淀川の河川レンジャーの皆さんが企画された大人の防災合宿に参加してきました。
昨年も開催を予定していたのですが、平成30年7月西日本豪雨に直撃され中止に。昨年は、大阪ではいわゆる大阪北部地震から始まり、7月の豪雨、9月の凱風21号、24号と災害に見舞われた一年でしたが、今年も山形・新潟で地震があったり、鹿児島で大雨による被害がでています。
私の勤める天王寺区は上町台地に位置する関係から、水害に関しては比較的影響が少ない場所なんですが、住んでいる北区は淀川などの河川の影響をまともに受けることもあり、周りの方にも知っていただきたいということで、今回は合宿のレポートを。
河川管理施設って?
大人の防災合宿は、夜の9時スタート。
私は仕事の関係で11時前からの参加だったのですが、福島管内淀川河川レンジャーの平井さんから、淀川大堰(よどがわおおぜき)をはじめとする淀川水系の河川施設の紹介とその役割について説明がありました。
淀川水系で河川被害などが少なかった理由の一つに、こういった施設などの運用があります。
特に昨年の台風21号では、高潮被害を防ぐために周囲の堤防より低くなっているところに設置された陸閘(りっこう)の閉鎖することにより、浸水を防ぐことができました。
淀川大橋封鎖! 日本で唯一の回転式陸閘
深夜0時を過ぎて、合宿参加者は連れだった淀川大橋の右岸へ移動。
今回の合宿のメイン、淀川陸閘の稼働訓練を見学します。
陸閘とはいわゆる「防潮鉄扉」で、大きな台風などで高潮により水位が大幅に上昇した際に町中に氾濫した水が浸入するのを防ぎます。
淀川では、阪神電車やそれぞれの橋の設置部分で周囲の堤防よりも低い部分があるため、その部分を防御するために陸閘が設置されています。
その中でも、今回見学した淀川陸閘は日本で唯一の回転式陸閘です。
訓練では淀川大橋だけでなく、同じく国道2号線の神崎大橋、左門橋、国道43号線の伝法大橋、大阪市道の千船橋、千北橋、大和田船溜、そして阪神電鉄・なんば線、阪急電鉄・神戸線でも同時に操作訓練が行われます。
訓練のスタートは阪急、阪神も終電が走り終えた深夜1時から。
それぞれの地域の自主防災組織の方を中心に、無線連絡をしながらの実施です。
淀川陸閘の収納部。回転式なので、支点になる部分は丸くなっています。
1時を前に徐々に陸閘が立ち上がっていきます。
徐々に陸閘が回転して下がってきます。
私たちは西淀川区・野里側の右岸で見学していたのですが、もちろん遠く左岸側も陸閘が回転しているのが分かります。
厳重な警備の中、陸閘は下がり続け
完全に閉鎖。
閉鎖された後は、扉の上で水平に保たれているか計測したり、それぞれの部分に問題がないかなどがチェックされています。
回転式陸閘自体が他の場所にないこともあり、私たち以外にも見学されている方は結構多め。
単純に大きな物が動く、すごい、でもいいので、災害時に市民を守る設備を見るっていうのは自分自身の防災に対する心構えが変わってくるので、興味を持っていただけるといいなぁと思います。
私は動画を撮らなかったのですが、3年前の様子を撮影したタイムラプス動画がありましたので、興味を持った方はぜひご覧になってください。
協力の中に道は開ける…災害協力シミュレーションゲーム「ダイレクトロード」
訓練の見学が終わっても、合宿は終わりません。
深夜2時30分。集合場所の会館に戻ってきた参加者で、災害協力シミュレーションゲーム「ダイレクトロード」を体験することに。
「ダイレクトロード」は神戸市消防局の職員が開発した巨大地震発生直後の1時間という人が最も命を落とす可能性が高い切迫した状況を疑似体験するシミュレーションゲーム。
災害に居合わせた人たちとして6人1チームで、初期消火、避難の呼びかけ、応急手当、人命救助などを協力して行います。
実際の行動は、6人で指示書を作成して進行役であるゲームマスターに渡すことで、その行動が正しく解決に導かれているかを判定します。
それぞれのプレイヤーに配られたカードは、断片的な情報が書かれており災害時に情報が錯綜する様子が再現されています。
今回の参加者は防災にはそれなりの知識や心得はある人ですが、それでも十分に混乱して、楽しんで、学ぶことができました。
これは、ウチの職員向けの研修や自主防災組織向けの研修で使いたいなぁ。
[blogcard url=http://www.city.kobe.lg.jp/safety/fire/bousai/directroad.html]
ゲームが終了したところで、私は退散。
そろそろ東の空があかく染まり始めていました。
いい防災合宿でした。
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