- 2015年4月18日
春のがあさんぽ「私の1枚 ー日本の写真史を飾った巨匠101人ー」@細見美術館
仕事の代休で平日にお休みを頂けたので、ソメイヨシノの時期を過ぎて落ち着いてるかなと思って京都に向かいました。目的は友人が……
平安神宮、ロームシアター京都、みやこめっせ、市立美術館に動物園と、京都でも有数の文化施設などが集まる一角にある細見美術館。市立美術館ほど有名ではありませんが、春画展などエッジの効いた企画が魅力的な美術館です。
その細見美術館の学芸員さんから「があさん向けの面白い企画展やりますよ」とお薦めがあり、晩秋の京都を訪れ「驚きの明治工藝」展を楽しんできました。
あわよくば紅葉狩りもと思っていたのですが、さすがに10日ほど遅かったですね。
細見美術館はコンパクトな建物の1階の展示室から、階段を下って地下2階までの3つの展示室で構成されています。特に今回の展示は1階の第1展示室から驚きます。
「自在置物」と呼ばれる金属工芸品。以前、なんでも鑑定団で龍の自在置物が1,000万円の値を付けたことを見たことがあって、その存在は知っていたのですが、実物は本当にリアル。
台湾のコレクター・宋培安氏のコレクションだという数々の自在置物は、龍や鯱といったものもありますが、蛇や鳥、伊勢エビ、カマキリに蝶のような現実の生物を写実的に作り出した見事なもので、その一つ一つが「これ、ホントに動かせるの?」と思ってしまいます。
その疑問に、この展示では3つの工夫で巧く答えています。
一つは、自在蛇のタイムラプス風の動画を展示している側でながしていること。自在置物ってやっぱり「動く」という構造が肝、とはいっても美術館の方々がデモンストレーションをし続けることも難しいですし、この動画で「自在蛇って、舌の動くのか!」と驚くこと請け合いです。
二つ目が自在置物の構造を第一展示室のすぐ見えるところに展示していること。鉄などの金属で出来ているといわれても、どうも構造がピンと来なかったのですが、これを見て、江戸時代に武具類の需要が減った甲冑師が作り始めたという自在置物の由来を聞くと、「動く」が甲冑の技術から来ているということがリアルに理解できます。
最後が、「展示替え」ならぬ「ポーズ替え」という手法。コンパクトな美術館では展示期間中に展示物の一部を入れ替えて、企画展への複数来館を促しますが、今回は展示物を買えるのではなく、自在置物の特徴を活かして、期間中に2回、自在置物のポーズを変えて展示するとのこと。これはもう一回行きたくなるなぁ
いくつもの自在置物の展示の中でも、やはり今回の展覧会の図録の表紙にもなっている3mの大きさの自在龍の迫力は素晴らしいです。
光があたって、その影が壁や床に映るのを想像すると、少しずつポーズを変えてみたくなります。オーナーはこの自在龍を自宅のリビングに飾っていると学芸員にお聞きしましたが、確かにそれは魅力的な光景です。
自在置物は江戸時代に始まったものですが、今回の展示はあくまで“明治工藝”。江戸時代に生み出された技法が洗練され、明治時代に欧米へ輸出される工芸品であり美術品になって行きます。
第二展示室、第三展示室はそんな様々な作品が展示されています。
木工作品、器、花瓶……それぞれの作品は、美術館が「どこまでやるの、ここまでやるか」と記したように、どれもグッと目を引きつけられるものばかり。今風に言うと「超絶技巧」というところでしょうか。
大島如雲の「狸置物」や、「邯鄲夢根付」が興味を惹かれたのですが、目が離せなくなったのが恵順の「山姥香炉」。倒木に腰掛けた山姥のだらしなく開いた口から煙が吐き出される構造になっており、その精巧さと気持ち悪さが相まってかなり長い時間この作品に囚われてしまいました。
この展示は12月25日(日)のクリスマスまで。小中学生無料、ほとんどの展示が撮影OKの素晴らしい企画展です。興味を持たれた方はぜひ行ってみてください。
あ、自在置物にハマってしまったら、「タケヤ式自在置物」もグッズショップで販売していますよ。
イベント名 | 驚きの明治工藝 |
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開催期間 | 2016.11.22(土)~2016.12.25(日) |
開催場所 | 細見美術館 |
交通手段 | 地下鉄東西線・東山駅 2番出口より徒歩約10分 市バス31・32・201・202・203・206系統 東山二条・岡崎公園口停留所より徒歩約3分 市バス32・46系統 ・岡崎公園ロームシアター京都・みやこめっせ前より徒歩約2分 市バス洛バス100号系統・岡崎公園 美術館・平安神宮前より徒歩約5分 |
サイト | 企画展特設ページ / 美術館Twitter |
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