『TRUMP』拗らせちゃうヴァンパイア譚

お芝居を観に行くきっかけは様々。
演目が良く知られた原作だったり、有名人が出演したり、チケット代が安かったり、近くでやっていたり……

ウチが良く観に行っているキャラメルボックスの俳優の岡田達也さんが出演することから知ったこの舞台。岡田達也さんだけじゃなくて、クロムモリブデン森下亮さん、陣内将さんと、以前他の舞台で演技を観て凄く魅力のある俳優さんだなぁと思っていた方が出演されていて、さらに演目の「TRUMP」も3月に友人に連れて行って頂いた劇団Patchの公演「SPECTER」の原作というか元になった話。
さらにさらに偶然追加公演のチケット販売日にその記事に遭遇してしまうというなんとも「観に来なさい」と言われているようで、ついついチケットを購入してしまいました。

 舞台は、繭期(人間でいうところの思期)を迎えた若き吸血種「ヴァンプ」たちを教育(矯正)するために設けられたギムナジウム(クラン)。
人間とヴァンプの混血(ダンピール)であるソフィは優秀だが、「汚らわしき者」として周囲から嫌悪されていた。
完全階級社会であるヴァンプ界にあって指折りの名家の生まれであるウルは、忌むべき存在であるソフィになぜか心惹かれていく。

 そんな中、ウルはかつてのヴァンプが持っていた「不死の力」について研究を続けるうち、永遠に生き続けているとされる原初の吸血種「トランプ」の存在を知り、永遠の命を渇望するようになる。

 一方、クランでは、常にアレンを探し求めているティーチャー・クラウスら、個性豊かな教師陣が、繭期のヴァンプたちを指導していた。 日々、繭期のヴァンプたちの騒動が繰り返されるクランに、ある日、謎の転校生・萬里がやってきて・・・。

 不死を失った吸血種の少年たちが、「生」を渇望し、永遠の命を持つトランプの不死伝説に翻弄されていく、儚くも美しいヴァンパイア・エンターテインメント。

ヴァンパイアものである。学園物でBLチックなところもある。出演者はD-BOYSが大半なので……若くて可愛くて格好良い。当然、見に来る人も若くて可愛い女性が大半である……というか、90%超がそんな女性。
……目立つ。スーツ姿の40代の、見た目の濃いおっさん(=ウチ)は非常に目立つ。
購入した座席の両隣も物凄く可愛い女性が座っている。物凄く緊張する。なんか息をするだけで周りに迷惑をかけそうな気がする……そんな状況で二幕物の2時間45分。うーん、気力も体力も物凄く消耗する観劇になってしまいます。
とはいえ、サンケイホールブリーゼの2階席は物凄く見下ろす感じの座席なんで前に座っている人は気にならずやっぱり良い劇場だなぁと。

第一幕は主にクランでのソフィやウル達の生活が、二幕では冒頭シーンで語られるクランが荒廃する原因になる事件が描かれます。第一部で丁寧にそれぞれの登場人物の関係性が描かれるので、第二部の怒濤の展開は圧巻
早乙女友貴さん演じるソフィはもちろんのこと、剣術大会のシーンのシーンでは登場人物全ての剣の一降り一降りが滑らかで、これは確かに女性はもう夢中になってもしょうが無いですね。

剣術指南のティーチャーグスタフ役の劇団☆新感線吉田メタルさん、キャラメルボックスでは観ることの出来ないティーチャーミケランジェロの岡田達也さんの演技が物語に緩急を加えているのが本当に素敵で、この二人の配役が入れ替わった別のステージも観たくなってしまいます。

気になっている陣内将さんはこの物語にとっては謎の多いティーチャークラウス役。「パス・ファインダー」で拝見したときには、すらりとしたハンサムな若者というイメージで、このお芝居ではもう一つの配役のアレンの方がイメージにあう気がしたんですが、このティーチャークラウス役が物凄く格好良すぎ。特に謎の多い第一部と、第二部の終盤では明らかに演技の質が変わっていて、最後はゾクゾクするくらい目が惹きつけられる人物になっていきます。

もう一人、お薦めの俳優さんの森下亮さん…………いいんです。この人は舞台の上に居るってだけで良いんです。たっぷりと楽しませて頂きました。クロムモリブデンの次のお芝居は来年5月とのことなので、また観に行かなきゃなぁ。

「SPECTER」「TRUMP」と観て、この世界観は興味深く、新しい作品が出来たらまた観に行っちゃいそうです。……というか、この世界観の小説があったら買いに走りたい気分。
何分、上演時間が長めなので個人的には苦手な部類なんですが、本当に「拗らせちゃう」お芝居でした。

http://napposunited.com/trump/index.html

公演名 TRUMP
公演期間 [東京]2015年11月19日(木)~11月29日(日)
[大阪]2015年12月4日(金)~12月6日(日)
場所 [東京]Zepp ブルーシアター六本木
[大阪]サンケイホールブリーゼ
サイト 公式サイト /