福井で得た一冊の本と、ようやく出会えたある書店の話

福井で得た一冊の本と、ようやく出会えたある書店の話

休暇を取って、福井に行ってきました。 メインの目的は、昨年の公務員アワードで出会った出蔵さんと「チラムネ旅」をすること。

旅から帰ってきたら、ちょうど『千歳くんはラムネ瓶のなか』の新刊がでるので、その話をブログに書こうと思っていたら、先に書きたいことができちゃいました

ということで、一冊の本と一つの書店のお話を。

あなただけの読書体験が世界をこんなにも広くする

福井駅を出発したそこそこの混み具合のサンダーバードの中で、一冊の文庫本を取り出した。

大阪に到着するまではおおよそ2時間。一冊の小説を読むにはこれほど最適な時間はない。

杉井光著『世界でいちばん透きとおった物語

福井の商業施設エルパにある書店、AKUSHUで店員さんが友人にすすめていた熱量が素敵で、ついつい「私も」と買ってしまった一冊。

物語は母一人子一人で育った燈真が、複雑な感情を持つ父が残したという小説『世界でいちばん透きとおった物語』を探すもの。広義でミステリかな。

本当に父が残した小説が存在するのか、存在するとしたらどんな小説なのかという謎を追いながらも、決して派手な展開もなく、物語は終盤へ。

そんな最終盤にガンと叩きつけられる物語の真相。

なんだこれは!? そんなことが可能なのか!?

気付いた瞬間に、世界が一変する物語。読み終えるとつい、こんなツイートをしてしまいました。

電子書籍でなく、紙の本だから。そして書店員が読んで欲しいと思う本だから、こんな読書体験ができる。一冊の本で、世界がまた一つ広がった気がします。

この小説は、書店員が本が好きな人にすすめたくなる小説ですね。

AKUSHUという書店

書店・AKUSHUは、昨年12月に一度閉店することを決めていました。

その後、なんとかエルパを運営する協同組合が事業を継続し、今も元気にショッピングセンター内のスペースで、本と人を繋ぐ「本のセレクトショップ」として営業しています。

紙の本が売れない時代です。私も好きな書店がいくつも閉店して、そして新しい本と出会うきっかけがどんどんと薄れています。

チラムネを通して知ったAKUSHUには、今回の旅でどうしても行ってみたい場所の一つでした。

きっと良い書店なんだろうなと思っていたのですが、実際に訪れてみると本当に素敵な書店でした。

書店員さんが、活き活きと書店の話をしてくださるので、私も大阪の書店の話をするとすぐに私の知らない書店を教えてくれました。

店頭には、書店員さんおすすめの書籍が気持ちよいほど素敵に並べられています。

あぁ、こんな書店が近くにあって欲しいな。

ふらっと訪れた書店で、書店員さんが書いたPOPにひかれてつい買ってしまうことがあります。その本が、またとんでもなく面白くて、ときにはとんでもなく心にささって、5年後、10年後の自分自身に影響を与えるようになってしまいます。

AKUSHUには、そんな奇跡の瞬間を生み出す書店の魅力がこぼれでていました。

素敵な小説に出会わせていただいてありがとう。 福井に住んでないのが悔しいですが、また福井に行くときには必ず訪れます。

また新しい本に出会わせてくださいね。

良い旅でした。

[blogcard url=https://akushu-fukui.com/]

私がこの記事を書いたよ!

アバター画像

があ

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

トップへ