一年ぶりに彼に会いに新神戸に行ってきました。そう、ブタの「みき丸」
新神戸駅に併設するコトノハコ神戸にあるAiiA 2.5 Theater Kobe。2.5次元ミュージカルの専用劇場に今年もキャラメルボックスが帰ってきました。
演目は梶尾真治さん『クロノス・ジョウンターの伝説』から『吹原和彦の軌跡』を原作にした『クロノス』の再々演です。
物質を過去に飛ばす機械、クロノス・ジョウンター。
https://napposunited.com/chronos/
吹原 和彦(すいはら かずひこ)は研究員として、この機械の開発に携わっていた。
ある日、会社の近くの交差点で、タンクローリーが横転し、角の花屋に突っ込む。
花屋の中には、吹原が中学時代から思いを寄せていた、蕗 来美子(ふき くみこ)がいた。
事故が起きる直前に行って、彼女を助けよう!
吹原はクロノス・ジョウンターに乗り込み、自分自身を過去へと跳ばした……。
キャラメルボックスでは原作物でも、オリジナルでも度々題材にされるタイムトラベル物。
その中でも、梶尾真治さん「クロノス・ジョウンターの伝説」を原作にしたクロノスシリーズは、『クロノス』(吹原和彦の軌跡)、『ミス・ダンデライオン』(鈴谷樹里の軌跡)、『あしたあなたあいたい』(布川輝良の軌跡)、『南十字星駅にて』(野方耕一の軌跡)、『きみがいた時間 ぼくのいく時間』と5作品も舞台化(他にオリジナル脚本が1本)しています。
休団を乗り越えて2作目の本公演ということもあって、劇団の代表作と言ってよい『サンタクロースが歌ってくれた』の次に『クロノス』を持ってきたのはやっぱりちょっと嬉しいですね。
『クロノス』は私の観劇習慣をガラッと変えた一作ということもあって、原作も舞台版のDVDも何回も読み返し、見返しているので、もうストーリーどころか台詞の一言一言を覚えているくらいです。
物語は、家族でも恋人でもない片思いの相手・蕗来美子を救うために、「過去に遡ってもほんの10分ほどしかとどまれず、その後は遙か未来に跳ばされてしまう」という重大な欠陥があるタイムマシン「クロノス・ジョウンター」を使って吹原和彦が走り続けるシンプルなラブストーリー。
原作は「吹原和彦の軌跡」と題されているとおり、吹原の思いとその行動に全集中しており、切なさが際立つ作品(もちろん小説として、すごく素敵な作品)です。舞台版はそれに増して、吹原の周囲の人の物語を描くなど複合的な要素がたっぷりで原作を知らずに初めて観る人でも、原作を知っている人にも楽しみの多い作品です。
脚本を書いてはる成井豊さんは、原作厨を大満足させる最高の脚本家だと本気で思ってまして、『クロノス』では、原作そのままでも、設定などを改変しても全く不満に思うことがありません。
特に原作ではクロノス・ジョウンターの開発者である野方耕一以外の人物は、それぞれの物語で絡むことがないのですが、舞台版では鈴谷樹里、数月圭と他の物語で重要な役割を持つ登場人物が登場しており、それが単なるおまけ要素になっていないのが最高すぎます。
そのあたりは再演の際にネタバレでがっつり書いたので、まぁ時間のある方はそちらも
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今回の再々演は主人公の吹原和彦を畑中智行さん、医師の鈴谷樹里を岡田さつきさん、蕗頼人を多田直人さんが演じた他は、キャストを刷新。「SLAM DUNK」の映画化じゃありませんが、キャストの変更って初演や再演を観ている側は、自身の美化した記憶とついつい比べてしまうものですが、世代交代も含めて本当に素敵でした。
中でも、野方耕一を演じた石原善暢さんは、原作にも逆輸入された前キャストのイメージがついているのですごく大変だったんじゃないかと思うんですが、吹原に叫ぶ「お前は大馬鹿ものだ」の言葉はガツンと響きます。
ヒロインの蕗さんの美しさも、科幻博物館の海老名、中林のコンビも、吹原の妹のさちえも、藤川も津久井も……いや、全キャストが本当にぴったりの名演でした。
ネタバレ+個人的にハマったポイント
- オープニングの「クロノス・ジョウンター」が流れてきた途端、もう胸熱ですわ
- 新しいダンス、吹原が風に囚われて、その後、蕗さんが現れるのつい声がでてしまいました。あれ、スゴい。
- 津久井役の中尾彩絵さん、ほんまに初舞台か!? 堂々としていて、藤川との掛け合いも最高。
- ヒロインの蕗来美子役の原田樹里さん、美しすぎる。演じる役ごとに違う魅力に溢れる。2月にまた大阪で観られる機会があるので楽しみ。
- 野方さん、吹原に鈴谷樹里と枢月圭を跳ばしたと言ったけど、再演では言うてたっけ? あれ、原作を知っていたり、次回公演を観る人には親切だよな。
- 次回公演の「あしたあなたあいたい」の重要人物、枢月圭を演じる森めぐみさん、ハマってたなぁ。交通費的に難しいけど観たいなぁ。公演期間中に講演とか研修講師でどこか関東近辺で呼んでくれないかな……
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