「WAR→P! in Fantasy 封印の聖祭と憂国の戦乙女」あなたが主人公……ではないけど、あなたの物語を紡げます

「WAR→P! in Fantasy 封印の聖祭と憂国の戦乙女」あなたが主人公……ではないけど、あなたの物語を紡げます

「おお○○よ、死んでしまうとは情けない」

参加型・体験型イベントがここ数年増えている気がします。
SCRAPが広めた「脱出ゲーム」などの謎解きイベントなどがその最たるものですが、スマートフォンを持ち歩くようになって盛んになった「ポケモンGO」のような「現地に行かないとダメ」という位置情報を利用したゲームやダムカードマンホールカードを集めてまわるのもある種の参加型・体験型イベントといってよいと思います。

そんな中で演劇×体験型という興味深いアプローチを続けているのが、(株)オラクルナイツ/セブンスキャッスルさん。

パーティゲームである人狼ゲームを、演者が舞台上でゲームをしながらアドリブで物語を紡ぐという「人狼 ザ・ライブプレイングシアター(人狼TLPT)」がメインコンテンツなんですが、もう一つ「WAR→P」という公演があり、それに参加したところとんでもなく楽しかったので、今回はこちらをご紹介します。

WAR→Pってどんな公演?

WAR→P」は簡単にいうと、RPGの登場人物に参加者がなりきることができる公演。

オープニングとして、物語の背景や事件の発端、参加者であるプレイヤーキャラクター(PC)の位置付けの紹介が出演者によって演じられ、その後PCはほぼ自由に行動します。
その行動が複雑に物語に影響をあたえ、その結果を出演者がエンディングを演じます。

私立ソレンシア冒険者学院は、剣術科、魔道科、神学科の生徒が通う学校。
創始者の聖ソレンシアが行方をくらませて十年。
学院は彼女の意思を受け継いで、冒険者の育成に励んでいます。

毎年暦星が≪戦乙女の月≫に寄り添う頃、
ソレンシアの功績を称え、彼女とすべての冒険者の無事を祈る
≪封印の聖祭≫が執り行われます。
今年の聖祭には王宮に仕える卒業生が訪れ、
否が応でも気合の入る生徒たちでしたが、
聖祭のあとに卒業生の本当の目的を知らされ…?

今年の聖祭はどの学科が取り仕切るのか?
卒業生は目的を果たせるのか?
果たして≪戦乙女の月≫が照らす戦場とは?

それはワープゲートをくぐり、この学院に通う主人公――
つまり、あなた次第なのです。

現在公演中の「WAR→P! in Fantasy 封印の聖祭と憂国の戦乙女」の舞台は私立ソレンシア冒険者学院。

剣と魔法のファンタジーの世界に参加者(PC)は、私立ソレンシア冒険者学院の生徒(基本1年生)として≪封印の聖祭≫が行われる学院で、先輩や先生の頼み事(クエスト)をこなしながら、物語の中で活動します。

物語に直接関係のなさそうなものから、エンディングに大きな影響を与える事件まで、PCが関わるクエストは多数存在しており、演者(NPC)に話しかけたり話しかけられたりすることでクエストが発生します。
そのクエストを解く鍵はNPCが持っていることも舞台のどこかにあることもあり、PC自身が自分の考えで動くことで進めていくことができます。

↓5/2の20:30からライブ配信された映像(一部ネタバレ)あり。

PCそれぞれの楽しみ方

「それ、TRPGやん」と思った方は、どちらかというと私に近い感じですね。

TRPG(テーブルトーク ロールプレイングゲーム)に親しんだ方なら、スムーズにNPCとも会話ができるかもしれませんが、そうじゃない方でも楽しめるのが「WAR→P」の素敵なところ。

私は、学生時代にTRPGにハマって、郵便を媒体にしたPBM(プレイバイメール)というゲームのマスターも経験したことは以前書いたとおり。
観劇も趣味なので、この公演は楽しみどころがたっぷり。
PCとして魔導科に所属、NPCに積極的に声をかけクエストをこなしていきます。的外れなNPCに話しかけたとしても、自然な言葉で返してくれるので、その演技を至近距離で楽しむ事ができます
この日はあるクエストのヒントを持っているのがセンティウス(池永英介さん)だと思って話しかけたら、「そんなこと気にしないで『封印の聖祭』を楽しめよ!」と学院の先輩らしい口調で応じられてそれだけで大興奮でした。

一緒に参加した娘は、TRPGはプレイしたことがなく、「人狼TLPT」は知っているものの演劇やゲームよりは、アニメや歌い手さん、可愛い俳優さんに興味がある普通の高校生。
案内人であるネルレル(神村風子さん)の声がかわいいとさっそく世界観になじみ、かわいさ優先で進学科に所属。
ルピア先生(ucaさん)、リリシュア先輩(増本優子さん)と一緒にお祈りをしたり、NPCと話す度に「カッコイイ」「可愛い」と興奮しつつ物語に参加していました。娘曰く「進学科は癒やし」との言葉をいただきました。

息子は脱出ゲームなどゲームは大好きですが、コミュニケーションに難があり、暗い所や騒がしいところに入るとパニクることがあるので、参加型企画や観劇には向きません。
そんな息子は派手な動きが大好きな剣術科に所属。ギルヴェット先輩(増本健一さん)の過剰なほどの格闘の訓練に参加してツッコミを入れたりしていました。
NPCとの会話などは苦労していましたが、ネルレル(神村風子さん)や上級生のニーネ(有本朱沙さん)、下級生のノート(森輝弥さん)が声かけしてくれて、自身が好きなゲーム世界を楽しめていた様子。

他にも、クエストには参加しないけれど、この世界で起こる事々などの情報を集める諜報者ギルドなんていう参加方法もあったり。

センティウス役の池永英介さんによると、「クエストを一つもこなしていないPCが終演後のお見送りの際に『すごく楽しかったぁ!」と言っていて感激した」というように、PCそれぞれに楽しみ方があるというところが本当に素敵です。

もちろん、公演の性質上、PCの視点からは物語の全てを見渡すことはできませんが、それもまたリアルな体験。「あぁ、あのときああしていたら」といった後悔も、全てPC一人一人の大切な宝物です。

演劇×TRPGが紡ぐ可能性

本当に楽しかったぁ! というのが初参加してみての参加。

(株)オラクルナイツ/セブンスキャッスルのコンテンツは、観劇・参加も本当に楽しいのですが、演者の魅力が直に伝わるのが本当に素晴らしいと思っています。

人狼 ザ・ライブプレイングシアター(人狼TLPT)」ではメイソン役・石井由多加さんのトリッキーなプレイにハマってしまい、彼が出演する舞台が大阪であって観に行って、キンバリー役のはぎのりなさんも舞台ごとにころころと変わる雰囲気に魅せられてチェックしてみたら撮影会をやっていてついポチッと参加しそうになったり。

映画やTVと違って、観劇って少しニッチな趣味なので、友だちにすすめてもなかなかご一緒してもらえなかったりするのですが、この「WAR→P」の公演は本当に間口が広いので、ゲーム好き、俳優さん・声優さん好きといった演劇に興味がない人でも誘いやすく、誰でもすっと楽しめます

そして、至近距離でプロの役者さんが、プロのダンサーが、プロの声優さんの演技や技術を目の当たりにすれば、その人の魅力がきっと伝わるはず。

終演後、娘と帰阪の新幹線の中で、参加前には知らなかった出演者の情報をチェック。ワイワイと言いながら全ての出演者の魅力についてずっと話していました。

「声かわいかったよねぇ」と話したゲートキーパー・ネルレルの神村風子さんがイメージ通りのテディベアを抱えたアイドルだったり、私の先輩のフィアニー・枝窪純子さんが意外な着物を着たポートレート撮影モデルだったり、立ち居振る舞いがかっこいいヴェリエッタ先生・内山智絵さんがやっぱり空手黒帯三段だったり。

きっとこんなきっかけが、また次に繋がって、別の舞台や作品で触れる機会を増やすはず。大阪で舞台公演があれば、何かイベントに来られることがあれば、きっと「観に行こう」となるに違いありません。

あーーーー、関西でも公演やってくれないかなぁ。一回では味わいつくせんわ。

公演名 WAR→P! in Fantasy 封印の聖祭と憂国の戦乙女
公演期間 2019年4月26日(金)~5月6日(月・休)
場所 BASEMENT MONSTAR
サイト 公式サイト(公演情報) / 公式Twitter

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があ

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

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