虹の彼方のアメシスト

BLACK★TIGHTS『虹の彼方のアメシスト』濃厚なタイムリープファンタジー

虹の彼方のアメシスト

虹の彼方のアメシスト

憧れの女優にして、広い意味での同僚の福田恵さんから公演のご案内をいただきました。

彼女の「人形」(観た人にしか分からん……)なので、観に行くのは当然なのですが、「タイムリープ物」「ファンタジー」「前に追ってみたいと言いながら、2年以上追ってなかったmaechangさんが出演」と、私を狙い撃ちしているんじゃないかというような要素がたっぷりで、楽しみにして劇場に向かいました。

in→dependent theatre 2nd、昨年リニューアルした本当に大好きな劇場です。

逆ループ構造の王道ファンタジー

砂漠に広がる秘境、ネフライト。

草木も芽吹かぬ痩せた土地の下には古代から継承する食糧プラントが存在し、人々は豊かな暮らしを送っていた。

そして、ネフライトは皇女シオンの成人の儀を迎える、はずであった。

突如として隣国のジェダイト帝国による侵攻が始まる。

壮麗な城は轟音と共に崩れ落ち、瓦礫から現れたのは、謎の仮面の男。

密かに心を寄せていた臣下、コハクを戦乱で喪ったシオンは王族に伝わる秘宝「キューブ」の力を目にする。

キューブを使えば死んだ人間は蘇り、「人形」となってキューブを持つ者に使役される運命。

また、「人形」同士が触れ合えば、時空を歪める磁場が発生。

その影響により、シオンと忠臣アサギは時空を越え、コハクを、ネフライトを救う旅に出るのだった。

皇女シオンの瞳が燃え、その叫びが響き渡る時。時空を渡る旅路が、密かに動き出す…。

BLACK★TIGHTSが贈る極上のタイムリープ・エンタメ活劇。

成人したばかりのちょっと暴走気味の皇女・シオン、性格の違う二人の婚約者兄弟、皇女を慕う従者、尊敬できる父母にそれを支える宰相、そして仮面の武将と、ファンタジー作品が好きな人には定番のような設定が一杯の舞台。

死者を「人形」として生き返らせる秘宝・キューブを、死んでしまった従者・コハクを救うために探す旅にでるシオンは、人形が持つ力の影響で過去の時間に飛んでしまう。

タイムリープ要素のある作品としてはかなり異例で、同じ時間の繰り返しよりも何度も過去に遡って、その度に登場人物の背景、関係性が徐々に明らかになっていきます。

物語の終着点は決してハッピーエンドとは言えないかもしれませんが、時間が変化する度に登場人物の魅力が増していき、最後には全てが愛おしくなる希有な作品です。

上演時間は2時間10分。元々は休憩ありの2時間30分だったとのことで、かなり複雑な物語です。
物語の前半で、タイムリープが起こる肝になるキューブや人形の説明がされたり、誰が「人形」なのかを示唆する台詞もあって、丁寧にケアはされているのですが、やはりちょっと置いてけぼりにされてしまいました。映像作品と違い、複数回観劇できる人は限られているのでちょっともったいなかったなぁと思いました。
終演後にでもネタバレのタイムラインが何か物販であったらを見てみたいな、と。

その一方で、プロジェクションマッピングを巧みに使い、ダイナミックな殺陣やダンスも織り交ぜて最初から最後まで目を離させない作りで、最後まで前のめりで楽しめました

コロナ禍に至って以来、舞台をやることも観ることもなかなかむずかしい時期が続いています。出演を予定されていたキャストの方で、出演が叶わなかった方もおられるとのことで、カーテンコールで「もっと色々な舞台を観てください。観てくださって元気になっていただければ私たち(キャスト)にはそれが一番です」(かなり意訳)と聞いたとき、ぶわっと嬉しさがこみ上げてきました。

久しぶりの劇場はすごくよかったです。今回、はじめましてだったキャストの方も色々とチェックして、ぜひもっと色々な舞台を観に行こうと思います。