- 2021年1月30日
谷浩明『公務員のための伝わる情報発信術』自治体職員には広報研修が真っ先に必要だと思う
東京都杉並区役所で広報専門監を務める谷浩明さんが、公務員向けの書籍「公務員のための伝わる情報発信術」を出版されました。 ……
子どもの頃からの小説好きです。
学生時代と比べると圧倒的に読書量は減りましたが、iPhoneには「ブクログ」のアプリを入れて、 興味を持ったものがあれば、すぐに本棚に登録しています。
……貯まる一方で一向に減りませんが。
ミステリから恋愛小説までどんなジャンルでも読みますし、好きな小説を挙げていくとキリが無くなってしまうのですが、ウチが聴いているPodcast「Apple News Radio ワンボタンの声」で、Time Machine Radioという過去の1時期を振り返るという企画があって、聞きながら「そうそう、時間旅行の小説なら……」と急に思いついたのでした。
と、いうことで、今日の4Cardsは、タイムトラベルが主題になっているものを選んでみました。
「Time is money」という言葉がありますが、そのことを痛切に思わせたダイヤの小説が北村薫さんの「スキップ」。
この作品は北村薫さんの「時と人」をテーマに書かれた3作品の1作目で、他には「ターン」「リセット」があります。3作とも独立した作品ですが、ウチが好きなのはやはりこの第1作の「スキップ」ですね。
物語は17歳の高校生・一ノ瀬真理子のある1日から始まります。
文化祭の1日、自宅に帰ってきてレコードをかけてうとうとと眠りについてしまいます。眠りから覚めたとき、周りは自分の知らない部屋、世界。彼女は25年後の世界、42歳の自分に「スキップ」してしまうのです。
初めて読んだのは17歳の真理子さんに近い年でしたが、今は42歳の真理子さんの年に近くなって来ています。
何度も読み返している小説ですが、ウチがこんな風に「スキップ」してしまったとして、真理子さんのように振る舞えるのか、覚悟を持って歩くことができるのか、いつも考えてしまいます。
言葉の一つ一つが美しい小説です。
ウチが覚えている限り、小説を読んで初めて泣いてしまった作品です。物語を閉じる文章だけを読み返してもうるっと来てしまいそうになります。
タイムトラベル物の中でも荒々しくて魅力的なスペードの作品は「リプレイ」。
この作品は、今は無き梅田の旭屋書店で平台に置いていたのを、何も考えずに勘で手にとって買っちゃった小説。学生時代は、「ウチは良い小説をかぎ分ける嗅覚があるんや」と思っていましたが、単に売れていただけだと思います(^^;;
物語は一人の男が、突然、心臓麻痺で死を迎えるところから始まります。
死にたくない、と願いながらも命の終焉を迎える……しかし、男は自分が死んでいないことに気付きます。しかも、目が覚めた場所は18歳の時に自分自身。頭脳も経験も死んだときのまま、しかし時間は18歳の時の自分に。
ギャンブルに仕事に女に、自身の過去をやり直していく男ですが……あの死を迎えた瞬間に、男はまた死を迎えるのです。
繰り返される人生の中で主人公が感じる生々しい痛みと荒々しい感情が読む手を止めさせません。夢中になって読み進めて、「ラストはどうなるんだろう?」と思っていたら、綺麗に物語を閉じてもらえるので読後感も素晴らしかったです。
タイムトラベル小説を挙げろと言われたら、外すわけにはいかない作品だと思っています。
時間旅行をテーマにした物語の中には、恋を描いたものもたくさんありますがそんなハートな物語で一番大好きなのが「クロノス」。
小説のタイトルとしては、「黄泉がえり」などの作品で有名な梶尾真治さんが書いた「クロノスジョウンターの伝説」の中に納められた「吹原和彦の軌跡」という短編になるのですが、それ以上にウチが好きなのは2005年にこの小説を舞台化した演劇集団キャラメルボックスの「クロノス」という作品。
交通事故が原因で死んでしまった片思いの相手を、自身が勤める会社で作っているタイムマシン「クロノスジョウンター」で救いに行こうとする吹原。
ですが、クロノスジョウンターには致命的な欠陥があり、過去には10分ほどしか滞在できず、そして……
CSでこの公演の千秋楽が放送されており 、偶然目にしたウチはテレビを前にグズグズに泣いてしまい、公演を観に行かなかったことを激しく後悔したのでした。
これがきっかけで以降の公演には頻繁に行くようになり、いつの間にかサポーター(ファンクラブ)になって公演は欠かさず行くようになったのはまた別の話。
この物語に登場するクロノスジョウンターの致命的な欠陥のため、吹原は何度過去に跳んでも彼女を救うことができません。たった10分で「君は死ぬ」ということを理解させて、事故を回避させなきゃならない。しかも妻でも恋人でもない「片思い」の相手の女性を。
くじけそうになる男を突き動かす「想い」に、共感ととんでもなく肩入れしてしまいます。
吹原は馬鹿な男かもしれませんが、大好きな男です。
そこにある幸せのように大事にしているクローバーの作品は「夏への扉」です。
ウチが生まれる前の1970年に書かれた古典SFで、日本で「好きなSFベスト○○」と言われると、常に1位や上位に位置する名作中の名作です。(アメリカではそれほどの人気はないようですが)
1970年の恋人と友人に裏切られて、主人公ダニエルはとんでもなく落ち込んで、冷凍睡眠で未来へ行こうとまで考えるのですが、一転、彼らにやり返してやらないと気が済まないと彼らの家に乗り込んで行きます。
ところが、彼らにはめられて望んでいなかった冷凍睡眠で2000年の世界へ。 愛猫のピートとも離ればなれになって、ダニエルは誰も知らない「未来」の世界で、どうしようとするのか…
とにかく、あきらめを知らないダニエルの行動力と、物語の展開の早さに夢中になってしまいます。
ウチが読んだのは中学生の時で、それから10回以上は読み返している作品です。友達や好きな人に買ってプレゼントしたこともありますね……興味のない人は迷惑だな、しかし。
この作品も物語を閉じるラストの文章が秀逸で、くじけそうになると、この小説を読み返して自分を奮い立たせています。
昨年はくじけそうになることが山ほどありましたので、今年の年賀状に、その文章をそのまま引用させていただきました。
もちろんまだまだ好きな作品は小説にも、映画にも、TVドラマにも、舞台にもあるのですが、ちょっとトリッキーなジョーカーの作品を挙げるなら東野圭吾さんの「トキオ」を。
東野圭吾さんは直木賞を受賞した「容疑者Xの献身」をはじめとして、これも泣いてしまう「秘密」や映画やテレビドラマになる作品をたくさん書いてはるんですが、個人的に一番好きなのはこの「トキオ」なんです。
死に向かう息子・トキオを前に、妻に向かって「俺は昔、トキオに会ったことがある」と話し始めるストーリーは、はじめからガツンと引き込まれてしまいます。
タイムトラベル物? と言われると、広義でタイムトラベル物でしょ、と言いたくなるので4Cardsに入れるにはちょっと躊躇うんで、今回はジョーカーですが、やっぱり挙げたくなる作品です。
……4枚ではやっぱり足りんな……また機会があったら、違う色で4Cardsを書いてみたいですね。
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