キャラメルボックス「ながれぼしのきもち」

秋の公演は、に引き続きグリーティングシアター。
この時期の公演は、普段行かないところを小規模の人数でまわるグリーティングシアターが定着してきましたが、今回は明石市のアワーズホールで。

少し苦い家族劇

氷川圭太は5年間勤めた会社を辞めたばかり。生真面目な性格が災いして仕事を抱え込み、体を壊してしまったのだ。そこへ、半年前に亡くなった祖父・雄次朗の弁護士から連絡が入る。瀬戸内海の島で雄次朗が経営していた旅館を処分してほしい、資産価値は10億を下らないと。再出発の希望に満ちて島へ到着する圭太。ところが、旅館はどう見ても売れそうにない古ぼけっぷり。おまけに雄次朗の恋人だと名乗る女性・若宮志津香が勝手に経営を続けていた。文句を言う圭太に、志津香はある課題を押しつける―――

主人公の圭太はちょっと現金な男だ。
疎遠だった祖父の遺産相続を断っておきながら、その遺産である旅館がもの凄い価値があると分かった途端、遺産を相続し売却しようとその島に向かう。

祖父の恋人だったという若宮志津香の「旅館を続けさせて欲しい」という願いを無下もなく断っておきながら、交換条件にとだされた孫との結婚にはふらっとなびいてしまう。

脚本の真柴あずきさんが紡ぐ物語は少し苦い。
家族ってすごく近い距離にいるはずなのに、「なんだかうまくいかない」ってことばっかりで、そんなことをすっとすくい上げて物語にしてしまう

祖父が暮らしていた旅館で、圭太は祖父と母の物語を知って、ほんの少しだけ前向きに「なんだかうまくいかないけど、やってみようかな」という気持ちになる。ほっこりというと少し違うんだけど、なんだか観て良かったなと思えるお芝居。

ただ……ちょっと物足りなかったなぁ。

祖父と母の確執が現実と幻の間で圭太の前に現れるのですが、描き方が断片的すぎて母が旅館から出て行く時の覚悟が感じづらかった。
圭太の気持ちが少しずつ変わっていったり、圭太と祖父の関係や和紗が圭太との結婚をなぜ即答したかとか、後半に結構大事な事柄がさらっと流れるのはもったいないです。
2時間の舞台では足りない感じ、小説ならこの辺りがもっと濃厚になったかも。

それでも8名のキャストの皆さんの魅力はたっぷり感じられる舞台でした。
関根翔太さん、大滝真実さんの二人のもどかしさの残るやり取りはどちらも可愛くて素敵だし、金城あさみさんは物語が進むにつれて成長する女性を過不足なく演じていて、小林春世さんはバタバタと駆け回っている感じがいかにも似合っているし。なんだか4人とも「若手」だっていうのが失礼なくらい。

ベテランの西川浩幸さん、岡田さつきさん、石川寛美さんは昔からのキャラメルボックスサポーターなら出演されているだけで嬉しくなります。特に石川寛美さんは関西での公演に出演されることは稀なので、それだけでも観に行く動機になりますね。

ゲストのア・ラ・ポテ俳優(よく分からないことはこちらをどうぞ)の森下亮さん。所属していたは活動休止になってしまいましたが、キャラメルボックスの舞台ではなぜか格好良さを感じるくらいスマートな演技を見せてくれます。これから他の舞台で色々と観てみたいです。

昨年末から3回目になるプチ遠征。
終演後に製作総指揮の加藤さんと少しお話したんですが、大阪からだと明石って結構遠く感じるみたいですね。新快速だと50分ほどなのに。
古くからのサポーターでも、そうでない人でも楽しめる舞台があって、遠征すれば少し旅気分を味わえるんだから興味があればもう少し積極的に試して欲しいなぁ。

今回は明石なので、「たまご焼き」を楽しんできました。

パパたこさんも頑張ってるんで、また明石で公演やってくださいね。

公演名 キャラメルボックス2018グリーティングシアター「ながれぼしのきもち」
公演期間 [東京]2018年9月13日(木)~24日(月・祝)
[所沢]2018年10月6日8(土)
[明石]2018年10月10日(水)・11日(木)
[秩父]2018年10月27日(土)
場所 [東京]ポケットスクエア ザ・ポケット
[所沢]所沢市民文化センター ミューズ マーキーホール
[明石]アワーズホール 明石市立市民会館大ホール
[秩父]秩父宮記念市民会館 大ホールフォレスタ
サイト 公演ページ / 公式Twitter