柄刀一「御手洗潔対シャーロック・ホームズ」時代を超えるパスティーシュ小説

柄刀一「御手洗潔対シャーロック・ホームズ」

シャーロック・ホームズは”現代”によみがえり、彼の地で御手洗潔とあいまみえた。
御手洗と石岡の目前で方向と巨大な足跡を残していった巨人、ホームズとワトスンのいる二階の窓から覗いていた巨人、そして屋根の上に載せられていた死体……。
不可解で巨大な謎が押し寄せるなか、御手洗とホームズの”推理対決”の先に見えた真相とは……。

島田荘司さんが生み出した名探偵・御手洗潔と誰もが知るシャーロック・ホームズを題材にしたパスティーシュ小説。

書籍のタイトルどおりの対決は書き下ろしの中編「巨人幻想」で、ホームズ、御手洗ともに2編ずつの短編を収録。

ホームズの作品は小学生の頃から読んでいますが、独特の文体というか翻訳時のクセがあるんですよね。あれがちょっと苦手なんですが、慣れ親しんだホームズとワトスンなので、物語への没入はしやすいですね。

個人的には短編は御手洗潔の2編の方がお気に入り。「シリウスの雫」は「御手洗潔パロディ・サイト事件」に収録されていた作品なので既読なんですが、提示される巨石建造物の謎を鮮やかに解き、現れる景色が印象的です。

御手洗潔とシャーロック・ホームズの時空を超えた対決は古典作品っぽい巨人の怪奇現象とトリックで楽しく読むことができますが、それよりも読み終えた後に収録されている御手洗潔生みの親の島田荘司さんの解説「石岡和己対ジョン・H・ワトスン」に爆笑。

なかなか楽しい作品でした。