- 2019年2月9日
今村寛「自治体の“台所”事情 “財政が厳しい”ってどういうこと?」自治体財政を支えるのは?
国も自治体も「財政が厳しい」とよく言います。 しかし本当に財政が厳しいのでしょうか?財政が厳しいとはどういうことな……
乙一さんの作品は、なんとはなしに避けていたのですが、オムニバス短編集で「Calling you」を読んでグッときて、本屋で平積みされていたこちらの作品を手に取りました。
【物語を紡ぐ町】で、ときに切なく、とくに温かく、奇跡のように重なり合う6つのストーリー。
ミステリ、ホラー、恋愛、青春……乙一の魅力全てがすべてが詰まった傑作短編集!
集英社が運営されるサイト「RENZABURO」の中の読者参加型企画「オツイチ小説再生工場」で生み出された6編の短編作品。
読者が創作したボツ小説を乙一さんがリメイクして商業作品として再生するという企画で、それぞれの元作品の魅力をどう引き出すかに注力されています。
後書きには乙一さん自身が、それぞれの元作品から得た着想や魅力を丁寧に説明されています。
6つの作品の内で、一番気に入ったのは最後の作品「ホワイト・ステップ」。
【物語を紡ぐ町】文善寺町に記録的な雪が積もった一月一日。私はちいさなカメラを忍ばせて町に散歩に出かけた。そして、公園で奇妙な靴跡を見つけた。
たった一人で年越しした僕は、コンビニで買ったおにぎりを公園で食べていた。降り積もった雪の中、たった一人の公園でなぜか雪を踏みしめる音が聞こえた。
母を亡くした女子高生と無為に暮らしている大学院生。雪の日に足跡を通じた不思議な巡り合わせが訪れる。
アイデアが秀逸。いわゆるパラレルワールドものなんですが、2つの世界を登場人物が跳ぶのではなく、2つの世界が平行に存在しながら雪の日に奇跡的に交わり合うというストーリー。
物語の着地点が綺麗で、未来への希望を見せてくれるのが物凄く大好きです。
「王国の旗」:【車のトランクなう】……彼氏からのメールにそう返信した早苗がたどり着いたのは廃墟となったボーリング場。そこには「ウソの生活」から逃げてきた子どもたちの王国だった。
恩田陸さんのような雰囲気を持った作品。物語の導入部の引き込み方が巧い。すっと早苗の行動に興味が惹きつけられて物語に入って行くことができます。
ぶっ飛んだ内容の「青春絶縁体」は個人的に好きな作品。部室に籠もっている額縁メガネの小山雨季子先輩とのやり取りが楽しくて、学生時代が懐かしく感じられてしまいます。こんな経験はないのにね。
他の作品もホラーっぽい作品やコメディっぽい作品が収録されているので、様々な色合いの作品を楽しめるのは良いですね。
乙一さんのファンからは「こんなの乙一さんの作品じゃない」とか「二次創作じゃん」という意見もあるようですが、ウチは好きですけどね。
最後の「スノー・ステップ」できちんと他の作品との結びつきも描いていたり、楽しい短編集でした。他の乙一さんの作品も読んでみよう。
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