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観劇雑記:劇団PEOPLE PURPLE「サヨナラの物語」

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…教えてくれないか?
君は、僕で
本当に幸せだったかい?

劇団の新作公演「サヨナラの物語」の初日を観劇してきました。

劇団PEOPLE PURPLEは2000年に神戸で旗揚げした劇団。
作・演出の宇田学さんは最近ではフジテレビのいわゆる月9ドラマの『ラッキーセブン』『TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~』の脚本をやられている売れっ子さんです。
阪神淡路大震災と神戸・湊山消防署の特別救助隊員の物語「ORANGE」でこの劇団のことを知りながら、なかなか日時や場所がネックになって行くことができませんでした。

今回は、ウチの好きな菅野良一さんが出演されるのと、場所がHEP HALLとめちゃくちゃ近い場所だったので、予約をとって初体験です。

主人公は売れない小説家の赤川太郎(菅野良一さん)。
10年前に1冊小説を出版しただけで、今はコンビニのバイトで生計を立てている。
夢を追い続ける太郎に、妻や娘は応援してくれているものの、息子は最近反抗気味。
そんな生活の中、腰の痛みが続くのをぎっくり腰だと思い、念のためにと病院にかかった太郎は、自身がスキルス性のがんで余命わずかであることを知らされる。
「何も残せない」
書きためた小説の出版を頼み込んでも相手にされず、貯金もなく、生命保険は契約切れ。
そんな太郎の前に「レン」と名乗る編集者の女性(片山誠子さん)が現れる。

……思いっきり身につまされる物語です。
妻と、娘と息子という家族構成もそうですし、太郎の年齢もおそらくウチと同じくらい。ひょっとしたら、ウチも夢を追って太郎のようになっていたかもしれない。
そんな風に思ったら、なんとなく人ごととは思えなくなってついつい重ねて見てしまいました。

物語は太郎の最後の時に向かっていく姿と、もう一人、脳梗塞の母を抱えて生活に困っている高校生・美保(柳川奈央さん)が平行して描かれます。
二人の前に現れる「レン」と「ケン」(上村好宏さん)はお互い同じような目的をもっているようで、それぞれ謎を持った人物として登場するのですが、途中でその正体が明かされると一気に物語の流れを加速させます。

物語の終盤になると登場人物の一人一人の言葉に泣かされっぱなし。
涙を拭う暇もないほど、良い台詞が一杯です。

ラストは想像通り。
太郎が居なくなった後、登場人物のこれからに希望を抱かせる描き方で、流した涙もすっきり。

いやぁ、ええわぁ。

舞台は全面がフレームの構造で、オシャレなブックのようにその所々におもちゃや本などが置かれています。
もちろん、いくつかは小道具で物語にきちんと絡んでいくのですが、この舞台装置がシンプルで大好き。

シーンを細かく暗転で繋ぐ演出は最初は戸惑うのですが、TVドラマのようなシーン転換のようでスピード感がありますね。

http://people-purple.com/

大阪公演は明日15日(日)まで。その後、来年1月23日(木)~26日(日)に東京の新宿シアターモリエールで東京公演です。

初めてのピープルパープルでしたが、大感激。
これはまた追わなきゃ行けない劇団さんが増えちゃいましたね。

……余録。
菅野さん、本当に太っちゃったなぁ……もう、沖田総司は無理かな(笑)
太郎の妻・恵理役の森下ひさえさんの声が可愛くて好き。レン役の片山誠子さんの声質も特徴があるので他の舞台も観てみたいなぁ。