2012年に公開され、大絶賛された映画「鍵泥棒のメソッド」
倍返しと言う前の堺雅人さん、香川照之さんのコンビに、広末涼子さんが絡む、とんでもなく面白い作品を、キャラメルボックスが完全舞台化しました。
映画を作った内田けんじ監督も大絶賛の舞台版「鍵泥棒のメソッド」。
東京公演を終えて、ようやく神戸にやってきました。と、いうことで今回はBlackCastヴァージョンを観劇。
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=ixaSheT4MVo[/youtube]
「鍵泥棒のメソッド」は第38回日本アカデミー賞の最優秀脚本賞も受賞している作品。
自殺し損なった売れない舞台俳優の桜井は、仕事を終えた「殺し屋」のコンドウが銭湯で石けんに足を取られてひっくり返った隙をみて、ロッカーの鍵を泥棒して人生を入れ替わってしまいます。
コンドウは運悪く記憶を失い、そこに理由あって婚活中の女性編集者が絡んできて……
映画でありながら、演劇的というか、伏線たっぷりの物語を個々の役者さんがコミカルに演じ、2時間という限られた中でストンと気持ちよくオチを付けてくれる、本当に素晴らしい物語です。
ですが……なんたって物語の冒頭は非常に重要な銭湯のシーン。
これを舞台上でやるのは難しいだろうな……と思っていたのですが。
やっちゃってくださってますよ。
なるほどっ! 映画の表現とは別の「演劇」らしいやり方できちんと物語のきっかけとなる銭湯のシーンを表現してしまっています。
……余談ですが、このシーンでの役者さんの裸を見て呆然とします。それぞれの筋肉の付き方の綺麗なこと。ウチのぶよんぶよんの体とはえらい違いですわ。
しかも、鍵を泥棒してすぐダンスシーン。
桜井がコンドウの衣服に着替えている間にもダンスが進んでいくのですが、これがまたいちいち格好良いんだ。本当に。
特にダブルキャストでヒロインの香苗を演じる岡内美喜子さんと渡邊安理さんがキレッキレで、見惚れる見惚れる。
映画版は2時間8分、この舞台版は2時間。
たった8分間の違いですが、映画と演劇ではアプローチが異なっているため、演出の成井さん曰く「映画をそのままやろうとすると4時間くらいになる」とのこと。
ですから、映画版からするとかなりシーンがカットされているはずなんですが、そんな気配は微塵も見当たりません。
冒頭のコンドウの殺しのシーン、銭湯の石けんのシーン、香苗が編集部で部下に結婚することを告げるシーン、コンドウから桜井への演技指導、そして「キューン!」まで。
映画版を見ている人なら逃して欲しくないシーンが、本当にそのままで目の前で演じられているのには感動すら覚えます。
それでいて、やっぱりキャラメルボックスのお芝居なんですよね。不思議と。
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=t7y2M16mikk[/youtube]
終演後、制作総指揮の加藤さんにお会いしたので、色々とお喋りしたい気持ちもあったんですが、とにかく伝えたかった一言。
「映画版を見たくなっちゃった。」
BlackCastを見ると、WhiteCastも。舞台版を観ると、映画を。
で、映画を見ると、も一回舞台を観たいと思ってしまう……そんな舞台でした。
新神戸オリエンタル劇場で6月10日(火)まで。
映画版を好きな人でも絶対に「大」満足してもらえると思います。
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