「ばあば新茶マラソンをとぶ」地方文学賞が描く地域の魅力

「ばあば新茶マラソンをとぶ」地方文学賞が描く地域の魅力

本屋や図書館に行くと、自身が読もうと思っていた本とは別にタイトルや装丁で手に取る作品というものがあります。
この作品もそんな感じ。
新茶マラソン? とぶ? で、一気に気になってしまって、気がついたときには手にとってしまっていました。

主人公の原崎郁代は、思いがけない出来事から75歳で新茶マラソンに挑戦しようと思い立つ。 そのためにランニングクラブに入会し、栗田コーチから指導を受け、トレーニングを積み、ある程度の長い距離を走れるまでになる。
新茶マラソン当日。序盤、郁代はランニング仲間の中村のサポートや、沿道の声援を受け順調に走り、 関門を通過する度に自分の人生と重ね合わせる。

第16回「伊豆文学賞」の優秀作品集。
小説・随筆・紀行文部門の最優秀作「ばあば新茶マラソンをとぶ」は、75歳でマラソン経験なしの「ばあば」が新茶マラソンに挑む姿を描いた作品。
あ、「とぶ」とは遠州弁で「走る」との意味とのこと。なるほどぉ。
実在する掛川・新茶マラソンと、掛川の風景を物語に織り交ぜながら、ばあばの人生と訳あって帰郷している孫の里沙の人生を交差させる構成が見事で感激します。

優秀作の「十一月の夏みかん」、佳作の「うみしみ」、そしてメッセージ部門の作品もそれぞれ著者の特徴が浮かんだ素敵な作品揃い。

伊豆文学フェスティバルとは・・・
 静岡県では、川端康成や井上靖などが優れた作品を数多く生み出し、文学の地として名高い本県東部・伊豆地域の特性を生かして、伊豆をはじめとする静岡県を題材とした文学を募集する「伊豆文学賞」などを開催しています。

静岡県が主催するこの「伊豆文学賞」。今年で第18回と地方文学賞の中でもまだ歴史は浅い方ですが、回数を重ねながらきちんと、静岡県の魅力を打ち出している素敵な企画だと思います。
一過性のイベントや風景のように拡散性は高くないのですが、小説は読んだ人に舞台も含めて刻まれることから、大きな資産がなくてもその地域地域の魅力を感じることができるので、こういう企画は継続して続けることが大事だと思います。
大阪では……うーん、こういう企画は今は立てにくいなぁ……

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があ

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

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