月間利用者数が1億2000万人と言われるアメリカの口コミサイト”yelp“(イェルプ)が4月9日に日本語版サイトをオープンしました。
iPhoneの音声ガイドsiriでも参照されている(日本語では対応していない)口コミサイトで、日本語版サイト開設と同時に、facebookで繋がっている食べログやRettyのレビュアーたちが早速アカウント登録をしているのを見て、ワタクシも早速参加。
日経ビジネスオンラインさんが「食べログキラー「Yelp」が日本上陸」と言った記事を書いてきたり、トップページを見ると「レストラン」「フード」「ナイトライフ」「日本料理」といったお薦めが並ぶのを見て、「なるほどなるほどアメリカ版食べログな訳ね」と勘違いしていたのですが……
ちゃうやん! いや、根本的にこのサービスの敵は食べログやないよ!
サービスを利用してみると、どうも口コミサイトとくくるのはちょっと違うんじゃないかなぁと思った次第。
と、言うわけで、まだ2週間弱のサービス利用ですが、”yelp“ってなんじゃいなというウチなりにご紹介。
“yelp”ってなんだよ?
“yelp“は、2004年にアメリカ・サンフランシスコでサービスを開始し、世界26カ国でサービスを展開している口コミサイト。
アジアではシンガポールに続いて2カ国目になります。
口コミを「実名」で行うことを原則としていて、facebookアカウントでアカウント登録するか、氏名と郵便番号を登録します。
日本で口コミサイトと言うと、やはり「食べログ」が有名ですが、yelpはレストラン、グルメレビューに留まらず、ショッピングや公共施設といったスポット(yelpではビジネスと訳されている)にレビューを残すことができます。
とは言いつつも、現時点で日本語版で多いのはやはり飲食店のレビュー。食べログと比較されるのはやっぱり仕方がないところかもしれません。
食べログキラーなの?
では、その食べログと見比べてみたところ……
正直な所、飲食店のレビューサイトとして見た場合、食べログの圧勝だと思います。
もちろんyelpは始まったばかりということで、スポット情報が少ないという点はあるのですが、食べログと比べると
- シチュエーション、予算など飲食店の比較をしやすい検索方法が乏しい
- 店舗情報が乏しい(店舗やメニューへのリンクは用意できる)
- 写真の取扱いが比較的地味
といった辺りが不満として残ります。
考えてみればこれは当たり前で、yelpはやはりレストランレビューサイトじゃないってことです。
飲食店に特化した食べログと、そうでないyelpではサイトの見せ方が違ってくるのは当然のこと。
食べログは最近は店舗情報を充実させていくぐるなびのようなサイトに移行しつつあってこれからの動向は不透明です(レビュアー軽視しすぎじゃないの? と思うところもありますが、それはまた別の話)が、そういう意味で、食べログとの比較は正直あんまり意味ないんじゃないかなぁと思うわけです。
むしろ飲食店のレビューサイトとして比較するならば、同じく実名性のRettyに近いんじゃないでしょうか?
食べログが飲食店のレビューカタログ化して見せるのに対して、Rettyはレビュアーが飲食店を見せる、「レビューじゃなくて口コミ」という雰囲気がyelpの考え方に近いんじゃないかと思います。
yelpの敵は……
じゃ、yelpと比較すべき本当の敵って誰だよ? というと、ウチが思うのは……
foursquareじゃないでしょうか?
foursquareは位置情報を元にした位置情報サービス「位置ゲー」という評価が一般的ですが、最近ではベニューと呼ばれるスポット情報に少しずつ付加情報を追加するようなことを続けています。
ベニューにチェックインすることで、メイヤー(市長の意)になったりバッジがもらえたりゲーム性があることと、場合によってはそのベニューのオーナーと繋がる可能性があるサービス(ほとんど機能していませんが)です。
スポット情報へのチェックイン機能はfacebookやLINEが提供するロケタッチにもあるのですが、先行者の強みもあって、日本では位置情報を利用するアプリではfoursquareの情報が利用されることが多いようです。
foursquareキラーですよ。
で、ですね。
foursquareをはじめとする位置情報サービスをyelpを比較すると、日本語版としては後発でありながら、先行するサービスと十分戦える……いや、駆逐するくらいの実力を秘めているんじゃないかとまで思ってしまいます。
- スポット情報がリッチだ
レストランレビューとしては不足していても、地図、電話番号、ホームページURL、営業時間など先行サービスよりも充実している。 - スポット情報が編集しやすい
スポットの追加や修正依頼がfoursquare(日本語対応がダメダメ)やfacebook(まともに編集できない)と比べると格段に手をつけやすい。 -
ブックマークが使い物になる
簡単にブックマークに追加できて、iPhoneなどのデジタルデバイスで必要なときに検索することができる。 - 変なスポット情報がない(少ない)
foursquareでは「○番線ホーム」といった「どーでもええやん」という分類があったりする。
スポット情報が充実してくれば、ますます位置情報サービスとしての魅力が増してくるでしょうし、レビューを書く、行きたいところをブックマークしておく、行ったところをチェックインして履歴を残していくという口コミ情報を核にした位置情報サービスの進む道のど真ん中を走っている印象です。
ウチはこう使う
yelpが総合的な位置情報サービスだと考えると、こんな使い方をしようかなと思っています。
- 口コミレビュー
飲食店関連の口コミレビューを書き込むのは、食べログと併用。Rettyの立ち位置が難しいところ。Rettyでできることはyelpでも出来るので、ちょっと悩みどころ。当面併用するけど。
飲食店以外の口コミレビューはfacebookやgoogle+、あとtabとかがあるけどこの辺りはyelp以外は基本的に口コミを書き込むのはやめようかなと思います。 - チェックイン履歴
本当はyelpに移行したいんだけど、foursquareのチェックインをIFTTTを経由してEvernoteに自動的に残していく設定が後で見返す時にものすごく楽なので、当面はfoursquareでいかざるを得ない。残念。
yelpの位置情報を使うアプリが出たり、IFTTTに対応して履歴データをエクスポートできると捗るんやけどなぁ。 - ブックマーク
tabだとか、Evernoteに位置情報を入れて行きたい場所ノートブックを作るなどしていたけど、基本yelpで一本化。飲食店のブックマークは食べログとRettyにあるけど、この辺りは悩みどころ。
口コミサイト、位置情報サービス、SNS、色々な面で注目を浴びそうなサービスですが、ウチはある意味「ライフログサービス」としての面に期待しています。
面白くなってきたなぁ。
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