が話すというロールプレイを行います。そこで語られるのは2025年の予算として社会保障費が2億円増額しなきゃいけないということと、外国人観光客の増加に対応するための「大型バスの駐車場と免税店の整備」と、老朽化した「公園の遊具の緊急総点検」の各1億円かかる新規事業の話。各局長はその状況を踏まえ、予算を組まなければなりません。
各局長に求められるのは、社会保障費の2億円増を「どの事業を廃止して、もしくは借金をして費用を捻出するのか?」を決めること。そして、新しい課題に対して新規事業を行うのか、行わないのかを決めること。
……難しい。自身が担当している3つの事業はそれぞれ行政として意味のある事業。その事業を廃止するとなると、その代替案も考えなければなりません。もちろん、新規事業を行わないという決定をするとなると、「なぜ行わないのか?」も考えなければなりません。
1年が5分という設定なので、5年分25分間の議論の後に予算案を作成すると、議会が開かれその予算案の審議が行われます。議員はとなりの班が担当し、作成された予算に問題があれば鋭い追及がされ、担当局長が巧く説明できないと予算案は修正(事業を廃止する場合は、それが取り消され借金に変更)されてしまいます。
2025~2029年のターンも同様に行い、そうして2030年を迎えた時に、町の姿はどうなっているのでしょうか?
社会保障費の伸びにも、新しい事業を行うにしても「事業を廃止」するか「借金」しかできません(借金は1ターンに2億までの制限あり)ので、事業の廃止は常に考えなければならないのですが、なかなかそれに踏み込めません。
例えば、私が事業として持った「コミュニティバス運行事業」だと、大阪での赤バスの廃止とその向こう側にいる市民がどうしても頭に浮かんでしまい、最後まで「この事業をやめて1億捻出しましょう」とは言えませんでした。このゲームは福岡市をモデルにしているので、福岡市の方がプレイすると、もっと色々なことが浮かんでくるのかもしれないですね。
ゲームを終えて、今村さんのまとめ。
80人それぞれのゲームの感想を読み上げながら、自治体職員がそれぞれ持つべき財政の視点について「未来からの視点」を持つことの大事さを強く伝えていました。
そして、行政の財政健全化は政策的経費を確保することで、「スクラップ&ビルド」ではなく、「ビルド&スクラップ」を徹底して事業の優先順位をきちんと意識してほしいという形で締められました。
「一人の千歩より千人の一歩」と、財政課以外の自治体職員が財政を知ることが、事業をやる意味、市民の声を事業に反映させていく一歩になるはずとの言葉はグサッと心にささりました。
良い体験をさせていただきました。「SIM大阪2030」もやりたいですね、自治体職員だけでなく色んな人にこれ体験して欲しいです。
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