- 2014年10月25日
Dステ15th「駆けぬける風のように」食わず嫌いはいけません
週末、金曜日の夜に観劇のために梅田芸術劇場シアター・ドラマシティへ。 ワタナベエンターテイメント(ナベプロ)所属の……
1888年、ポール・ゴーギャンは南フランスのアルルにあったフィンセント・ファン・ゴッホの「黄色い家」で共同生活を送りますが、その生活は9週間で終わりを告げ、ゴッホは自身の耳を切り落とし、それをもったまま売春宿に向かったと言われています。
友人からのお誘いで、前知識なく観劇に。
年内おそらく最後になる観劇でしたが、とっても素敵なものを見させていただいた気分なのでご紹介。
1888年、フランス、アルル地方。 ナポレオン3世が捕虜となり、フランス第二帝政が崩壊、フランス第三共和政が成立した時代。 ゴッホが画家の共同生活場所・創作拠点として作った【黄色い家】に集ったゴーギャン、スーラ、シニャックらは、喧嘩を繰り返しながらも互いを高め合い、親交を育んでいた。 そこに、主人を喪ったメイドであり、この土地と同じ名を持つ女、アルルが【黄色い家】の戸を叩く。
「知られてはいけないが残さなくてはいけない」絵を描く為に。
各々が自らの想いを乗せて筆を走らせる中、変化していく想いと時代と環境に翻弄され続ける画家たちに訪れる、ささやかな真実と現実。 印象派の画家たちの親交と離別を縦糸に、ナポレオン亡き後のフランス史のうねりを横糸に、芸術を追い求め不器用に生きた画家たちの蜜と毒を描いた虚実綯交ぜの物語。
「黄色い家」でカンバスに向き合う画家。既に画家として名が知れたゴーギャン(ポーさん)を中心に、ゴッホ(フッさん)、シニャック(ジュニア)、スーラ(ジョー)の4人はまるで貧乏学生のように、互いの個性を尊重しながらけんかもしつつ暮らしています。
冒頭で演じられるフッさんとポーさんのくだらないけんか、仲裁に入りながらも気がつけばけんかをけしかけているようなジュニアとジョーの掛け合いがとんでもなく楽しそう。
そんな4人に「描きたい絵がある」とやってくる画家志望のアルルと、少しずつ崩れていく4人の関係性。
それはアルルが悪いわけでも、4人それぞれが悪いわけでもなく、不器用にまっすぐにそれぞれが生きるために重ねていた結果なんだなと気付かされます。
良く知られているゴーギャンとゴッホの関係性や1888年12月に起こったいわゆる「ゴッホの耳切り事件」を題材に、不安定なフランスの一時代を舞台に描いたファンタジーです。 実在の画家が登場し、そして実在の事件などもモチーフにされていますが、そういったことを良く知らなくても気がつくと、それぞれの登場人物の思いがビリビリと見ている伝わってきます。
途中、「黄色い部屋」の新しい居住者・マティス(アンちゃん)の登場以降は、アルルも含め彼・彼女らがそれぞれカンバスに向かう思いがむき出しになり、演じている役者さんたちを見ている私たちもつらくなるほど。
ひまわりを描くフッさんの元に行ったアルルが、絵を描きながらフッさんと言葉を重ねるラストシーンは素晴らしく、芸術家でもない私もグサグサと様々なセリフで刺された気持ちが一気に浄化していきました。
CoRich舞台芸術アワード!2015で8660本中15位に選出(関西公演のみの作品としては2位)された作品の再演とのこと。 それぞれの画家がカンバスに向き合っている演技や、役者さんの声で様々な音を表現していたり、照明も美しく見どころ一杯の素敵な舞台でした。彗星マジックさん観たの初めてでしたがまた観たくなります。
大阪では明日12/24まで、そのあと年をまたいで沖縄、福岡、札幌と向かうとのことです。機会がありましたら、ぜひご観劇を。
公演名 | 彗星マジック「ポストグラフ」 |
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公演期間 | [大阪]2018年12月21日(金)~24日(月) [沖縄] 2019年1月19日(土)・20日(日) [福岡]2019年2月16日(土)・17日(日) [札幌]2019年3月23日(土)・24日(日) |
場所 | [大阪]インディペンデントシアター2nd [沖縄]アトリエ銘苅ベース [福岡]パピオ ビールーム大練習室 [札幌]生活支援型文化施設コンカリーニ |
サイト | 公演ページ / 劇団Twitter |
[…] 前回公演「ポストグラフ」が本当にいい作品だったので、期待して観に行ったのですが、期待以上の作品でした。 登場人物のそれぞれが舞台上で正に「生きている」、単なる記号になっていない存在で、観ていると手を伸ばしたくなる、抱きしめたくなる存在感でした。 […]