空晴「ふたり、静かに」

空晴「ふたり、静かに」何度でも見返したくなっちゃう

空晴「ふたり、静かに」

空晴「ふたり、静かに」

お芝居を劇場に観に行くのは久し……なんてフレーズはもう飽きました。

ワクチン接種会場の休日応援の代休を取って、in→dependent theatre 1stに、お芝居を観に行ってきました。

independenttheatre

まん延防止措置がまだ取られている大阪、演劇などの劇場は5,000人が上限で大声を出す場合は50%以内の収容率が現在の要請内容です。
in→dependent theatre 1stは可動式で80席くらいが上限。
舞台と客席の間もいつもより取っているので今日は30席くらいでしょうか。入口では発熱チェックに消毒はもちろん、観劇中もマスクは装着、館内は常時換気と徹底的な対策を取っています。

……これ、やる側、めっちゃ大変やろうなぁ。
といっても、ウチにできることは少ないけど、この後、高知、東京と公演は続くのでマスクごしに大きな声でエールを送る。

感情が揺れ動く女性3人芝居

「シズカ」と名乗る幼馴染が二人…とある決意をした夜、カップ麺が出来上がるまでのほんの70 分の出来事。

公演案内ページより (‘21.6.29確認)

物語はあるマンションの一室。
帰宅した「ともえ」の部屋のベルを鳴らしたのは、小学校時代の同級生を名乗る「シズカ」だった。訝しむともえを前に必死に話すシズカ、そこにもう一人「静」という女性もやって来て……

「ふたり、静かに」は、先日活動再開を発表した演劇集団キャラメルボックスで同期入団の女優3人のユニット「ねこはっしゃ。」に、空晴の岡部尚子さんが書き下ろした作品。

初演は2018年に東京・阿佐ヶ谷のみで上演されたので、残念ながら私は生では観ていないのですが、公演DVDで視聴済み。
ねこはっしゃ。」というネーミングで、室内のワンシチュエーション、女性3人というと、ついつい三谷幸喜さんも脚本を書いていた「やっぱり猫が好き」を思い出してしまいます。あちらは3人姉妹ですが。

空晴の作品は、言葉や態度の行き違い、ダブル・ミーニングなどで登場人物も観ている側の感情もグルグルと(それでいて柔らかく)揺り動かす作品なのがいいなと思っているんですが、この作品でもその点は健在。
「ある決意」をしたともえの前に現れた二人の「しずか」とのやりとりが、優しくて、厳しくて、所々に面白くて、なんだか「いいなぁ」と思ってしまいます。

終盤に良質のミステリの解決編を見ているかのように伏線……というか、疑問点が解決されていって、ストンと「オチ」を入れるラストも最高です。
一回見ると、それぞれの謎を知った上で2回目が観たくなる、そんな素敵な作品です。

あ、「ふたり、静かに」というタイトル。DVDで観ていた時には全然気づいていなかったんですが、今日、西verを観たあとに突然気づきました。
「ふたり、静かに」……どこにイントネーションをつけるか、強く読むか、弱く読むか……岡部さん、あなたは天才か……

東西キャストの3人が魅力一杯

今回は東ver、西verというダブルキャストでの公演で、それぞれの3人の魅力が一杯。
途中登場する空晴の岡部尚子さん、古谷ちささんはしっかりと爆笑を取るあたり「おいしいなぁ」というところ。

ともえ (東ver. 森めぐみ/西ver. 兵頭祐香)

主人公で、舞台になる部屋の主「ともえ」は東ver.がねこはっしゃ。の森めぐみさん、西ver.が兵頭祐香さん。

ともえは、物語の中で悩んだり、苦しんだりといった表情が多いのですが、笑顔を見せた瞬間の表情が本当にどちらも素敵。いやぁ、誰だよ、このともえを苦しめるヤツは。

森めぐみさんは知的な美女というイメージを私は持っていたんですが、キャラメルボックスのクリスマス公演のキャラメル配りで、慌ててコロコロと笑顔を見せるのが素敵でした。
この舞台でも、クールな表情、泣き顔、笑顔と表情の変化がとても印象的です。

兵頭祐香さんはとにかく可愛い女優さんという印象。
京都で超ロングラン公演しているノンバーバル(非言語)エンターテインメント「GEAR」にドール(人形)として出演されています。
すっと背筋が伸びて意思の強そうな視線と、 爽やかすぎる笑顔で一発でノックアウトされてしまいます。

シズカ (東ver. 原田樹里/西ver. 伊藤えりこ)

ともかの小学校時代の同級生だと名乗る「シズカ」、東ver.がねこはっしゃ。の原田樹里さん、西ver.が伊藤えりこさん。

関西弁でまくし立てて、物語の大半を動かしていく元気印。

原田樹里さんは、関西で出演されることがあれば「絶対に観たい」女優さん。「夏への扉」のベル役や「スロウハイツの神様」の環役を観た時は完全に心奪われました。
大阪出身なので、シズカの関西弁のスピード、抑揚はもちろん完璧。ガチャガチャとした舞台でも台詞を発したと途端に目が離せなくなります。

伊藤えりこさんははじめましてでした。原田樹里さんとちょっと違うシズカで、とにかく元気、舞台の端から端まで動き回って、観ていて楽しかった。
他の舞台でも出演されていたら、また観たいなぁ。

静 (東ver. 林貴子/西ver. 是常祐美)

最後に登場する「静」、東ver.がねこはっしゃ。の林貴子さん、西ver.が是常祐美さん。

林貴子さんは、キャラメルボックスで出演されていた時のイメージが、直近で(配信ですが)観た「全員ピンクレンジャー」での演技が衝撃的で完全に上書きされてしまいました。
初演の静よりも「濃い」静になっているような気がして、ともかに言い放つ言葉の鋭さがすごく良かったなぁ。

是常祐美さんの「静」は本当に適役。初演のDVDを観た時に、なんとなく「静」はもたいまさこさんのイメージで、関西でやるなら本当に是常さんで観てみたいと思ったので、それが叶って個人的には嬉しい。
真顔で辛辣な台詞をズドンと発するのが結構好きで、ともえへの長台詞は本当にゾクゾクしました
カーテンコールで岡部さんが「何にでも出てる」なんて言ってましたが、自分が観に行くお芝居に是常さんがいると、なんだか安心します。


いやぁ、東西verともどっちも見て良かった。
物語の構造上、2回みるとめっちゃ面白い舞台なので、高知、東京で観に行く人はぜひ東西それぞれのverを観劇するといいですよ。

夏空

あーーーーー楽しかった。

劇場の外にでると入道雲もくもく。夏やなぁ……元気出たので、明日からの仕事も頑張ろう。