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タイムトラベルな日々:三部けい「僕だけがいない街」

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http://www.kadokawa.co.jp/sp/bokumachi/しばらく時間が空いてしまいました。
タイムトラベルな日々。4作目は、まだ完結していない物語を取り上げようと思います。

「僕だけがいない街」
今年のマンガ大賞2014で第2位になった作品で、タイムトラベルとミステリが見事に融合された作品になっています。

角川書店が発行する月刊漫画誌「ヤングエース」に連載されている作品ですが、店頭で何とはなしに第1巻を手にとって一気読み。次の日には既刊の2巻、3巻を即買ってしまいました。

と、言うことで、未完の状態ですが今イチオシのタイムトラベル物ということでご紹介。

28歳でまだメジャーな漫画家になることをあきらめていない藤沼悟。
彼には不思議な”望んでいない”能力があった。

時が巻き戻る……彼は再上映(リバイバル)と呼んでいる。
不幸な事件が彼の周りで起ころうとする時に、時が巻き戻り、そしてその事件を防ごうとしない限り再上映は繰り返される。

そんなある日、事件を防ぎ交通事故にあった悟の前に、ちょっと苦手な母親がやってくる。
母との時間の中で、18年前に巻き込まれた殺人事件を思い出させられた時、また再上映が起こる。

この物語では、主人公である悟が小学生の時に発生した児童誘拐、殺傷事件と、2006年の現在に起こる事件がリンクしています。

その二つの時代を繋ぐのが、悟の持つ特殊能力の”再上映”

強制的に同じ時間をループする”再上映”から抜け出すためには、悟は積極的に事件に関与して防がなければなりません。そして、事件の芽が摘まれたときに再上映は終わります。

タイムトラベル物とミステリを繋がる物語は決して先例が無いわけではありませんし、同じ時間をループする物語もSFでもミステリでも少なからず存在します。
それでもこの物語が「いいな」と思うのは、物語に散りばめられた謎の見せ方

悟の”再上映”は第1話で何の説明も無く描かれ、バイト仲間の女子高生・アイリとの関係性やちょっと疎ましく思っていそうな母親との距離感、そして18年前に発生した事件と当時の同級生。
どの登場人物も事象も「もう少し説明が欲しいな」と思う絶妙の寸止め加減で、続きを読まなきゃいかんわなと思わせます。
特にコミックスらしいそれぞれの巻末の引きは強烈ですよ。早く次の巻を読ませてくれっ! と喉の渇きを覚えるくらい。

2006年の悟と、1988年の悟。
それぞれの時間で巻き込まれる事件は、山ほどの伏線を張って拡がり続けています。
さぁ、続きはどうするっ?(どうなるっ?)