キャラメルボックス「エンジェルボール」マウンド度胸が素晴らしすぎる

はじめて京都劇場に行ってきました。
劇団四季のミュージカルをやっている劇場というイメージだったんですが、さすがに素敵な劇場ですね。

キャラメルボックスの夏公演「エンジェルボール」は、2016年に第6回広島本大賞小説部門賞を受賞した作品。物語の核になるのはプロ野球。「広島本」らしい題材ですが、そんな作品を舞台化するとなると、その主人公は……

寺谷の存在感が凄すぎる

寺谷和章は41歳、広島県尾道市因島に住む、長距離トラック運転手。バツイチで、小学生の息子の大地・大河と3人暮らし。ある夜、自動車にはねられて、海中に転落。目の前に現れた天使から、自分の思い通りの球を投げる能力を授けられる。この能力を使えば、時速200キロの剛速球でも思いのままだ! 寺谷は子供の頃からファンだったプロ野球チーム、広島シャークに入団を決意。シャークを日本一にして、自分の愛するものすべてを幸せにするのだ!

物語の主人公・寺谷和章を演じるのは劇団の名バイプレイヤー・三浦剛さん。

私の大好きなキャラメルボックスはスター・システムを取っていません。そのため、多くの劇団員は入団後何年かたつと主役をはるのですが、三浦剛さんは2001年の入団後今回が初めて。「風をつぐもの」の土方歳三や「流星ワゴン」のチュウさんなど印象強い役を演じてはいても、本当にバイプレーヤーというイメージでした。

しかしなんといっても「ハマの番長」と呼ばれた三浦大輔投手の実弟で、自身もプロ野球をめざして大学まで野球をやっていて、さらに寺谷と同じ年齢、子どももいるというこれ以上ないというバックボーンは、舞台のセンター……ではなくマウンドに立つ寺谷の圧倒的な存在感に繋がります
舞台上で実際にボールを投げることはないのですが、オープニングから何度もある投球シーンは迫力一杯でぞくぞくしてしまいます。

天使と悪魔がかわいすぎる

エンジェルボール」はいわゆる原作物ですが、キャラメルボックスらしいファンタジーに仕上がっています。

寺谷にエンジェルボールを授ける天使・もさんを演じる木村玲衣さんは感情豊かで、キャラメルボックスの作品によく登場する天使の中でも特に魅力的でした。一方で登場シーンこそ少なかったのですが、悪魔のサビを演じる石森美咲さんもツンとした表情が素敵でしたね。

物語はプロ野球の中に「どこにでも思ったところに投げられるボール」を持ち込んだファンタジーですが、実は描いているのはやはり「人が人を思う気持ち」。主人公の寺谷が息子たちを思う気持ちだけでなく、息子たちが父を思う気持ち、元妻が寺谷を思う気持ち、それだけでなく登場人物それぞれが誰かを思う気持ち……人の思いが物語の全てにあふれています

原作のファン、プロ野球ファン、ゲストを含めた役者さんのファン(個人的には大阪の観劇好きとしては劇団Patchの田中亨さんをキャラメルボックスで観られたのが嬉しかったです)誰もがきっと元気になれるお芝居です。

25日(水)には、原作の舞台、広島県を訪れます。
豪雨災害でお芝居なんてという気持ちもあるかもしれませんが、こんなときだからこそ観てほしいなぁなんて思います。

原作4巻のうち前半2巻を描いた本作、来年夏に続編が決定しました。
さぁ、原作読むぞー。

公演名 エンジェルボール
公演期間 [東京]2018年7月6日(金)~16日(月・祝)
[京都]2018年7月20日(金)~22日(日)
[広島]2018年7月2日(水)
場所 [東京]サンシャイン劇場
[京都]京都劇場
[広島]広島JMS明日テールプラザ大ホール
サイト 公式サイト