- 2016年8月20日
キャラメルボックス「彼は波の音がする」 キャラメルボックスの全ての魅力が詰まった最高のゴーストストーリー
これぞキャラメルボックス!というお芝居を観てきました。終演後に既知のスタッフに「これ、ウチめっちゃ好き」っていうくらい……
演劇の今の話をしよう
「生のお芝居は映像の2%くらい」と、かつて声も頭のサイズも大きな社長さんは言っていた。
テレビや映画や、演劇でもDVDで観る役者さんの演技と、劇場で観る役者さんは違うのだ、と。
そんなアホなと思いつつも、チケットを買って、劇場に向かい、物販を見つつ、開演前の前説を眺めて、暗転に一気に鼓動が高まって……終演後の帰り道、ツイッターで同じお芝居を観ていた人の感想を探ってみたり。
そんな観劇体験も含めると、2%は言い過ぎにしてもお芝居を劇場に観に行く意味はあるよね、なんて思っていた。
新型コロナウイルスの蔓延で、あらゆる公演が中止になっている。「延期」という言葉を使うところもあっても、劇場が押さえられないのであれば「無期延期」にならざるを得ない。
4月、5月に予定されていて、興味を持ってチェックをしていた公演はことごとく中止・延期に追い込まれた。
そして、ひとつだけ残った公演があった。
『未開の議場 オンライン』
会議劇をオンラインにして、それを配信する演劇。
映像による観劇体験、何%なのか、2020年4月17日、ゲネプロ(通し舞台稽古)の配信を体験しました。
とある街のとある商店街が主催する祭の実行委員会は、
いま流行っている病気のため、オンラインで会議を行うことになった。
進行を確認するための和気藹々とした会議となるはずが、不測の事態の発生によって思わぬ方向へすすんでいく。
きたるべき移民時代・外国人労働力の受け入れが現実味を帯びる昨今に、日本の抱える外国人との問題を描き出す二時間一幕の会議劇。を、パソコンの前でいっしょに覗き見してみませんか。
意思をもって集まった、豪華13人の俳優たち。14人目の参加者、あなたの参加で、この会議は「劇」になります。
オンライン会議ツールZOOMを使用した商店街のオンライン会合。
開演とともに、少しずつメンバーがオンライン会議の舞台に現れ、ぬるっとお芝居が始まります。
オンライン会議らしい生活感あふれる背景が見える中、和やかに始まった会議は、町に住む外国人労働者たちのそれぞれの登場人物との関わりがきっかけになって、いつの間にか収集のつかない事態に流れ、ついには会議自体の崩壊の危機に。
13人の登場人物それぞれの問題に対するスタンスがあって、それをどうまとめていくのかという会議劇のドタバタ、泥縄、ぐだぐだ、そして綺麗にまたは妥協で終わるまでの終始をのぞき見するような感じのお芝居。
会議劇は1つのテーブルなどで行われるイメージなので、舞台映えしない感じがしますが、オンライン会議にすることによって、登場人物それぞれがいる場所がプライベートスペースになることで、会議に集中している人もそうでない人もいるという商店街のオンライン会議らしい緩さが表れています。
何よりも劇場での観劇と異なるのは、役者さん一人一人が会議中、どのような表情をしてどんな気持ちになっているかがはっきりと見えること。
夫婦で会議に参加していると、妻に他の男性が話しかけた瞬間、夫はむすっとした表情をしたり、会議が荒れると「仲良くやりたい」参加者はさみしそうな顔になったり。
舞台の上で、台詞を言っている役者さんに注目が集まっているなか、舞台の端で演じている観劇の楽しみのひとつが、このオンライン会議劇では知らず知らずのうちに楽しめます。
また、ZOOMの機能もうまく使われており、
会議の休憩時間には、複数の登場人物が一端会議から抜けて(会議を切断して)、残された人がその場にいない人の話をしてみたり、
画面の共有機能を使って、ツイッターの投稿画面を見せてみたり、
おそらく劇場での公演であれば、「トイレに行く」などといって会議の場から消えたり(舞台袖にはけたり)、言葉だけで済ますかスクリーンに投影したりといったことを、「どうできるか?」を考えて作り上げてきたものが本当にうまくオンライン会議という形で表現されています。
劇場で体験するお芝居とは異なる観劇体験。一言で言って楽しかったです。
ここには決して2%なんかじゃない体験がありました。
演劇の未来の話をしよう
役者さんは、目の前にいる相手役の俳優さんの動きひとつで自身の演技が変わるといいます。
役者さんは、お客さんのいる前で演技すると演技が変わるといいます。
画面越しに、相手の俳優さんとお客さんがいるお芝居を演じてどうだったのか、本当に気になります。
新型コロナウイルスが蔓延していて、劇場でできないからの代替……と思って欲しくないなぁというのが私の感想です。
ここにも演劇の未来があるんじゃないでしょうか?
遠く離れた場所にいる二人のオンライン通話による会話劇とか、会議中に登場人物が一人一人殺されていくサスペンスとか
あぁ、そういえばこの商店街のオンライン会議で、登場人物が何人か会議の裏でこそっと電話してたりしてたのも収録しているDVDを販売するとか
何もないから何でもできる、らしいです。これも人からの受け売りで、私はお芝居をやったことがない単なる一人に観劇好きですが。
ゲネプロでこれだけ楽しかったのに、出演者の小林春世さん曰く、
そしてもう一度同じこと言っちゃいますが、ゲネと初日は全然違います。今日が手を抜いたという意味ではなく、でもやはり今日のは本番ではないのです。お稽古として最後に試せるチャンスというか。だから是非、明日か明後日の本番をご覧いただけたら幸いです🌼#未開オンライン
— 小林 春世 Haruyo (@halu0927) April 17, 2020
らしいです。
初日は今日4月18日20時、そして千秋楽は明日4月19日20時開演です。
場所は自宅でもどこでも、料金は無料カンパ制、観てみませんか? 演劇の今、そして未来が詰まっています。
公演名 | 未開の議場オンライン |
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公演日時 | 2020.4.18(土)・19(日) |
[blogcard url=https://mikaionline.jimdofree.com/]
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