キャラメルボックス「サンタクロースが歌ってくれた」箱は変わっても、中にはきっと

キャラメルボックス「サンタクロースが歌ってくれた」箱は変わっても、中にはきっと

キャラメルボックス「サンタクロースが歌ってくれた」5年ぶりにこの場所に行ってきました。

演劇集団キャラメルボックスの復活公演「サンタクロースが歌ってくれた」、神戸初日、復活初日です。

劇場はAiiA 2.5 Theater Kobe、名前は変わってしまいましたがキャラメルボックスの関西でのホームグラウンドといえば、この劇場。馬蹄型の2階席でも、3階席でも見やすい素敵な劇場です。

劇場に暖かすぎる空気が満ちあふれている

クリスマスイブ、「ゆきみ」は、池袋の映画館で友人の「すずこ」と待ち合わせ。
しかし、「すずこ」が約束の時間に来なかったため、一人で中へ。
映画のタイトルは『ハイカラ探偵物語』。
大正5年、芥川龍之介と平井太郎(後の江戸川乱歩)が怪盗黒蜥蜴と戦う話だった。
ところが、芥川が黒蜥蜴を追い詰めた場面で、黒蜥蜴が消失!
どうやら、映画の外に逃げたらしい。
芥川と太郎、そして警視庁の菊池警部は、黒蜥蜴を追って、映画の外に飛び出す。
そして、客席に座っていた「ゆきみ」に現代の東京の道案内を頼んだ!

復活公演に劇団が選んだのは、初演が1989年で5回目の再演となる代表作の一つ。
芥川龍之介と平井太郎(のちの江戸川乱歩)が主人公の映画から飛び出してくるという、ストレートに演劇らしい「嘘」が「ホント」のように混じった不思議な物語を俳優さんたちの熱量で一気に見せます。

初演から四演まで、芥川はミスターキャラメルボックスこと西川浩幸さん、平井は上川隆也さん、そして、この物語で忘れちゃいけない菊池警部を近江谷太朗さんというゴールデントリオが演じていましたが、今回は劇団創設25周年だった2010年から11年経ったということもありキャストを一新しての公演でした。

菊池警部役を演じた阿部丈二さんは、2010年の公演で特別版のキャストでも同役を演じていましたが、芥川役の多田直人さん、平井役の畑中智行さんは、そうだよね、今キャラメルボックスに在籍している俳優さんならその二人になるよねという感じ。

休団から2年半、25周年記念から11年、劇場も人も何もが変わってしまったなぁと、開演前に満員の劇場を最後列から見ながら「3年前にこれだけ入っていたらなぁ」なんてちょっと悔しくも思っていました
……いや、2ステージしかないし、3年前もきっと僕と同じで観に来ていた人がたくさんいたよ、多分。

なんとなくそんな感じでちょっと斜に構えながら、開演前の時間を過ごしていたんですが、西川浩幸さんによる開演前のアナウンスが流れ始めると、拍手や笑い声が漏れ始めます。
そして開演。令和のOLとなった「ゆきみ」と「すずこ」の2人の会話から、結構な笑い声が劇場に響きます。

え、このシーンでこんなにウケたっけ?

なんだか「待ってましたっ!」的な喜び方とは違う自然な笑いで、「暖かいなぁ、劇場内の雰囲気が」なんて思うようになりました
そこからは、もう純粋にお芝居を楽しむだけ。笑いたくなったら笑って、手を叩きたくなったら拍手して、あっという間に時間が過ぎていきました。

以前は無かった3階席のカジュアルシートという名のほぼ立ち見席。2時間のお芝居でこれはつらいなぁなんて思っていましたが、そんなことは忘れてしまって、熱量一杯のキャストの演技を堪能しました。

キャストは変わっているのに、見ているとやっぱりキャラメルボックスの舞台だなぁと思うのは、演出の仕方だけじゃない気がします。演じている俳優さんたちも、観ている僕たち同様のキャラメルボックスってこれで、これが好きだっていうのを表現している……そんな気がします。

カーテンコールでは多田直人さんも感極まったかのように、「まだやりたいことがある」と話してくれたし、

トリプルコールで畑中智之さんが「もう何もない」と嬉しそうに、かつて先輩が「帰れ」と言ったときと同じように観客に伝えての終演。

いやぁ、素敵な復活公演でした。

キャラメルボックスという名で、2年半前とは色々と違う事もあるでしょうが、箱は変わっても、中に詰まったキラキラと光る希望や夢は何も変わっていないと思えました。

拍手という花束に添えて

今回、19時開演、18時開場と前もって知っていたので、開場直後に劇場に入ろうと思っていました。

それは、開演前にラブレター(アンケート)を書こうと思っていたから。
絶対に今日は終演後にアンケートを書くのでは間に合わないくらい書けると思っていたので、お気に入りの万年筆にキャラメルボックスの赤系のインクを入れて意気揚々と行きました。

で、入場したんですが……おぉ、アンケート用紙がない。

みき丸

マスコットキャラクターのみき丸はいつもの所にいるけれど、いつも開演前に座っていたカウンターもないし、みき丸パンも売っていない。おぉ。

しゃあない、あきらめるかと思っていたのですが、やっぱりこの初日を観て、

劇場から出た瞬間、こんなツイートをしちゃったので、これ書き上げるまで寝られなくなっちゃいました。

……ラブレターは紙に書くもんなんだよ。届いて欲しい相手だけに読まれることを願って書くんだよ。ブログで書いて、自分で辱めにあいにいくもんじゃないんだよ……
でも、やります。深夜に書くラブレターは、怖いなぁ(10代、20代の頃に大けがした経験が……)
冒頭は、本当に三宮から新神戸に行く途中で、頭の中で考えていたとおりです。

おかえりなさい。神戸に帰ってきてくださったこと、本当に嬉しいです。
これはラブレターです。これを書くために、開場時間に来ました。
芥川さんがフミちゃんに書いたラブレターが好きで、なんとかチケットが取れた日から、この2年半の思いを伝えてくて、企んでました。
成井豊さん。あなたの物語が好きです。学生時代に観た「ハックルベリーにさよならを」、終演後に頭がグルグルで登場人物一人一人の未来に幸多いこと祈っていました。近い世界のようで遠い世界を、言葉で目の前に紡ぎ出すあなたの物語が好きです。

多田直人さん。クールに見えて熱いあなたのハートが好きです。「無伴奏ソナタ」で、永遠に拍手を送り続けたいと思ったあのクリスチャンから今も離れられずにいます。好きです。

畑中智行さん。あなたの技術が好きです。(多分)「ブリザードミュージック」の前説、「少年ラヂオ」でのスリのテクニック、「トリツカレ男」の三段跳び、なんだかすげぇと思うシーンで思い浮かべるのは畑中さんばかりです。好きです。

阿部丈二さん。あなたのユーモアが好きです。なんでそんなに面白いんですか!菊池警部、今回も期待通りでした。それ、大好きです。

林貴子さん。隠し持ったはっちゃけ具合が好きです。休団中の客演での姿を見て、えーめっちゃ面白いやんと思ってしまいました。ねこはっしゃな3人の時のように、またボソッと面白いこと言ってくれそうで好きです。

森めぐみさん。涼やかな笑顔が好きです。最後にキャラメルをいただいたとき、渡したところが分からなくなって、キョロキョロしていて、その時の笑顔に打ち抜かれました。次にまたキャラメルをいただける日が来るまで追い続けます。ストーカーっぽいこと言うてますが、ホント好きです。

原田樹里さん。あなたの演技がとにかく好きです。「夏への扉」のベル・ダーキンにやられ、「スロウハイツの神様」の環はPVを何回見たか分かりません。あなたが出演される舞台は、まずあなたを目で追ってしまいます。好きです。

岡田さつきさん。あなたの声が好きです。キャラメルボックスの俳優さんは、声に特徴がある方が多いなぁと思っているのですが、あなたの声は色があるような気がします。あなたの台詞で、舞台に色が浮かぶんです。そんな声が好きです。

筒井俊作さん。あなたのポジティブなパワーが好きです。極端なほどの動きや声で、見ているだけでなんだか不思議なくらい元気が出てきます。なんでそんなに動けるんだろ?といつも思っています。そのパワーにあやかりたいです。好きです。

木村玲衣さん。あふれ出るヒロイン感が好きです。「時をかける少女」で主演されたとき、こんなに凄い女優さんがいるんだと思って、それ以降も少しずつキラキラと光るところが増え続けている感じがしています。強い、綺麗、カッコいいのにまだ努力しているヒロインの美しさが好きです。

関根翔太さん。コツコツと前に進み続ける意欲が好きです。舞台を観ていると、なんだかいつも真面目にコツコツとやるべき事とやりたい事を一生懸命やっている気がして、そんな所が好きです。

石森美咲さん。あなたの可能性が好きです。今日のサヨさん、渡辺安理さんが演じているのかなと思うくらいキャラメルボックスの女優さんって凄いなぁとあらためて思いました。もっともっとあなたが演じるところを見てみたいです。好きです。

山本沙羅さん。好きです。あなたの行動力が好きです。キャラメルボックスが休団になった時、直前の「ナツヤスミ語辞典」は観に行けなかったので、あなたのことを知りませんでした。休団中のあなたの行動力があったからこそ、僕は劇団員の出演情報をまとめようと思って、キャラメルボックスが好きなことを再認識させられました。自分がジジイになるまでキャラメルボックスを追うとしたら、あなたがいることが多分、その大きな理由になります。一緒に美味しいパンが食べたいです。好きです。

仲村和生さん。あなたの冷静で誠実な仕事が好きです。終演後に言おうと思って感極まってちょっと言えませんでしたが、良いお年を、来年もまた関西で、ロビーで一言だけでもごあいさつできることを楽しみにしています。仕事を続けることの大変さ、私には多分欠片ほども分かっていないと思いますが、心より応援しています。好きです。

そして、今回の公演には来ていない劇団員の皆様。大好きです。
スヌーピーを観てその時からずっと好きな西川浩幸さんも、休団後、真摯にずっと発言し続けていた鍛治本大樹さんも、私の娘と同じ高校を卒業している生田麻里菜さんも……いや、どの劇団員さんも本当に大好きです。
そして、名前も知らないキャラメルボックスを支えているスタッフの皆さん、大好きです。

きっとこんな大好きが、僕が言うまでもなく、今日、劇場に来た人の一人一人にあって、これからサンシャイン劇場に訪れる一人一人にあるんだろうなぁと思っています。

変わらないものは何もないかもしれないけれど、きっと何かを好きな気持ちを持っているというのは幸せなことだなと。
改めて、復活公演の初日、おめでとうございます。そして、これからも皆さんが自分の意思で、自分の道を、自分の望む通りに歩めますように。

……ブログなので、あぶなく全劇団員へのラブレターを書いちゃうところだった。もう4時過ぎてるやないか。眠れない夜だった。
どうすんだよ。週末にやろうと思っていた仕事、片付かないぞ。これ。
いいんだよ。キャラメルボックスのクリスマス公演って、そんなもんだ。多幸感で、これから年末まで走るんだ。
キャラメルボックス「サンタクロースが歌ってくれた」
[blogcard url=https://caramelbox.com/santa2021]

私がこの記事を書いたよ!

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があ 男性

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

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