「自治体」広報担当者が見る広報とは?『自治体広報AWARD2025』

「自治体」広報担当者が見る広報とは?『自治体広報AWARD2025』

全国自治体の広報担当者のオンラインコミュニティ『自治体広報LAB』、合同会社ローカスブリッジが主催し、初めて開催された『自治体広報AWARD2025』の授賞式に参加しました。

「担当者が選ぶ日本一の広報プレイヤー」ということで、自治体の広報紙など成果物や自治体を評価するのではなく、担当者個人を表彰するのがポイントです。

自治体職員の仕事は時に属人的でありながら、属人的であることを忌避したり、そのプレイヤーを孤立化させることがありますが、実際のところ、その担当者個人の得た知識や技術、試みが伝播すればもっと良い仕事ができるはずなのです。

審査員長である愛媛県内子町の兵頭裕次さんは、

このAWARDは自治体ではなく、担当者個人に目を向けています。その思いや技術を顕彰することで、広報担当者が互いに学び合う場をつくりたい、という思いから始まりました。 (中略) 審査はされますが、何が正解かを探すものではありません。応募された作品や制作者の思いに触れ「この工夫は自分のまちでも試せそう」「私も心に響く紙面を作りたい」。そんな思いが全国に広がれば、広報担当の仕事はもっと面白く、力強くなるはずです。

とメッセージを寄せています。

『自治体広報AWARD2025』では、広報紙、シティプロモーション、写真、クリエイティブの4部門での審査で、各賞の金賞受賞者から一人を受賞者として決定します。広報紙や写真だけでなく、成果が見えづらいものにも光をあてる試み。

第一回のトッププレイヤーはそのシティプロモーション、クリエイティブの二冠、岐阜県飛騨市の上田昌子さんに決定しました。

ここでは、各賞の金賞をご紹介したいと思います。

広報紙部門 福島県川俣町・佐藤 耀さん

受賞した広報紙は「広報かわまた令和7年12月号」 全34ページの約1/3の11ページを占める特集のテーマは「ごみ減量」です。

自治体の広報紙では、事業紹介やこの「ごみ減量」といった社会啓発を題材とする「興味を持たれにくい」内容を取り上げることが多くあります。

佐藤さんは読んでくれない家族に読ませる記事を目指して、どう伝えるかを徹底的に考えて紙面構成を作り上げています。

テキストは多いのですが、可燃ゴミ対策の「3切り運動」、資源ゴミ対策の「3R」といった言葉をチェックボックスを入れて「どんなことをしたらよいの」と分かりやすく示していたり、補助金などの制度への誘導を図るQRコードの配置、丁寧にブロック分けされたレイアウトなど広報紙やちらしを制作する職員が参考になるコツが目一杯詰まっています。

何よりも素晴らしいのが、「3切り運動」は普段から生ゴミをたくさん扱っている料理店が実践している食材の端材の使い方、川俣町に移住した写真家・画家に日常の「3R」をインタビューしていることです。「制度」や「言葉」ではなく、「人」にきちんと繋げてくることで、記事の深みが増しています

いやぁ、すてきな記事ですね。

写真部門 沖縄県糸満市・上原 盛太さん

受賞したのは「広報いとまん2025年9月号」の表紙写真です。

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新型コロナウイルス感染症の蔓延やわら不足などの影響で途絶えていた祭りでの綱引き行事を紹介した記事を紹介する写真です。

綱をまとめていく「綱打ち」を行う3人を真下から撮影した写真は迫力一杯です。前もって「こう撮りたい」と決めていた写真ではなく、当日、3人をどうしたら写せるかと考えて、これならいけると気がついて寝転んで撮影したそうです。

上原さんは広報担当を志望して担当につきましたが、いわゆる「ひとり広報」で、属人的な活動がそのままダイレクトに良くも悪くも返ってくる状態で、広報コンクールで受賞しているものを参考に学んでいったといいます。

広報担当で使用するカメラの予算が削られそうなとき、市長に掛け合って「単に写真を撮っているんじゃないんです。まちの歴史を残すために必要なんです」と言い、予算を確保したという熱量もすごいなぁと感じました。

シティプロモーション部門・クリエイティブ部門 岐阜県飛騨市・上田 昌子さん

シティプロモーション部門は「人口減少時代の挑戦!住民とファンでめざす持続可能なまちづくり」、クリエイティブ部門は「おっちゃんレンタル」で、今年のベストプレイヤーに輝きました。

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人口減少の地方都市にとって、そのまちをどう持続していくのかは多くの自治体が同じ悩みを抱えています。 まちの関係人口を増やすということについて、「“移住”政策だけでは、地域の 維持は追いつきません」と、具体的に「関係人口」とは何かと東京大学等と実態分析を研究し、きちんと理論立てて理解し実践しています。

「飛騨市ファンクラブ」や「ヒダスケ」といったキャッチーな施策を真似するだけではうまくいかないこと、そのまち、そのまちで活きるやりかたを伝える上田さんの姿勢は、本気で全国の広報担当者に知ってほしい本当にベストプレイヤーにふさわしい内容でした。

副賞も自身のためではなく、カメラをもらって職場で皆で使いたいという答えは「満点」でした。


授賞式のあとは『自治体広報ラボ』のオフ会ということで、受賞者のトークセッション、参加者のグループトーク、さらには会場を移しての懇親会と盛りだくさん。

上田昌子さんもそうですが、公務員アワードの受賞者も多数がこの授賞式、オフ会に参加しており、その思いやノウハウの共有が「濃すぎる」一日でした。

北は北海道、南は沖縄から奈良県王寺町に集まった60名。 それぞれのフィールドで、「全員が広報」のマインドを持ちかえったに違いありません。

もしも自身の自治体でくすぶっている人がいたら広報担当でもそうでなくても、こういう場に飛び込んでみて欲しいです。

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私がこの記事を書いたよ!

があ

があ 男性

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

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