写真(パンフ)

観劇雑記:Caramelbox「隠し剣鬼ノ爪/盲目剣谺返し」

写真(パンフ)

写真(パンフ)本日は仕事が終わったら、西梅田のサンケイホールブリーゼへ。

演劇集団キャラメルボックス「隠し剣鬼ノ爪」「盲目剣谺返し」の2作品を、1作品60分のハーフタイムシアターで観劇してきました。

今回の2作品は時代小説の大家・藤沢周平さんの作品を舞台化したもの。隠し剣シリーズとされる中でも、映画化もされている特に有名な2作品です。

原作は中高生の時に友人に薦められて読んだのですが、その時はあまりはまれなくて、今回、観劇にあたって再度読み直して見たら……舞台化が気になって気になって。

◆隠し剣鬼ノ爪

海坂藩の藩士である片桐宗蔵(畑中智行)は、5月のある夜、大目付に呼びつけられる。
同じ道場で学んだ狭間弥市郎(左東広之)を討てという命令に、片桐は悩みつつも命を受けることになる。

かつて、狭間は道場一の実力をもつ剣士だった。しかし、師である小野治兵衞(岡田達也)は秘剣・鬼ノ爪を片桐に伝授。狭間は道場を辞めた。
3年の月日が経ち、狭間は江戸で上役を斬り牢獄で閉じ込められるが、番人を人質にし、片桐を呼びつける。死を覚悟し決闘を望む狭間に、片桐は……

隠された秘剣の謎をメインに、秘剣に執着する狭間、その狭間の命を救いたい妻・結女(岡内美喜子)、片桐の上役・堀直弥(阿部丈二)といったそれぞれの思惑が交錯する物語。
60分間の上演時間の間に息をつく間もないスピードで物語が展開されます。

キャラメルボックスの時代劇というと、多人数での斬り合いが多く描かれるのですが、今回は一対一の決闘シーンがメイン。

主演の畑中智行さんも、敵役の左東広之さんも普段演じることの多いタイプとは違った渋い役どころ。
特に狂気に近い所まで自身を追い詰めてしまった狭間は鬼気迫るものがありました。

片桐の嫌な上役・堀を演じた阿部丈二さんは役の振り幅が本当に大きくて脱帽。
終演後、ロビーで女子高生達が「あの堀、死ね! と最初から思っていた」と、とことんまで嫌われていました。

 ◆盲目剣谺返し

海坂藩の藩士・三村新之丞(大内厚雄)は学問・剣術に優れ「麒麟児」とまで呼ばれる男だった。
しかし、藩主の毒味役を勤め、ある日、貝の毒にあたり視力を失ってしまう。
妻・加世(温井摩耶)の献身的な支えに、生きる力をなんとか失わずにいる新之丞。
だが、ある日、新之丞は妻の小さな変化……化粧の香りの強さに気付いてしまう。

映画「武士の一分」の原作として知られる作品。
木村拓哉さんも良いですが、新之丞を演じた大内さんも良いですよ。視力をうしなった剣士の反応、立ち居振る舞いから目が離せません。

また、妻・加世の美しさは格別です。
離縁を伝えられた際の毅然とした態度や、胸を捕まれるような切ないラストシーンに惚れ惚れします。

そうそう、徳平を演じる坂上二……違った菅野良一さんは一服の清涼剤。いやぁ良い人ですねぇ。

普段のキャラメルボックスとはちょっと違って、かなり藤沢周平色の強い作品だったなぁと思いました。
藤沢周平さんのファンの方はどう思ったのでしょうか?
大阪公演は17日(日)まで。公演期間が短くてちょっと寂しいなぁ。

さて、次回作は東野圭吾さんの「ナミヤ雑貨店の奇蹟」!
実はまだ読んでないんですよねぇ。読むべきか読まないべきか……未だに悩んでます。