「世界から猫が消えたなら」……どうする?

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“世界から猫が消えたなら”

あなたならどうしますか?
ウチは猫を飼っていませんし、そこまでの愛着を持っているかといったらそうでもありません。
でも、「いやっ、困る!」って人も居るんだろうなぁということは分かってしまいます。

昨日読んだ小説「世界から猫が消えたなら」は、猫が好きな人もそうでない人も、どうでも良い人にもお薦めしたい小説。

年々、読む分量が落ちてきていますが、今年読んだ小説では今のところ一番なそんな小説をご紹介。

死ぬまでにしたいことは”10″もなかった。
昔観た映画だった。ヒロインは死の間際に、10のリストを作っていた。
でもあんなのは嘘だ。
いや嘘だとは言わないが、少なくともそのリストに書くことなんてきっとたいしたことじゃないはずだ。
え? なぜそう思うかって?
そりゃあさ、なんというか。まあ僕も試してみたってことさ。恥ずかしいけど、その”10のリスト”をね。

脳腫瘍、ステージ4。 余命わずかと宣告された30歳郵便配達員。
自宅に帰ってきて、倒れ込んだとき、彼の目の前に同じ顔の男が現れた。
黄色のアロハシャツにショートパンツ、頭の上にはサングラスが乗っかかっている。
「アタシ、悪魔っす!」

悪魔の取引で、悪魔の選んだ1つのものを世界から消してしまえば、彼の命を1日延ばすことができるという。

そんな彼の一週間。

著者は映画プロデューサーの川村元気さん。「電車男」「告白」「悪人」「モテキ」に「おおかみこどもの雨と雪」と、話題作を次々と製作されてきた方の初著作。

あまり期待していなかったのですが、あっという間の一気読み。
帯に秋元康さんが書いた”頭で考えた文章ではなく、感じるままに書き殴った言葉が、ストレートに突き刺さる。”というのが、一番近い。

表現もストーリーも荒いんやけど、火曜日に電話が消え、水曜日に映画が消え、木曜日に時計が消えてしまう……そんな彼の最後の一週間の一日一日にいちいち心が動かされます。

20140601-02そして、一緒に暮らす猫「キャベツ」を消すことを提案された時、もちろん彼が選ぶのは……

LINE公式アカウント初の小説として書かれた作品とのことで、実のところ完全にスルーしていたんですが、感じるところが多い素敵な作品でした。

泣かなかったけどね。

仕事帰りの移動中に読み始めて、危なく予定の駅を通り過ぎそうになりくらい没頭して世界に入り込める小説というのはそれほど多くはありません。
電話、映画、時計、猫、そして自分。自身が大切にしているものを本当に大切に思える。そんな感じでハマることのできる作品です。

猫好きでも、猫好きでなくても、猫に興味がなくても、お薦め。