キラキラなんかじゃない、そこにいるのはアツアツの公務員だ『地方公務員アワード2023』

キラキラなんかじゃない、そこにいるのはアツアツの公務員だ『地方公務員アワード2023』

先週の土曜日、LINEヤフー株式会社の本社をお借りして開催された『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2023』の表彰式&交流会に、前年受賞者という先輩風を吹かせて参加させていただきました。

今年の受賞者は12名。土曜日の開催ということもあり、受賞者の皆さんだけではなく家族や上司、推薦者も集まり、首長やお子さんからのお祝いコメントもあって表彰式は大盛り上がりでした。

東京都中野区 酒井直人区長

このアワードも7年目、毎年、受賞者が発表される度に「キラキラ系公務員」などと揶揄する言葉も聞こえるのですが、いやいやそれは本質を見てないよ、もったいないよなどと私は思うのです。

今年の受賞者を見て分かるとおり、それぞれが取り組む仕事、社会課題も年齢も性別のバラバラです。

受賞者それぞれの目に見える成果はとんでもないと思うかも知れませんが、そのベースにはキラキラなんかしていない地方公務員の仕事を着実にやり続けている強さがあります。

その強さを知れば、きっと全国の公務員の力になるんじゃないかなぁと思い、今回の12名の受賞者を私的な目線でざっとご紹介。

静岡県・市川美奈子さん
「ママは完璧で究極のパートナー」

現在の業務は「地域外交局地域外交課 地域外交参事官」。台湾に在住し、得意の中国語を駆使する中国語通訳案内士として、香港人が日本で結婚式を挙げるリーガルウェディングの招致活動に力を尽くすなどパワフルな仕事をしています。

私は市川さんを『ゆるきゃん△』とのコラボでコンテンツツーリズムのプロなんだろうなぁと思っていたのですが、それ以上に「育休MBAプチブログライター」としての活動に興味を持ちました。

表彰式では、台湾で一緒に暮らすお子さんからの賞賛を聞いて「格好いいお母さんだなぁ」と感じて、表彰式後に少しお話したら、その優しげな話し口調にあっという間に魅せられてしまいました。

[blogcard url=https://ikukyumba.jp/]

静岡県浜松市・野嶋京登さん
「地域コミュニティの原点は楽しい時間を共有すること」

徹底的な現場主義。

公民館の職員というと薄暗い事務所で座っているだけのイメージがあるかもしれませんが、野嶋さんは全くそんなイメージにあてはまりません。

町の人から佐鳴湖のゴミ問題の相談が持ちかけられたら、まず3時間話を聞いて、持ち帰ってプライベートの時間に急に「5月30日、ゴミゼロだっ!」と思いついて、それを「ごみゼロフェスタ」にまで繋いでいく。

一つ一つの社会課題を野嶋さん自身が楽しんで、そしてきちんとメディアに取り上げられるところにまで持っていく。アウトプットも含めた仕事っぷりに、本当に刺激を受けます。

愛知県豊田市・岡田俊樹さん
「暗黙知の見える化」

昨年の廣濱学さんに続いての愛知県豊田市からの受賞です。

イスラエル企業が開発した「衛星画像のAI解析による漏水検知技術」を使って、老朽化した水道管の漏水調査を行う。そして、アメリカ企業の「AI水道管劣化予測診断ツール」で今まで熟練職員が持っていた過去の漏水箇所や地盤等の環境要因といった暗黙知を見える化し、効率的な更新計画に落とし込んでいく。しかも、技術実証実験として日本で初めて実施してタダでこなしてしまうという恐ろしさ。

本人は「たまたま」できたことと繰り返して言いますが、新しい技術を知って、それを自身の仕事に繋げないかと考えて、それを取りに行くという攻めの姿勢が自分の体に染みついているというところがいいなぁと感じます。

[blogcard url=https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000303606.html]

岩手県八幡平市・中軽米真人さん
「行動原理はおもしろいか、おもしろくないか」

GoogleとApple、そして堀江貴文から目を付けられた地方公務員。なんでこの人がまだアワード取ってないんだと言われ続けたすごい公務員。

15人ほどの定員に世界18ヶ国から申込が殺到する1か月でプログラミングを学ぶ参加費無料の「プログラミングキャンプ」。

合宿後にそのまま市に移住したり起業する人もでて、市が支出した1億に対して3億を超える額の投資を市に呼び込んだ。

常勤医のいない遠隔地医療をApple Watchのヘルスケア機能を使って支援しようとするときには、乏しいネットワーク環境をデータを極小化するアルゴリズムの開発で乗り切るという力業で突破した。

「楽しいこと以外やるの禁止」という考え方は、どこのどんな公務員の仕事でも意識するだけで仕事が変わってくるはずです。

[blogcard url=https://www.holg.jp/jirei/mnakakarumai/]

埼玉県久喜市・金澤剛史さん
「スポーツの力でまちをデザイン」

地元愛とデザイン思考。42歳からデザインを学び直し、PRデザイナー、色彩コーディネーター、大学院でMFA(芸術修士)までも取得した。

シティプロモーションを担当していたときには市オリジナルの「クッキーダンス」を大バズりさせ、今の部署では「スポーツ×まちづくり」として3人制バスケ「3×3」のイベントを成功させています。

何よりも、地元の市議からも応援されるこの人柄。ちょっと格好よすぎやしませんか?

福井県坂井市・小玉悠太郎さん
「笑顔で挑戦 ゼロイチの実現」

昨年2人の受賞者を出した福井県の地方公務員。いやもっとすごい公務員がいるんだと推薦が増え、今年はなんと4人が受賞。

小玉さんはふるさと納税の担当者として、地元の企業を地道にまわり返礼品のラインナップを増やし、納税額を当初の380倍までに伸ばしました。そして良いなと思うのが、「寄附市民参画制度」を活用して、市民がやって欲しい施策にその財源を充てるということに使ったことです。

原動力は「愛」だと話す小玉さん。若手の後輩に坂井市の良いところを聞いた時に「何にもないですねぇ」と言われたのが悔しいと感じ地元愛たっぷりに手を尽くす、そんな行動指針が格好いいなぁと感じます。

この記事を書いている翌日に開催される「Fukui Coffee Festival」も、彼が実行委員会に入ってクラウドファンディングを成功させるなど、ゼロをイチする公私にわたる活躍はこれからも大注目です。

[blogcard url=https://www.facebook.com/PosseCoffee/]

群馬県みなかみ町・阿部真行さん
「関係があれば何でもできる」

台湾・台南市政府に9年間出向、「台南市政府対日事務相談顧問」という役割を受けるほどに信頼関係を築き、みなかみ町への台湾からのインバウンドも当初の10倍に。

台湾の特別永住ビザを持ち、台湾の名誉国民の授与も提案された(政治的な関係性などでそれは辞退されたとのこと)くらいの台湾・台南にとってのオンリーワンの日本人公務員です。

自身の滞在記を書籍に著したり、帰国後もみなかみ町だけでなく日本と台湾の架け橋となる活躍を続けられています。

台湾国籍の奥様とお子様と表彰式に来られ、家族全員で喜んでいられる様子が本当に素敵でした。

福井県越前市・緒方祐さん
「誰もが暮らしやすいまちを目指す」

福井から全国へLGBTQの理解を広げている公務員界の水先案内人。

大学時代に当事者から「市役所で配慮のない対応を受けた」と話を聞き、公務員になることを志し、まだLGBTQ、ダイバーシティという考えどころか言葉もほぼ無いところから、2022年に県内初のパートナーシップ宣言制度をスタートさせるまですすめてきました。

越前市の行政文書では届出に不要な性別欄を69件削除、庁外でも所属しているNPO法人で講演活動を続けるなど、思いをしっかりと仕事に繋げている格好いい公務員です。

https://www.youtube.com/watch?v=N3LNfttH7Wc

福井県・江澤隆輔さん
「日本の英語教育を本気で変える」

英語教師のためのオンラインサロン「ガチサロン」を無料で運営、教育者に向けた多数の著書や講演、InstagramやXなどのSNS、音声プラットフォームのVoicyやYoutubeでの情報発信と全国の英語教員の強烈な力になっている本物の「先生」。

忙しい現場をなんとかしたいと思ったときに、自分だけではなく同じ教員のためにという気持ちで動いている、インプット4割・アウトプット6割なんてのももの凄く共感します。格好いいなぁ。

[blogcard url=https://voicy.jp/channel/2030]

福井県高浜町・中村広花さん
「高浜の宝 水産女子」

高浜町の漁業振興の中心にいるのはこの彼女、水産女子の中村広花さん。

地元の漁師と一緒に網を引き、行政職で唯一となる水産省の「海の宝!水産女子の元気プロジェクト」のメンバーに選ばれ、シーフードマーケットUMIKARAにも尽力するなど行動力MAXの力に圧倒されます。

持ち前の負けん気の強さで、学んだことのない水産の世界で、苦労も楽しみに変えて走り続ける姿が格好いいです。
公共のスナックをやりたい、自分を見て公務員になりたいと思う人がいたらいいなぁと話す中村さんに憧れる人、きっといるはず。

新潟県・市橋哲順さん
「火中の栗を拾いに行く」

新型コロナウイルス感染症の蔓延期にたった4週間で5,000人規模のワクチン接種体制を整え、新潟県を都道府県別接種率で日本一に導きました。

高齢化で医師不足に悩む佐渡島の医療体制を3か月で立て直し、研修医の確保にはニーズを深く聞き取り付加価値を高めた「イノベーター育成臨床研修コース」を構築しました。

「火中の栗を拾いに行く」を口癖にする新潟の「成功請負人」。得手不得手はあっても結果を出すということに力をそそぐ、現場にとってこんなに頼りにできる人材はそうそういるもんじゃありません

東京都西東京市・海老澤功さん
「大小問わず改善と改革」

昨年の受賞者、廣濱学さんと同じ「カイゼンの鬼」

行革担当としてお金を切っていた立場から、保育所の待機児童問題に取り組む立場に。
空いてるはずなのに空いていない、そんな保育所現場の現状を丁寧に聞き取り解消に近づけていきます。

保育所の民営化にあたっては、建物を有償譲渡し年間7億円の運営費を削減しながら保育の質を高める手法を採りました。

そんな自身が取り組んだ経過を成功だけではなく、失敗も含めて志を同じくする公務員で情報を共有するなど、次世代に向けた優しい目線も憧れます。

「おかしいのが嫌い」というカイゼンの素を部下や同僚に共有して、失敗の怖さを乗り越えていく。役所に突然沸いてくる突然変異種。ですが、海老澤さんに近づけるように私たちも頑張りたいものです。

受賞者でもそうでなくても

授賞式の会場には、こんなすごい公務員もいます。授賞式の模様をリアルタイムで絵におこすグラフィックレコーダーのお二人。東京都中野区の山脇さん、宮崎市の小川さん

授賞式&交流会を盛り上げるために手弁当でやってくるこれまた地方公務員の皆さん。

過去の受賞者も駆けつけて、会場にやってきた公務員同士で熱すぎるトークが交わされます。受賞者でもそうでなかったとしてもそこにいるのはアツアツの普通の公務員たちです。見た目から熱い人も、心の内に火をともし続けている人も、クールな見た目で触ると高温の人も。

やっぱり参加してよかったなぁと思います。

この一年、公務員アワードの受賞者として足りなかったことばかりですが、ここで繋がった縁をさらに広げて、熱さを還元していけるように頑張りたいです。

私がこの記事を書いたよ!

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があ

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

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