4年ぶりにクロムモリブデンを観に行きたいと思ってしまいました。
最近、はまりにはまった人狼TLPTで自由人メイソンとして出演されている石井由多加さん。今まで人狼TLPTでのアドリブ芝居しか観たことのないメイソンさんが、大阪にやってくるという、しかも、私の大好きなキャラメルボックスの阿部丈二さんまでも客演で出演するということで、チケット発売すぐに即買いしてしまいました。
爆音で綴る寓話のような物語
森の奥のそのまた奥に奥様の細道がありました。嫁ぎ嫁いだ花嫁が嫁いで驚愕!
二人の旦那がお出迎え、他にも奥様いるじゃない、お妾さんもいるじゃない、
姑さんも沢山いれば、女中も奴隷もてんこ盛り。
バイトのような花嫁は、派遣妻になれるのか!正妻になれるのか!
別れる時は分裂してもらいます!
頭かくしてツノかくさず!
ブキミなコトブキ!ウキウキコトブキ!
何故人は嫁ぐのか!
何故人は嫁を目指すのか!青木秀樹
……フライヤーに書いてある内容とえらく違うなぁ……と、いう印象
一人の男が樹海、森の中で「通りすがりの助っ人」にそそのかされて嘘をつく。
その嘘は自分自身を守るため。その嘘がきっかけで、山奥の村にすむ二つの家族の関係性が逆転してしまい、支配する側と支配される側の歪な世界が展開される。
脚本・演出の青木秀樹さんの結婚観を出発点にした二夫多妻制で、犯罪被害者が加害者家庭を支配するというある種異常な世界の物語。被害を受ける第一夫人以外の三人がその関係性を望んでいることや、ストーリーの合間合間に含まれる細かな「くすぐり」が見ている側のバランスを危ういところで支えている感じ。
物語の中盤までは、そんななんとも言えない気持ちで進行を見守っているんですが、最初に嘘をついた男の嘘と、被害を受ける第一夫人の嘘が再び浮かびあがった辺りから、物語の展開についていけなくなり、気がつくと爆音の音響と異様なくらい高いテンションとリズムに巻き込まれて一気に終演でした。
明確に「何かを伝える」というよりも、大きな変化で見ている者の「何かを動かす」ことをめざしているかのうようなお芝居は、おそらくクロムモリブデンのスタイルだと思うのですが、かなりクセが強くて、あまり人にはお勧めしづらいなぁという感想は4年前に観たときと同じでした。
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ただ、ライブ会場に居るかのような直接体に響くサウンドと、観劇後の「モヤモヤ感」とは確かに違う高揚感と気持ち悪さが入り交じったような感じは、個人的に嫌いではないので、これはこれで困ります。
魅力的な役者さんたち
個人的に観たかった石井由多加さんの演技ですが、思った以上に人狼TLPTの「自由人メイソン」っぽかったなぁという意味でちょっと残念。もちろん、そういう石井さんの演技を求められたんだとは思うのですが。
物語の中心になる岩瀬家にやってくる(ニセ)医師という役割どころで、登場シーンは他の役に比べて少なめですが、唯一「私、ニセ医者。医師免許持ってない。」と堂々と嘘を公言するというおかしな設定で、しかもこの物語の中では嘘をついているのに一番まともに見えてしまうという面白さは素晴らしかったです。
また、他の舞台に出演する機会があったら、追っかけてみたいな。
キャラメルボックスの阿部丈二さんは、キャラメルボックスでは決してみられないクズな男で、演技の幅広さをたっぷりと堪能させていただきました。
登場人物としては本当にトコトンまでクズなんですが、自分自身が望んだ多妻制に半年で飽きるとか尊大な中にある卑屈な小物感が印象的でした。
森下亮さんは、どこで見てもその独特の間と、時に出るたたみかけるような台詞回しがもの凄く好きで、今回はクズな母親でしたが目を離せませんでした。
いちいち面白いんですよ。ホントに。
四人の夫人はそれぞれ魅力があって、なかなか選べないですが、第一夫人の浅場万矢さんは確かに妻にしたいし、第二夫人の土井玲奈さんはエロくて妾にしたいし、第三夫人のゆにばさんは一緒にいてツッコミ入れたり笑っていたりしたいし、第四夫人の渡邉とかげさんには子どもを産んでもらいたい……って完全に思惑通りやん。それぞれ、配役通りの素敵な魅力にあふれていました。
クロムモリブデンは基本的に再演がないとのこと。14日(日)までHEP HALLです。
公演名 | クロムモリブデン「空と雲とバラバラの奥さま」 |
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公演期間 | [東京]2017年4月20日(木)~30日(日) [大阪]2017年5月11日(木)~14日(日) |
場所 | [東京]吉祥寺シアター [大阪]HEP HALL |
サイト | 公式サイト/FacebookTwitter |
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