- 2017年9月16日
ムーンビームマシン「月雪の娘」見どころ満載、華やかな和風ファンタジー
今年はあまり観劇できていないなぁと思っていた所、Facebook友だちが出演される舞台を観に行く機会に恵まれました。 ム……
旗揚げ公演の時から気になっていたユニットが、初の大阪公演。
公演日程を見ると、大阪は1日のみ!
しかもその日は別の劇団の公演のチケットを取得済みで、「うわぁ~、なんでこの日やねん」とツイッターで嘆いたところ、その劇団の方から「チケット振り替えますよ~」とありがたい提案が……これは「観に行け!」と言うことなので、すぐにチケットを購入して観劇してきたのでした。
ARMsは個性的な3人の女性ユニット。
演劇集団キャラメルボックスの旗揚げメンバーで脚本、演出、女優をこなす真柴あずき(Mashiba Azuki)さん、同じくキャラメルボックスの主力女優で昨年は劇団1のステージ数をこなした坂口理恵(Sakaguchi Rie)さん、声優、歌手として活躍しすぎの緒方恵美(Ogata Megumi)さんの3人が、”演劇とライブとリーディングの融合”と、それぞれのフィールドと異なった形での公演を行っています。
今回の公演「天ノ星ハ昔ノ光」は彼女らの旗揚げ公演の再演になります。
大阪公演の会場は心斎橋のTHE LIVE HOUSE soma。オールスタンディングならキャパ360人のライブハウスで、”演劇とライブとリーディングの融合”とはどんなものか楽しみに向かったのですが……そこには3人の魔女がいました。
シンガーでラジオ番組のDJも務める「圭」(緒方恵美)、
番組のディレクター「春田」(真柴あずき)、
ゲストに招かれた「妙」(坂口理恵)。妙は圭に、自分が書いた作品を読んでほしいと頼む。
番組の進行を無視して、
次から次へと原稿を取り出す妙。
次第に追い詰められていく圭。「これは全部、私の物語ー
なぜあなたが知っているの」。
物語は圭がライブ会場に到着するところから始まります。
各席を横切る形で自然と芝居に入っていき、ディレクターの春田は登場するとラジオの公開収録現場であるライブハウスのスタッフに「ケータイ切っとけよ」と指示を出すふりをしながら、観客も誘導していきます。
そして、ゲストに招かれた作家として妙が登場。ラジオ番組のリハーサルとして春田が進行を説明しようとすると、妙がそれを遮り、自身の自己紹介の代わりに圭に自分が書いた小説を読んでほしいと伝えるのです。
……と、ここまでは普通に小劇場での芝居やなぁと思いながら観ていたのですが、ここからが凄かった。
妙が取り出す小説のワンシーンを圭と妙が読むという形で物語が進んでいくのですが、小説ごとに圭、妙、そして要所要所で春田が「小学生の同級生」「高校生の姉と中学生の弟」「姉御肌の気っぷの良い女性と引っ込み思案な女性」「夢に挫折しかかっている女性と桜の精」等々、七色どころか目をつぶったら3人の誰が演じているのか分からないくらいの声の種類で圧倒してくるのです。
声の種類で目立つのはもちろん声優が本業の緒方恵美さんですが、坂口理恵さん、真柴あずきさんも全く負けていません。舌足らずの幼女の声を出したかと思ったら、次の瞬間には男性の声に。声の質が変わる度にゾクゾクしました。
そして、要所で圭(緒方さん)の歌声はライブハウスにズンと響くと「うわぁ!」と立ち上がりたくなる衝動に狩られます。
演技で圧倒するのは坂口理恵さん。圭のファンなんだと気弱な妙の様子が小説が一つ加わるごとに圭を圧倒するような大きな演技に変わっていき、逆に圭が小説を取り出すようになるとすっと炎が小さくなったかのように演技が変化します。
シーンシーンでの目の表情が時に怖いほどに映ります。そして、ラストシーンでは……うーん、東京で観る方のことを考えると書けないですが、もの凄いと思いました。
脚本は物語の中で、数々の小説が披露される入れ子構造になっているので、演劇に親しみのない観客は「よく分からなかった」という感想も聞こえましたが、私個人は「良いな」と思いました。
最初の物語は些細な一つの出来事、次の物語も平凡な姉弟の生活の中のワンシーン。ところが、きちんと伏線をひいて、あとで綺麗に回収しているんですよね。キャラメルボックスの芝居のように親切ではないストーリーの回し方ではあるんですが、ラストシーンに繋がる一つ一つのシーン、台詞がズンと突き刺さるんですよ。
……本当に3人とも……正直なところ怖いですね。3人の魔女に魅入られてしまいました。
カーテンコール。
3人が登場して真柴さんが「今日は足下の悪いところわざわざ足を運んで……」と話し始めた瞬間、観客の一人がドリンクのプラスチックカップを落としてしまい大きな音が。瞬間、真柴さんは「来たくなかったの!?」と。場内爆笑。
3月31日、4月1日に東京公演があるので応援を……というだけでなく「来ちゃいなよ!」と言うと大きな拍手が上がると、その瞬間に「来るのね!」と念押しで大爆笑。
最後まで楽しませてくださるユニットでした。
3月31日、4月1日の二日間は東京公演。代官山ライブハウス「晴れたら空に豆まいて」で計4回の 公演があります。
キャラメルボックスのサポーターも、緒方恵美さんのファンの方も「凄いもの」を観ることができると思いますので、ぜひにとお薦めしたいと思います。
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