生成AIの先に見えるもの。全国自治体広報LABオフ会で感じた自治体広報マンのとてつもない熱量

尼崎市で開催された「全国自治体広報LAB」のオフ会に参加してきました。

今は広報担当でもないしなぁとグループには参加していなかったのですが、

こんな面白そうなちらしを見せられたら行くしかないじゃないですかっ!!

登壇者も自治体の広報担当では名をはせた人ばかり。なかなか自治体では生成AIの活用が進んでいるとはいえない現状ですが、広報のど真ん中で奮闘されている方々がどう考えているのか本当に興味がありました。

なぜ「報」だけでなく「情報」なのか。自治体広報担当が見ているもの

第1部は自治体広報LABの発起人である愛媛県内子町の兵頭裕次さんのご講演。
公益社団法人日本広報協会が主催主催する「全国広報コンクール」で2年連続の内閣総理大臣賞を受賞、担当を離れたあとも自身のnoteで全国の広報担当者にテクニックや思いを伝えています。

note(ノート)

兵頭裕次|広報うちこ担当者の内子町非公式noteさんの記事一覧です。…

ChatGTPを利用して広報誌の特集の構成案を出させてみたり、記事の校正をさせてみたりと「AIすごい!」と感じることも多いという兵頭さん。
画像生成AIを使って星空の下で満開の桜が川面に映る風景をタイトルバックにして、そんな話から始まったのですが、広報担当者として兵頭さんが大切にしてきた言葉に、会場に参加した全国の自治体広報マン(北海道からの参加者もいました)の熱が上昇していきます。

単に物事を知らせるだけではなく、『情』報として「ふるさとの香りがする広報紙」を届けることから、広報マンが自治体の中で属人化することにについても決して否定せず「職人」としてしっかりと住民の側を向く公務員として働くことなど本当に素晴らしい講演でした。

最後は、自身が撮影した内子町の桜の写真を背に「この写真の方が内子町の住民に好きと言ってもらえると思っています」という兵頭さんの言葉は本当に素敵でした。

どこに異動しても。議会広報を変えた男

第2部は登壇者6名が3か所に分かれての分科会。どの登壇者の話も聞きたかったのですが、関西で名をはせる「W村田」のお話を聞くことに。

まずは奈良県王寺町の村田大地さん。

町の一人広報そしてシティプロモーション担当としてコロナ禍の中、町内の人のためだけのヒミツの花火を企画するなど目一杯活躍していたのですが、昨年4月に議会担当に異動。

しかし、そんな中でも広報担当で培った能力を発揮して、議会広報の改革に手をつけています。

報告型の議会だよりを、住民の参加を促す発信型の広報にリニューアル

その結果、町議会の本会議の月間アクセス数が6倍に。

住民の側を見て、正しい広報をすれば住民は「議会に関心がない」ワケではないことが分かります。

後半戦は全国議会広報コンクールで初参加で入選(全国10位)した、その広報誌を題材に、どう取り組んできたかを紹介。

2色刷にもかかわらず読みやすい、歳入よりも歳出を中心に紹介する構成など住民の関心にそった記事の取り上げ方など広報担当者にとっては学ぶことばかりのテクニックや、

リニューアルにあたって、何よりも大変な行政内部への働きかけなども包み隠さずに説明。

しかも何より話が面白いのが彼の魅力。30分の短い時間で広報担当を離れたあとの職員の可能性を強く印象づけてくれました。

いやぁ、確かにこの議会だよりなら手に取りたくなるよな。

議会情報をお知らせする「議会だより」を、令和5年8月よりリニューアルしました。コンセプトは「…

シティプロモーションは何のためにやる?

W村田のもう一人、奈良県生駒市の村田充弘さん。

元々、広報にはあまり興味がなかったという彼ですが、地方公務員アワードを受賞した大垣弥生さんという先輩にも負けない生駒市らしい広報、シティプロモーションを続けています。

そんな彼も、担当についたときは試行錯誤を繰り返しています。シティプロモーションとして転入PRを取り組んで、メディアにも取り上げられたとき。

こんなことを言われて、取組に変化ができてきます。

生駒市では「いこまち宣伝部」という生駒の人・店・行事・風景の魅力を市公式SNS「グッドサイクルいこま」で発信する活動が始まり、2022年度のグッドデザイン賞を受賞するまでになりました。

実は私も過去に同様の取組を市長提案したことがあるのですが、「いこまち宣伝部」の取り組みの凄さは、単に「市の魅力を市民に発信してもらおう」ということだけではありません。

「いこまち宣伝部」のメンバーは1年間限定。

その1年間で取材を通してメンバーが生駒市を知って、

地域社会への関わりが変わっていきます。

そして、その発信が、その関わりがまちに変化をもたらしていきます。

シティプロモーションの本質とは何かと考えさせる本当に素敵なお話でした。


第3部はもう一度皆で集まって、登壇者全員のクロストーク。

残念ながら別室で分科会をやっていたのでお話は聞けなかったのですが、それぞれの活躍はいつも耳にしているものばかり

愛媛県西予市の堀内智代さんは、西日本豪雨災害に直面したときの広報担当者の災害と広報の話が私が災害担当時だったときに一番の指針にしていたくらい大切なものですし、

巻頭「思いを紡いで」市職員募集、令和6年度当初予算、経営改革かわら版、人事異動、第31 回四…

兵庫県川西市の池田次郎さんは、普段からレタッチや映像のテクニックを学ばさせていただいています。

福島県伊達市の橘内清隆さんのnoteで公開されている撮影テクニックは自治体広報マンにとって最高の教材です。

note(ノート)

伊達氏発祥の地で、伊達鶏や桃、イチゴ、あんぽ柿の産地の福島県伊達市の元広報紙主担当。秘書広報課には係員で4年、係長で3年…

埼玉県久喜市の金澤剛史さんは昨年の公務員アワードの関係でこのブログでも取り上げましたが、お話しさせてもらって、改めて圧倒されるばかり

Holg

『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2023』、4人目の受賞者の紹介です。 金澤 剛史(埼玉県久喜市 健…

登壇者の話はきっと参加者の心に届いたと思います。

後半には実際の広報誌をもとに実践的なアドバイスがあったり、「そもそも広報(誌)っているの?」といった際どいながらも熱のこもった議論がされました。

自治体広報担当がしっかりと繋がってお互いの知識や技能、やってきたことをリスペクトを持ってパクる「パクリスペクト」してそれぞれの地域の住民に貢献していこうという素敵な空間は、この後の懇親会にも続き、とっても素敵な一日でした。

……さっそく、自治体広報LABのグループへの参加申請しちゃいました。

この記事を読んで気になった全国の自治体広報マンの皆さん、こんなところで繋がってみるのいかがですか??