- 2015年5月19日
キャラメルボックス「カレッジ・オブ・ザ・ウィンド」家族と風を感じる物語
8年ぶりの再演になった「カレッジ・オブ・ザ・ウィンド」を観に神戸へ。天気も良かったので、ダンボーを連れて観劇前に港に行っ……
出演者の一人である福田恵さんからお誘いを受けて観に行ってきました、最強の一人芝居フェスティバル“INDEPENDENT”
2001年から続く短編一人芝居の祭典。毎年11月に大阪にあるインディペンデントシアターで開かれ、演劇だけでなくマイム、ノンバーバル、創作落語、コンテンポラリーダンス、コントなどジャンルを問わず、30分間の一本勝負で観客の感情を揺さぶり続けます。
今回はオリンピックを超える5年に1度のジャパンツアー。大阪を皮切りに、東京、仙台、福岡、沖縄、札幌、名古屋で開催されます。
1ブロック(2~4演目)は3,000円ですが、1日通し券だと4,000円とめちゃお得。残念ながら所用で遠し券でなく、1ブロックのみ(3演目)の観劇でしたが、たっぷり楽しみました。
その妖怪は人と恋に落ちて、恋が成就すれば人間になれるという。恋焦がれるで「くいくがり」。
東京から首里城炎上の取材にやってきた記者に、そんな話を語るどこにでもある食堂のどこにでもいる沖縄のおばちゃん。その目に赤々と燃える首里城を映して…。あの日首里城はなぜ炎上したのか。
笑顔の裏に沖縄の魂の叫びがこだまするサスペンスフルな純愛ストーリー
出演は沖縄を本拠地とする犬養憲子(演劇きかく「満福中枢」)さん。
あけすけに容赦なく喋る「沖縄のおばちゃん」が語る妖怪の恋物語と、自身のロマンス。
首里城炎上の取材に来て、空振りに終わりそうな気分でおばちゃんの話を聞くはめになった気の毒な記者の気分になっていると、知らぬうちに強い感情に押し流されます。
本当に自然に「おばちゃん」な犬養さんの演技と、物語のラストは途中で「あぁこうなるんだろうなぁ」という感じなんですが、おばちゃんの言葉が「内地」の我々に強く響きます。
あれは登場人物である「おばちゃん」の言葉なのか、沖縄の人の叫びなのか。
「コンビニで働いている山下くんって友達から、このお話を始めてみようと思います。」
男の口から放たれる、本当の話、どこかで誰かから聞いた話、全くの作り話、その境界線は、だんだんと曖昧になっていく、そのデタラメがもしかしたら誰かを救うのかもしれない。
「そのころ」というキーワードが潤滑油のようにあなたと私、劇場と世界を繋ぐ…。
不器用で泥臭い、ロマンチックな小さな奇跡の物語。
出演は北九州を本拠地にしている葉山太司(飛ぶ劇場)さん。
幕が上がると葉山さんがぬるっと登場し、椅子に座ると、ぬるっと挨拶をして自身の娘の自慢をはじめる。
タイトルも何も表示されないので、てっきり前説や幕間のアナウンスかと思っていたら、ぽそっと話し始める「コンビニで働いている山下くんって友達から、このお話を始めてみようと思います。」
これ、すごいな。
一人芝居でたくさんの人と登場させようと思うと、観客側にその人がいるという形で話しかけたりするもんですが、ここでは、「そのころ」という言葉で一瞬にして場面転換をしてしかもその人が「何をしているか」ということを重ねて物語を進めていきます。
文頭に必ず「そのころ」という言葉がつく小説を読んでいるかのよう。
序盤はその場面転換に、これどこにたどり着くのかなと感じているんですが、話が進むにつれて「そのころ」起こることが互いに浸食していき、心地よいテンポで「山下くん」をいつの間にか応援してしまいます。
暗転したらもう葉山さんはステージ上からいなくなり、拍手するタイミングを逃してしまいましたが、ものすごく素敵な物語でした。
、ル
「INDEPENDENT:4SS / JAPAN TOUR」が本日から始まります!【g】「そのころ」
出演:葉山太司(飛ぶ劇場)×脚本・演出:大迫旭洋(不思議少年)にて参戦。
そのころが繋ぐ世界の話。
大阪・東京・仙台・福岡・札幌の
五都市で上演いたします!https://t.co/bL0XiKIzKr pic.twitter.com/kEKWSq8LjZ— 大迫旭洋 (@terry_osako) July 15, 2021
女は閉じ込められていた。場所は密室、深夜、明日は重要な仕事のプレゼンテーションがある。外とのつながりは携帯電話のみ。刻々と減っていく充電と過ぎる時間…。
それ以来、運命にもてあそばれるように、事あるごとに密室に閉じ込めら続ける主人公の数奇な運命。やがて明らかになる彼女の生まれの秘密…。
笑いのための小ネタが次の伏線として見事に回収される緻密な脚本が秀逸な、見終わったあと磨きたくなる密室コメディ。
出演は大阪のコメディエンヌ、福田恵(劇団レトルト内閣)さん。
中野劇団の中野守さんの脚本が秀逸。福田恵さんの魅力が存分に活かされており、ファーストシーンである「密室」に閉じ込められている不条理な場面から、繰り返される「くすぐり」がたまらなく面白い。
この脚本書いた人、変態や、面白すぎる。
これは間違いなく福田恵さんという女優をよく知っていないと書けない脚本だなぁと思って、シーン、シーンごとで演じられる「○○○に愛された女性」の妙な説得感にグイグイと引きずり込まれてしまいます。
元々、声に特徴のある女優さんに惹かれるので、福田恵さんが演じている時の声が好きなのですが、ラストシーンの声に今回はゾクゾクさせられました。
新インディペンデントシアター2nd、柿落としシリーズ第一弾の最強の一人芝居フェス「INDEPENDENT:4SS」開場いたしました。新2ndの歴史がここからスタート!これから10年、20年と沢山のお運びおまちしております! #新2nd #in4ss pic.twitter.com/mJN19SZkBe
— インディペンデントシアター (@i_theatre) July 15, 2021
新築移転のインディペンデントシアター2ndのこけら落とし。いい劇場で、面白いお芝居を観て、良い休日になりました。
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