第23回鮎川哲也賞受賞作、2014本格ミステリ・ベスト10国内編第17位の作品。
いつもの事ながらジャケ買いっぽい読み方で読了
そのめざましい活躍から、
1980年代には「新本格ブーム」まで招来した名探偵・屋敷哲次郎。
行く先々で事件に遭遇するものの、ほぼ十割の解決率を誇っていた。
しかし時は過ぎて現代、かつてのヒーローは老い、
ひっそりと暮らす屋敷のもとを元相棒が訪ねてくる。
資産家一家に届いた脅迫状の謎をめぐり、
アイドル探偵として今をときめく蜜柑花子と対決しようとの誘いだった。
非常に興味深い作品。
本格派と呼ばれる推理小説に登場する「名探偵」。事件解決を協力する刑事や、彼を支える美人秘書、密室やアリバイといった名探偵を彩る舞台に名探偵の謎解き……ミステリファンにはお馴染みのプロローグにニヤリとさせられながらページをめくると、名探偵は老い、事件で負った怪我で完全に自信をなくしてしまい、かつての秘書の妻とは別居状態で引きこもりに。テレビではアイドル探偵・蜜柑花子がちやほやとされている。
完全無欠の名探偵を、ただの”人”に引き落とし、そして復活させようとする展開が面白い。
名探偵に情報を流す刑事の悲哀、名探偵が「なぜか」事件に遭遇し続けること、無理のあるトリックなど推理小説を揶揄しながらも、その分野が好きなんだなという著者の気持ちが覗き見ることが出来て本当に楽しい作品でした。
トリックが弱いとか、蜜柑花子のキャラが弱いとか色々と言われているようですが、物語の閉じ方も含めて結構好きですけどね。
調べてみると、受賞後の2作目が出ているようなので、今度探して読んでみようと思います。
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