福家警部補シリーズが面白すぎる!

久々にちょっと興奮してしましました。

“こんな気分久しぶりだわ。ワクワクする”

帯に書かれた通りの気分にさせてもらえるミステリに久々に出会いました。

福家警部補シリーズは倒叙型のミステリが好きな人、具体的に言うと「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」シリーズが大好きな人、そんな人向けに書かれたミステリ作品集。

既に3集発表されているのですが、文庫版の第2集「福家警部補の再訪」で興味を持って、今回第3集の「福家警部補の再訪」を読んでどっぷりハマりました。コレ、イイですよ。

福家警部補シリーズは倒叙型のミステリ。TVドラマの「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」のように、最初に犯人が殺人を犯し、犯罪が露見しないためのトリックを仕掛けるのですが、それをコロンボや古畑、このシリーズでは福家警部補がトリックの綻びを見つけ犯人を追い詰めていくというスタイルです。

このスタイルは1話完結で、1話ごとに豪華なゲストを呼べる上に最初に犯人を明かしてしまっているので、見る側は犯人と主人公との対決に集中できるという正にTVドラマ向けの手法です。
一方で、小説でコロンボや古畑に近い小説はなかなか見つけることはできませんでした。映像化された作品で倒叙型のミステリと言えば石持浅海さんの「扉は閉ざされたまま」という作品があり、ウチも結構好きなんですが、コロンボ、古畑的なワクワク感は無いんですよね。

ある日、書店で平積みになっていた「福家警部補の再訪」を見つけました。どちらかというといわゆる「ジャケ買い」のパターンですね。
この表紙が気に入ってしまい手に取ったのですが、解説を見るとコロンボ、古畑の正当な後継者との煽り文句、すぐに買っちゃいました。

福家警部補の再訪」には、

  • 鑑識不在の状況下、警備会社社長と真っ向勝負「マックス号事件」
  • 売れっ子脚本化と自作自演を阻む決め手は「失われた灯」
  • 斜陽の漫才コンビ甲斐性、片翼飛行計画に待ったをかける「相棒」
  • フィギュアに絡む虚々実々の駆け引き「プロジェクトブルー」

の4編が収録されていますが、コロンボへのオマージュが作品内に溢れており、本当に一気読み。

福家警部補のキャラクターも興味深く、

  • 幼い容貌で小柄。刑事に見られず犯行現場に入れてもらえない。
  • しかも、警察手帳をどこにしまったか分からなくなって、ついには紐をつけて首からぶら下げている
  • オタク気質で様々なサブカルチャーに精通している
  • 非常にタフで徹夜が続いてもなんとも思わない。

と、言動にクスリとさせられて、「こんな刑事に追い詰められてみたい」なんて倒錯した思いを抱いてしまいそうです。

そういう訳でハマってしまい、第1集の「福家警部補の再訪」をkindle版で購入し、最新作の第3集「福家警部補の報告」は図書館で見つけてしまったのですぐに借りてしまいました。

で、その第3集「福家警部補の報告」ですが、これがまた良いんです!

特に中編作品の「少女の沈黙」という作品。解散したヤクザの若頭・菅原が、組の再興を試み死んだ組長の孫を誘拐、暴走したかつての組員を殺害する話。カタギになろうとする組員を救うために犯罪を犯し、福家と対決するのですが、ワンシーンワンシーンがとにかく絵になります。対立する他の組の組員や、事件現場を目撃したはずの娘の沈黙、ヤクザ家業を嫌い忌避する組長の息子、それぞれの思いが交錯する物語はTVドラマで言うと2時間スペシャル級の扱いです。

また、「女神の微笑」という作品では、好敵手が登場。探偵物には付きものの「正義を語る犯罪者」が登場することで、続編が大変楽しみになってきました。しかも、その好敵手が老夫婦という辺りも意外性があって楽しいです。

先日、SMAPが古畑任三郎の続編と散々煽ってコントにしてしまったガッカリなことがあっただけに、これ、ドラマ化してくんないかなぁ。
福家警部補は、うーん、今やったら広末涼子さんあたりが良いかも。「鍵泥棒のメソッド」を見たばかりで引きずられている間も拭えませんが、二十代に見える童顔で眼鏡姿が似合いそうだし。

あー、楽しい。これ、早く続編が読みたいわ。

私がこの記事を書いたよ!

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があ

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

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