- 2014年11月27日
キャラメルボックス「ブリザード・ミュージック」僕の声が聞こえますか
関西圏のキャラメルボックスサポーターは11月になるとそわそわ。そうです。毎年恒例のクリスマス公演が新神戸で幕を開けている……
キャラメルボックス「また逢おうと竜馬は言った」のBLACKキャストの大千穐楽を観るために新神戸オリエンタル劇場へ。
2010年以来の再演となりますが、今回は俳優集団D-BOYSの4名を招いて劇団間での異文化交流を図るアナザーフェイス公演となります。
1992年が初演のこの舞台、当時は主人公の岡本が上川達也さん、竜馬が劇団ショーマの川原和久さん。今やどちらもテレビや映画で大活躍の俳優さんですが、当時の映像をみて思うのは若々しさとその熱量。
その圧倒的な熱量をもったお芝居をD-BOYSの俳優陣がどのように演じるのかが本当に楽しみでした。
ツアーコンダクターのくせに、すぐに乗り物に酔ってしまう、岡本。彼は坂本竜馬に憧れていて、竜馬のような男になりたいと願っている。しかし、いつもドジばかり。今日も彼のミスで、同僚の本郷とその妻・ケイコが大喧嘩。ついに、ケイコは家出してしまう。竜馬の力を借りて、喧嘩の仲裁に乗り出すが、絵画密輸事件に巻き込まれて、話は思わぬ展開に……。
物語に登場する坂本竜馬は現実の坂本龍馬ではなく司馬遼太郎が書いた「竜馬がゆく」に登場する空想上の竜馬。
初演の川原和久さん、再演の上川達也さんのイメージよりも、キャラメルボックスで坂本竜馬といえば、再々演から演じる岡田達也さんのイメージが強い配役ですが、公演中にャラメルボックス通算2500ステージを迎えられたベテランでありながら、その若々しさは相変わらず。
現実の坂本龍馬もこんな青年だったんじゃないかなぁと思わせながら、「竜馬がゆく」の竜馬のイメージ、そして劇中の岡本が想像する信頼できる兄貴分としてのコミカルな部分もある竜馬が入り交じます。
岡本にツッコミを入れながら演じている姿は、お芝居を要所要所で整える安定感があります。
一方で、主役の岡本役を演じるのは俳優集団D-BOYSの陳内将さん。この岡本という男、乗り物に弱いツアーコンダクターで、仕事ではミスばかり、同僚の女性に振られ、同僚の奥さんに惚れてしまうような主人公らしくないヘタレ男だったりするんですが、演じている陳内将はとにかくカッコいい男性。そのカッコいい陳内将さんが、声を涸らしながら、そんな主人公にチャレンジしているのを観ているとついつい前のめりになっちゃいます。陳内将さんの演技は「駆けぬける風のように」の沖田総司役、「パスファインダー」の笠岡秋路役とカッコいい感じのイメージだったんですが、こんな引き出しもあるんだと感嘆しました。
D-BOYSからは、他に岡本の同僚・本郷役に山田悠介さん、土方歳三役(クロスキャストで岡本役)に三津谷亮さん、悪役の棟方の部下・時田役に前山剛久さん。
岡本役の陳内将さんも含めた4人ともとにかく格好良く、美男子揃い。
他のD-BOYSのメンバーが出演する舞台も観に行ったことがあるんですが、誰もが舞台の上で一生懸命で、その熱量が凄いんです。
見た目もカッコいいのにズルい
本当にそう思います。アイドル的な人気があるので、普段のキャラメルボックスの舞台とはちょっと違うなぁという観客層だったりするんですが、舞台の上で演じているD-BOYSのメンバーの姿は、キャラメルボックスの俳優さんたちと全く変わらず、違和感がありません。
こういうの観ちゃうと、またD-BOYSの舞台を観に行きたくなっちゃいますね。
おっさん一人で観に行くとアウェー感は半端ないんですが。
一方でキャラメルボックスも凄いなぁと思うのは、この「また逢おうと竜馬は言った」という演目の凄さ。
物語そのものの面白さはもちろんなんですが、5回目の再演となると2010年の公演でカオリ役だった原田樹里さんは今回は石倉役、その石倉役を演じていた渡邉安理さんは今回はヒロインのケイコ役と着実にステップアップして、それぞれの魅力を振りまく辺りが劇団の力強さを感じます。
特に今回は、悪役の棟方を演じる小多田直樹さんが圧巻。棟方って、二面性のある怖さが見えないといけない難役やと思ってるんですが、あまりそういうイメージの無かった小多田さんが演じていたので、いつの間にっ! という思いが……うーん、凄い。
“全編120分がクライマックス”なんてあおり文句ですが、本当に全く中垂れしない物語で、坂本竜馬とさなこのシーンから、竜馬と土方、岡本と棟方の対決と名台詞、そして竜馬との別れと帽子を手に遠くを見つめるラストシーンまで決して飽きさせません。
D-BOYS目当てと思われる周囲の女性客も、物語が進むにつれて前のめりに舞台にのめり込んで、いつの間にか泣いているのはキャラメルボックスのサポーターとしては「しめしめ」といったところ。
BLACKキャストの大千穐楽とは言え、翌日にWHITEキャストの大千穐楽を控えていたため千穐楽名物の一言挨拶はなし。
最近の舞台で実施されていた撮影タイムもなしでしたが、感動した観客のカーテンコールの拍手が鳴り止まず、5回目に舞台に舞い戻った時には竜馬が「何か?」と観客に問いかけて場内大爆笑。それでも、岡本・竜馬で「また逢おう!」と締めたのにはシビれました。
あ~、楽しかった。次は夏に大阪で福澤朗さんを迎えての「彼は波の音がする/彼女は雨の音がする」。ヒロインも声が大好きな実川貴美子さんやし楽しみやなぁ……
公演名 | また逢おうと竜馬は言った |
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公演期間 | [東京]2014年5月28日(土)から6月12日(日) [神戸]2014年6月16日(木)~6月20日(月) |
場所 | [東京]サンシャイン劇場 [神戸]新神戸オリエンタル劇場 |
サイト | 公演紹介ページ / 劇団公式facebook / 劇団公式Twitter |
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