三部けい「僕だけがいない街 6」上質のミステリとタイムリープ

infoこの記事は2015年7月5日に書いたものです。
現在とは紹介させていただいている内容が異なる可能性がありますのでご注意ください。

僕だけがいない街6
また恐ろしい巻末のヒキやな……

以前に取り上げた漫画をもう一度取り上げます。
三部けいさんの「僕だけがいない街」、マンガ大賞2014年2位、2015年4位。間違いなく面白いんだけど、もしかしたら実はこの面白さに気づいている人はもっともっといてええんやないの? と思わせる作品です。

上手くいかない現実を抱えた青年は、日々もがき続ける。自らの身にのみ起きる【時が巻き戻る】という不可思議な現象も、青年の不満を加速させていた。…だが、それはある日を境に変わった。大きな事件が、青年の周囲を否応なく変化させていく。
「同級生の死」「連続誘拐殺人事件」「救えなかった友人」「犯人の正体…。」
“過去”に起きた出来事に向き合う時、青年の“今”が動き始める…!!

一文で言うなら「アメリカのTVドラマシリーズのような強烈な”ヒキ”を持った良質のサスペンス

娘と一緒に本を探しに行っていた時に、試読用の販促ブックで第1話を読んで1巻を即購入、家に帰って読んで翌日には、その時点で発売されていた3巻までを購入して一気読み。
それでも乾きが癒やされずに、次の日に1巻からまた読み直し。そんな感じ。
元々、「面白そう」と思ったのは主人公・藤沼悟が持つ”再上映(リバイバル)”という能力の設定。何らかの事件に悟が立ち会わせてしまった時に、その事件が起きるきっかけになった出来事が発生する直前まで時間が引き戻され、時間をくり返す。
マンガでこういうタイムリープ物を見る機会がそれほど無かったので、興味を持って手に取ったのですが……

2006年、漫画家志望の29歳の悟、理由を見つけられない”再上映”の輪から抜け出せた翌日にもたらされる母親の死。母親殺しの汚名を着せられ、”再上映”を望む悟が飛んだのは、母親が死ぬよりもはるか昔の1988年2月。

物語のスタートの2006年から、1988年へ飛び、また2006年、そして再び1988年へ。未来の知識を持ちながら体は小学生の悟が少しずつ「真犯人」に近づいていって、そして。
今回の6巻でとうとう「真犯人」の正体が明かされます。5巻の最後でやっぱり見事な「ヒキ」の時点では、「まだどうとも物語は転がるよ」という感じだったのですが、あっさりと冒頭の31話で「真犯人」が判明。その後、「真犯人」の物語が語られたあとは、舞台は2003年という新しい時点に。

とにかく、山ほど張った伏線の張り方とその回収、コミックス1巻ごとのラストの強烈なヒキは見事というしかありません。
「真犯人」が判明したのにもかかわらず、新たな2003年の物語がスタートしたことで、益々物語の深みが増しています。ちょうどアメリカドラマなら「シーズン3」というところ。

今からでも遅くありません。ミステリ、タイムリープ、サスペンス、アメリカのTVドラマシリーズ、パラレルワールド……琴線に触れる言葉が一つでもあれば「ハマる」作品だと思います。

そうそう、来年1月にフジテレビのノイタミナ枠でTVアニメになることが決まりました。あぁ、確かにこれは深夜アニメ向きだわ。原作に添って丁寧に描けば、ますますはまる人が増えると思うなぁ……