阿部広太郎『あの日、選ばれなかった君へ』黒に光をあてるのは自分自身だ

ある人は言った。
人生は選択の連続だ。
本当にそうか?
人生は選ばれないことの
連続じゃないか。

本当にそうだ。僕はいつも「選ばれない」。

受験に落ちて、好きな人にはこっぴどく振られて、思ったとおりの仕事には今もつけていない。 自分よりも格好いい同業者には嫉妬するし、良い仕事をしている人を見るとあんな仕事をしてみたいと憧れる。

コピーライターの阿部広太郎さんが新しい本を書かれた。

コロナ禍の中オンラインで開催された公務員たちのイベント『よんなな会』でゲストとして来られた際に心を掴まれ、『心をつかむ超言葉術』『それ、勝手な決めつけかもよ?』と読んで、今日読むのは新著。

意外だった。「選ばれない」僕がそこにいた

「大切なのは過去の自分に対して敬意を持って接することだ。」

僕はコピーライターじゃない。アメフトもやってなかったし、コンペに参加したこともない。だけど、阿部広太郎さんの言葉を読み進めていくと、そこらかしこに僕がいた。

「黒歴史」などという。

一人ぼっちだった学生時代、好きな人に選ばれなかった過去、公務員の仕事に希望を持てなかったとき……第5章にまで進むと胸がグッと締め付けられるようになって、読み終えてふぅ~っと大きく息を吐き出した。

なんだか、僕が好きな小説を読み終えたような感覚だった。

あの日、選ばれなかった自分へ。
あの日、選ばれなかった君へ。

阿部広太郎さんが「選ばれなかった」エピソードと、そこから「選んだ」7枚のメモが、強烈な力で僕の背を叩く。

これは多分、阿部広太郎さんが自身のために書いた本だ。

黒歴史は闇歴史じゃない。自分の黒に光をあてるのは、自分自身しかできない。
自分に敬意を持って、闇に吸い込まれないように、自分の黒に光をあてる。

これからも多分、僕も「選ばれない」ことばかりだと思う。

だけども、光る黒を作ることはきっとできると思う。

新しい年度の始まりに本当に良い本を読んだ。


あぁ、本当に一度、阿部広太郎さんにお会いしたくなっちゃうなぁ。