デザインは生き続ける@京都・細見美術館「杉浦非水」展

京都の若いお友だちから、「があさん向けの展示やるからっ!」と力強くお薦め頂いて、仕事の隙間で天気の良さそうな日を見つけて行ってみることにしました。

京都、平安神宮の側の素敵な美術館、細見美術館で開催されている「杉浦非水」展です。

杉浦非水って?

杉浦非水は1876年生まれ、愛媛県出身のグラフィックデザイナー。当時、モダンな欧風のアール・ヌーボー調の図案を多く発表され、三越呉服店の嘱託デザイナー、カルピスの顧問などとして商業の先駆者です。
多摩美こと多摩美術大学の創設に関わり、初代校長として更新の指導に務められました。

今回の展示は、出身地にある愛媛県美術館の所蔵品を展示したもの。ちょうど、愛媛県美術館では細見美術館の収蔵品を展示しているようなので、お互いの協力で開催されているんですね。
おかげで、愛媛まで行かずともこういった素敵な展示が見られるのはありがたい限りです。

ポスター「東洋唯一の地下鉄道上野浅草間開通」(1927年)/news.mynavi.jp

三越呉服店の華やかなポスターから始まり、ヤマサ醤油、カルピスなどの企業のポスター、煙草などのパッケージデザインや本の装丁など素敵ものばかりでしたが、学芸員さんに教えて頂いた東京地下鉄道(株)の「東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通/1927年」は興味深かったです。

このポスター。鉄道会社の路線開通のポスターでありながら、電車そのものは奥に書かれており、メインになっているのは電車を待つお客さんの姿。
良く見ると奥が和装、手前側が洋装になっていて、未来に向かっていくのを表しているとのこと。
さらに手前にいる子どもが来ている服は、当時の駅員さんの制服なんですって。
こういうエピソードを聞くと、益々興味を持って一つ一つの作品を見てしまいますね。

その他にも、カルピスのポスターには当時のキャッチコピーだったり煽り文が書いてあって読んでみると、冒頭から「マンモスの昔から」で始まって、「結核の危険から免れんと望まる〃方へ」なんて書いてあります。今のカルピスのイメージとは違って、栄養ドリンク的なイメージで売っていたんだろうなぁなんてことも分かります。

モチーフだとか、取り上げている題材はレトロですが、今でも通じる魅力あふれるデザインで、区役所の広報担当者にとっても刺激になる展示でした。
今回の展示は6/11(日)まで。レトロだけど、モダンなデザインを存分に堪能できますので興味をお持ちになった方はぜひ。

杉浦非水 モダンデザインの先駆者
会期 2107年4月15日(土)~6月11日(日)
場所 細見美術館
開館時間 10:00~18:00(日)
料金 一般1,200円/学生1,000円
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