坂木司「和菓子のアン」

infoこの記事は2014年10月26日に書いたものです。
現在とは紹介させていただいている内容が異なる可能性がありますのでご注意ください。

坂木司「和菓子のアン」

娘の中学校を訪れたときに、「最近読んだお薦めの本」を木の葉の形で紹介している展示がありました。
漫画やライトノベルが中心で、「あぁ、ウチが小中学生の頃に読んだような話が並んでいるなぁ……」と思って眺めていたら、偶然にもついさっき読み終えた作品がありました。
坂木司さん「和菓子のアン」
このお薦めを書いた生徒に会いたくなりました。

やりたいことがわからず、進路を決めないまま高校を卒業した梅本杏子は、「このままじゃニートだ!」と一念発起。
デパ地下の和菓子屋で働きはじめた。
プロフェッショナルだけど個性的な同僚と、歴史と遊び心に満ちた和菓子に囲まれ、お客さんの謎めいた言動に振り回される、忙しくも心温まる日々。
あなたも、しぶ~い日本茶と一緒にいかがですか?

デパ地下の和菓子屋さんを舞台にした連作短編ミステリ。
北村薫さんの「円紫さんシリーズ」や加納朋子さんの「駒子シリーズ」でジャンルとして確立された「日常の謎」系のミステリ。

和菓子屋を題材に、お菓子好きのぽっちゃり癒やし系のアンちゃんに降りかかる謎を軽やかに描いています。
日常の謎とは言いつつも、和菓子に関するトリビアはなかなか耳にすることのない話なので興味深く、楽しんで読みました。
人の死なないミステリは、確かに中学生には取っつきやすいかも。

五編収録された作品の中で好きなのは「一年に一度のデート」。
七夕の季節に提供する上生菓子「星合」。黒い餡の地に透明な寒天が流され、小さな鳥が浮かんでいるデザイン。「どうしてこれが七夕なんですか?」という質問に、アンちゃんは店長から仕入れた受け売りの知識を披露します。
「まず、この黒いのは夜空です。星が浮かんでいないのは、まだ天の川が見えないから。そしてこの鳥はカササギ。織り姫と彦星が会うためには、カササギが橋を架けてあげなければいけません。なのでこのカササギは、これから橋を架けにいく途中なんです。」
すっかり感心した女性は「星合」を二つ買っていく。そして翌月、旧暦の七夕の時期に彼女はもう一度、七夕のお菓子を買いにやってくる。ちょっとした謎を携えて。

株にハマる頭脳明晰な店長さん、和菓子職人を志すお姉系の同僚、元ヤンの先輩とキャラクターも分かりやすいので、テレビドラマ向けだと思ったり。

光文社のジャーロで続編を書いているので、そのうち続編がでるんでしょう。読む楽しみがまた一冊増えました。

ABOUTこの記事をかいた人

があ

大阪生まれ・育ち・勤めの闘う(?)公務員。 一般事務職で採用されたのに、今や福祉職だと勘違いしている人が大多数。濃い顔付きから沖縄人やらアラブ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ-