- 2017年11月11日
七月隆文「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」2回読んで、2回目に泣く
読み返したくなる小説、漫画ってあるじゃないですか?驚愕のトリックで、意外な犯人で、物語の登場人物が愛おしくて……色んな理……
元・埼玉県入間郡三芳町職員で、現在は東京都中野区の広報アドバイザーとして活躍されている佐久間智之さんの5冊目の著書が刊行されました。
今回のテーマは、ほとんどの自治体で使われているMicrosoft Officeを使用したデザイン術。
個人的には「やられたぁ」という感じです。
私自身、職場でちらしのデザインなどをすることも多く、作るたびに「があさんはセンスがあるから」ということを言われて、「いや、ちゃうねん。センスやないねん。ワードやパワポなどのツールをどう使いこなすかだけやから誰にでもできるねん」とそのたびに言い返して「うん、伝わってない」と思っていたので、ブログでそのあたりをまとめようと思っていたときにこの書籍を出版されることを聞いて、「さすがやなー」と思った次第。
タイトルに「公務員のための」とついていますが、実はもっともっと広く「ちらし」や「ポスター」、「案内書類」などを作らないといけないオフィスワーカーや商店街・個人商店の方にも役にたつ書籍なので、今回も猛烈にプッシュしたいと思います。
自治体職場の多くは、デザイン、広報系の職場でない限りAdobe PhotoshopやIllustratorが使えません。
私の職場もそうですが、Microsoft WordやExcel、Power Pointでちらしを作ろうとしても、デザイン用のソフトウェアではないと思ってしまうと、そこで思考停止しがち。
この本では、第1章を「作り始める前に! 基本デザイン&操作の基礎知識」、第2章を「まずはこれだけ!Officeソフト基礎操作編」として、Officeソフトの使い分けやデザインワークに必要な設定や操作方法などを丁寧に説明しています。
個人的にはこの第1・2章が「要」だと思っています。
一般的なデザイン書ではあまり書かれることのない行頭や、上下左右、行間の余白の調整などもそれぞれ「どこから設定するのか?」「どうしてその設定を調整する必要があるのか」がコンパクトに説明されています。
そして、それと平行する形で、いきなりソフトウェアで作り始めるのではなく、「意図をもってデザインする」ことを身につけられるように構成されており、とても分かりやすい解説です。
そして、佐久間さん自身が公務員だったこともあって、「何が理解しづらいのか、つまづくのか」が良く分かっている内容なのも素敵です。
下書きの項で「起案するタイミング」を囲みで紹介しているのは「さすが(元)公務員っ!」と言いたくなりました。
私も健康局に在籍していたときにがん検診受診勧奨のポスターをデザインしたのですが、起案したあとで「これが書いていない」「これも書かないといけない」と後出しで追加の要素を上司から出され、デザインはがったがたで頭を抱えたことがありました。こういうの、意外と大切なんですよねぇ。
第3章の「こんなに変わる! Officeソフト応用操作編」、第4章の「見よう見まねで完璧! Officeで作るデザイン実践編」は、実践的なデザインワークについて、こちらもコンパクトにまとまっています。
第3章では、画像や文字のレイアウト、そしてその飾り方などを説明しています。
特に「写真の切り抜き」がOfficeソフトでできることを知らない人も多いんじゃないでしょうか。人物や物の切り抜きはPhotoshopなどのソフトウェアを使わないとできないと思っていた人には、ぜひ試してみて欲しい方法です。最近の役所のちらしにありがちな「いらすとや」多用のちらしとはひと味違うものが作ることができます。
第4章は実践編、実際に役所で読者がつくることになるちらしなどを手順に沿って説明しています。
ここでも光るのがいかにも役所で作りそうな実例なこと。
「保育所・学童保育室 入所受付案内書」「(介護保険料)特別徴収の仮徴収と平準化の説明」「財政状況・歳入予算報告」「(戸籍などの)証明交付請求書」など、元公務員の視点で的を射た題材で理解を進めるのを助けます。
さらに、第4章で紹介された実例は出版元の学用書房のホームページから特典テンプレートとしてダウンロードすることができ、本に書かれた内容をそのまま試すことができるだけでなく、自身が作る書類にも転用することができます。
全般的に、以前出版された「パッと伝わる! 公務員のデザイン術」「すぐに使える! 公務員のデザイン大全」よりも、初心者向けでしかも実践できる作りになっており、新規採用者にはまず読ませたい教科書のような書籍です。
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新型コロナウイルスの蔓延で、感染症が窓口で市民の方を目の前にして説明するという方法がとれないことが増えています。
そうなると、ちらしや説明文書を作成して郵送する機会も増えてきます。
「ちらし」などを作る技術を高めることは、広報担当以外の自治体職員にとって必須の能力になってくるに違いありません。
著者の佐久間さんは、埼玉県三芳町で広報担当として日本一の広報紙を作り上げるなど、広報の分野ではよく知られた職員ですが、元は特にデザインに関しての知識があったわけではないといいます。
自身が努力して手に入れた知識や技術を惜しみなく、我々に提供していただいているのも「日本中の自治体職員の広報力があがることが社会を変える」ことだと信じているからです。
この書籍で得るデザイン作成術は、きっと自治体職員としてのこれからの基礎的な力になるに違いありません。
公務員のための「1枚デザイン」作成術 Officeで簡単! /学陽書房/佐久間智之
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