写真(公演パンフ)

悪い芝居「野性の恋」ぐちゃぐちゃな感情で恋をしたくなる

写真(公演パンフ)

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面白そうな内容でも、東京でしか公演がなかったり、仕事と丸かぶりで観に行けそうになかったり、お財布の具合がどうにも悪かったり、家族の時間を優先したり、まぁ色々と「観に行かない」という決定をしてしまう。

先週、学生の頃からずっと好きだった演劇集団キャラメルボックスが活動休止してしまい、色んな思いがない交ぜになった結果、「とにかく芝居が観たい」となって何かないかと調べたら、以前から気になっていながら「観に行かない」決定ばかりしていた悪い芝居さんがHEP HALLに。
初日の金曜日は残業で行けず、それでもやっぱり観たくて、当日券狙いで販売開始2分前に劇場へ、後方ですがこの位の規模の劇場ならめっちゃ観やすいセンターでの観劇になりました。

「相手を思いやる」ということ

今すれ違った知らない誰かと同じ。
今日のあなたにはもう会えない。
瞬間的好奇心に従う野生の恋人たちによる、
パンチドランクラブストーリー

恋をして、その相手を思いやって……なんておこがましい。

路上ミュージシャン・夏木煙子(清水みさとさん)の弾き語りに足を止めた高校教師・六嶋こころ(潮みかさん)。
六嶋は名前も分からない高校生に恋をしたことを誰かに話したくって、夏木に声をかけ、「あなたの歌をききたい」と再会を願うが、その思いの向ける方向が間違っていることを指摘される。

幼い頃の幼なじみへの恋をこじらせた昼間太陽(松本亮さん)は、その思いが向く相手の娘から持ち込まれた古いラジカセから聞こえてくるあのときの男の声に激しく動揺する。

1999年、ノストラダムスの予言で地球が滅亡すると言われていたときに、未来をみたという少年の予言は20年後の2019年にこそ世界が滅ぶという予言だった。

そして2019年……

謎の高校生に心が動き、不器用な自分にわぁーっと大きな声で叫び出したくなって、その心の動きに右往左往する六嶋先生も、決して恋が叶うことのない鬱屈した思いをずっと抱えてそれでもその思いに決着をつけられない太陽も、「分かる!」「分からん!」と声をかけたくなるほど、舞台上に手を差し出したくなるほど魅力的

六嶋先生の思い人の殻沢軸(大原海輝さん)も、太陽の思い人の植場光(原田樹里さん)の物語は断片的にしか表現されないけれども、それだからこそ太陽が感情を爆発させるシーンにタイトルの「野生の恋」が重なる

「悪い芝居」だっていうので身構えて観ていたら、私好みの少し不思議(SF)な展開に不器用だけどピュアなラブストーリーじゃないですかと思わせて、不穏な展開で暗転し肝を冷やされ、ラストシーンでほんの少し揺り戻し。
ラストシーンで太陽が最後までポケットから手を出さないので、どんな解釈もできるけれども、太陽も六嶋先生もほんの少しの幸せを愛でられたらいいなと思ってしまいます。

観に行って良かったぁ。自分の渇きを癒やせた感じ

軸(工作)と光の物語にもやっとした思いは残るんだけど、物語への没入感は素晴らしく、登場人物の台詞もグサッグサッと突き刺されて痛い痛い。学生時代の叶わなかった恋とか、通じなかった思いとか、物語の展開も含めて観劇後は頭がごっちゃごちゃ。でも、なんだか無性に恋をしたくなる

次回公演は8月か……また観に行こう。

公演名 悪い芝居vol.22「野性の恋」
公演期間 ●[東京]2019.5.24(金)~6.2(日)
[大阪]2019.6.7(金)~6.10(月)
公演場所 [東京]東京芸術劇場シアターウエスト
[大阪]HEP HALL
サイト 公式サイト(公演情報) / 食べログ
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