キャラメルボックス「ブリザード・ミュージック」僕の声が聞こえますか

キャラメルボックス「ブリザード・ミュージック」僕の声が聞こえますか

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関西圏のキャラメルボックスサポーターは11月になるとそわそわ。そうです。毎年恒例のクリスマス公演が新神戸で幕を開けているのです。
今年の演目は「ブリザード・ミュージック」。13年ぶりの再演になります。

ウチにとっては、すごく嬉しい再演。実は、13年前の公演はウチが「初めて自身でチケット購入して観に行ったプロのお芝居」。この芝居がウチに「観劇」の芽を植えたんだろうなぁと思っています。
新神戸オリエンタル劇場の2階席最前列で、あの日味わった不思議な高揚感を思い出しながら、新神戸に向かいました。


ダンボーとパンフレットみき丸

クリスマスの1週間前、新聞広告を見た5人の俳優たちが、池袋の劇場に集まってくる。
しかし、彼らの前に現れたのは、演劇経験の全くない、90歳のおじいちゃん。元小学校教師の梅原清吉だった。
彼は、70年前に書いて、上演できなかった脚本を、自らが主演して、上演したいと言う、スタッフは清吉の家族たちで、もちろんみんな演劇未経験。
俳優たちは最初激しく反発するが、清吉の情熱に打たれ、次第に本気になっていく。
本番はクリスマス。はたしてたったの1週間で、芝居は完成するのだろうか?

入院先で会った看護師のミハル(渡邊安理さん)を連れて、芝居を作ろうとする清吉(西川浩幸さん)。物語は、清吉が持ち込んできた脚本が、宮沢賢治さんの未発表童話「ペンネンノルデの日記」であることから大きく動き始める。
宮沢賢治の代表作「グスコンブドリの伝記」の元になる作品を清吉が持っていたことから、「なぜ、清吉が宮沢賢治の未発表童話を持っていたのか?」を芝居として作り上げることに。
家族(主に息子)の心配をよそに、70年前に清吉やその友人たちと宮沢賢治との間に起こった事件を演じていく中で、徐々に皆の中に何か少しずつ違う気持ちが……

舞台を作り上げる俳優とその周りの人間を題材にした物語。いわゆる「劇中劇」の形で物語が進んでいくのですが、俳優チームの5人はそれぞれ個性的。
人気の出てきた劇団が商業主義に走っていると辞めてしまった釜石(三浦剛さん)、元タカラヅカの男役だという水沢(前田綾さん)、児童劇団に所属して全国を回っていたという北上(實川貴美子さん)、アクションスターを夢見て日光江戸村で忍者をしている久慈(畑中智行さん)、学生演劇で主役ばかり演じていたという一関(笹川亜矢奈さん)。エチュード(即興演劇)で、物語を作り上げようとするんですが、それぞれ方向性が違いすぎて最初はぎくしゃく。
ところが、清吉に秘められた思いを中心にいつの間にか一体感ができていくのを見ていると、なんだか舞台の俳優さんの普段の姿、演技するという仕事の過程を見るような不思議な感覚に陥ります。

そして、2001年の公演から大幅に変わっているのが舞台セットとその演出。
東京公演がまだこれからなのでネタバレはよしておきますが、清吉たちの前に使用していた劇団が残したセットという設定は変えずに、2001年の公演を観たことがある人なら絶対に喜んでもらえるんじゃないでしょうか。
ウチは今回の方がより「皆で舞台を作り上げようとしている」という感じが見えて素敵だったなぁ

脚本、演出の成井豊さんの宮沢賢治さんへのリスペクトが台詞の端々から伺えるこの作品。
素敵な台詞が山ほどあるんですが、一番好きなのが、賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という言葉に対して、清吉が応えた

たった一人で、何十億もの人間のことなんか、考えられません。
一人ではいけませんか。自分以外の、誰か一人を幸せにする。
みんながそうしていけば、結局は世界がぜんたい幸せになりませんか

と、いう言葉。
20代だったウチはこの言葉を聞いて、鳥肌が立つほどゾクゾクして席を立ちそうなほど前のめりに舞台にのめり込みました。賢治と別れ、汽笛が響く中の清吉の叫び、そして70年前のミハルを演じる今のミハルの素敵な言葉。劇場でしか味わえないラストシーンを浴びたのを、今回はもう終盤には思いだして、泣き出しそうになっちゃいました。

13年前の作品からキャストが変わっていないのは清吉の西川浩幸さんのみ。他の役は以前に清吉の孫だった畑中さんや前田さんが俳優になり、俳優だった坂口さんが清吉の子の妻・妙子を、孫の3人は前回時には入団していなかった若手俳優が演じています。
西川さんという劇団の中心的な存在は変わらずに、劇団はいつまでも進化し続けている……そんなことまで感じられる公演でした。

新神戸での公演は明日までですが、来年で創設から30周年を迎えるキャラメルボックス。
来年は記念イヤーですから、もっともっと期待していいですよね。

カーテンコールで出演者勢揃い
カーテンコールで出演者勢揃い

今回の公演、実はカーテンコールの時間の一部で、ケータイ・スマホの静止画限定ですが、舞台を撮影しても良いという嬉しすぎるサービス付き。以前から、舞台照明の美しさに、「いっぺん撮ってみたいなぁ」と思っていただけに嬉しい限り。
もちろん商業的な側面はあるんでしょうが、今回の公演だけでもガレージセールとか、主演の西川浩幸さんとの撮影会付きチケットとか楽しい試みを一生懸命やってはるのをみると……水曜日の昼とはいえ今日の客席は寂しかったなぁ、観ないなんてホントにもったいない。
東京の公演では連日満員になるくらい猛プッシュしたいです。

スマホから急いで撮影したものなので、アップもないし、ピンぼけもひどいですが、何枚か写真をアップ

カーテンコール

畑中さんファン向け
畑中さんファン向け

かなりのサービスショット
かなりのサービスショット

カーテンコール

公演名 CARAMELBOX 2014 CHRISTMAS TOUR「ブリザード・ミュージック」
公演期間 神戸公演:平成26年11月22日(土)~28日(木)
東京公演:平成26年12月5日(金)~25日(木)
場所 神戸公演:新神戸オリエンタル劇場
東京公演:サンシャイン劇場
サイト 公式情報サイト / /

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があ

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

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