空晴「予定のあと先」本当は明るい話をしたかった。

空晴「予定のあと先」本当は明るい話をしたかった。

空晴「予定のあと先」

「本当は明るい話をしたかった。」
その言葉に対しての岡部尚子さんが演じる伊久代の「返し」が最高っ

そう、まだまだ舞台芸術に関わる方には「明るい話」ができる状態ではありません。
コロナ禍で、東京公演を中止。地元・大阪の公演でも客席を半分程度にしたうえに、その座席も完全には埋まっていない。

そんな中だからこそ、劇場で空晴の舞台を観たくて、1年2ヶ月ぶりの第19回公演『予定のあと先』を観劇してきました。

コロナ禍でも変わらない緩さと思い

30年間空家だった家にみえ(坂口理恵)は帰ってきた
骨組みだけの家は、奥まったところにあってなぜか色々な人が訪れる
その中にはみえと因縁のある人物も多いようで…

90分の物語で、最初の30分は手探り。

骨組みの家とトイレのある離れに出たり入ったり、待っている人を間違えたり、会えなかったりとすれ違いや勘違いで、物語がどこに行くのか分からず進んでいきます。

そんな中でも細かな「くすぐり」を所々に仕込んで、中盤から徐々に登場人物の関係性が分かってくるころには、もう舞台上で起こる人間劇から目を離せなくなります。

30年ぶりに帰ってきたみえ、そして同じ名字のはるえ(春野恵子)の対立を軸に、この町に暮らし、みえと関係があるらしい曽我(上瀧昇一郎)との割り切れない思いの会話や、何もしらないはな(古谷ちさ)やその彼氏で大工のふじ(南川泰規)までもが絡んできます。

過去の出来事や、今の関係、そして、結局の所は割り切れない思いはどこかに抱えたままでも、互いの顔を見つめ、なんだかちょっとだけ前を向いているようなそんな物語です。

空晴のお芝居は、見終わったときに「イイ感じ」にもやもやするのがこそばゆくて、「感動したっ!」とか「泣いたっ!」っていうのとはまた違う気持ちの動きを感じられます

岡部尚子さんの無遠慮な大阪弁が、根っからの大阪人の自分にぐっさりとささるというのもあるのかもしれませんが、身近で変にリアルな物語が好きです。

それにしても、今回はゲストのお二人がやっぱりすごかった。

キャラメルボックスの坂口理恵さんは、やっぱり張りのある声にたまにお茶目な動きで楽しませてくださいますし、浪曲師の春野恵子さんは動きの端々がビシッとしていて、お互いの存在感だけでずっとお芝居が見てられます。


カーテンコールで上瀧昇一郎さんが、客席の照明を明るくして舞台上から観客席のお客さんの顔を見てみたいと言いました。その言葉にグッときました。

普段は終演後に物販に立ったりお見送りをしているんですが、今回はそれもなし。

上演前にはチケットの半券に氏名・電話番号を記載し、検温、手指消毒、さらには大阪府のコロナ追跡システムへの登録の呼びかけ、前説では場内の換気についての説明と目一杯、最大限の対策をとって行われる公演です。

もやもやっとしてそれでも気持ちよい舞台を楽しませていただきました。

公演名 空晴第19回公演「予定のあと先」
公演期間 2020.10.1(木)~6(火)
公演場所 HEP HALL
サイト 公式サイト(公演情報) / 劇団Twitter

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があ 男性

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

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