森川智喜「スノーホワイト」 おとぎ話とチートな探偵

infoこの記事は2015年6月13日に書いたものです。
現在とは紹介させていただいている内容が異なる可能性がありますのでご注意ください。

スノーホワイト

毎度おなじみジャケ買いの一冊。
タイトル通り、白雪姫をモチーフにしたカバーデザインで、ついつい手に取ってしまったのですが、これがまたなかなか面白かった。

「真実を映し出す鏡」をもつ反則の名探偵・襟音ママエは、舞い込む事件の真相は分かるが、推理は大の苦手。
ある事件が縁で顔を合わせた探偵・三途川理が、窮地に陥れようと策を練っていることも知らずー。

第14回本格ミステリ大賞を受賞作。
モチーフになっている白雪姫から「7人のこびと」を持ってくるのはまだしも、「真実の鏡」をミステリ作品に持ってくるというとんでもない作品。

襟音ママエの探偵活動を描く第一部は3つの短編で構成。依頼人の相談に、お茶を替える振りをしてサクッと鏡に犯人とトリックを聞いて問題解決! 助手の小人・イングラムが「もうちょっと考えようよ」と言ってもどこ吹く顔のママエ。

なんや? これ?

ミステリとは思えない最初の作品に当惑しながら2つめの話に。
ママエの答えに納得しない依頼人に、依頼人が納得する言い訳をまたも鏡に考えさせるという……うーん、なんだろう? この激しい違和感は……答えが分かる鏡というアイテムがあったら、ついつい倒叙型の作品になりそうなもんだけど。

なんだか分からないまま読み進めていくと、3つめの物語ではとうとうママエのやり方に違和感を持つ他の探偵が現れて級地に陥れられて……と、言うところで第一部は終了。

第二部になると、鏡の出所やイングラムの存在を補強する舞台が登場。おとぎ話には付きものの「悪い王女」が現れて、第一部でママエを追い詰めた探偵・三途川と組んで、ママエを無きものにしようと襲いかかります。

ここからはこの小説の真骨頂、「真実の鏡がある」ことを前提にした虚々実々の駆け引きが繰り広げられ、最後にはストンと論理に基づいた推理が展開されます。
なるほど、これは面白い。

著者のデビュー作のキャットフードは「人狼ゲーム」の変形版との解説があったので、興味津々。次はそれを読んでみよう。

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があ

大阪生まれ・育ち・勤めの闘う(?)公務員。 一般事務職で採用されたのに、今や福祉職だと勘違いしている人が大多数。濃い顔付きから沖縄人やらアラブ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ-