画像生成AIを地方公務員が使うときにまず注意したい著作権について

地方公務員オンラインコサロン『HOLG』さんで、画像生成AIの体験会を開催しました。

私は特に生成AIの専門家という訳ではありません。

先日、このブログにもこんな記事を書いたのですが、

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画像生成AIを使うのが面白くて、これを仕事に活かせないものかと色々とやっていたら、「これ、情報感度の高い地方公務員にシェアしたら面白いことになるかもしれん」と思ったので、その場で「こんなことやってみたいんですが」と相談したら、その場で企画を通していただきました。

いやー、思いつきでもアウトプットさせてもらえる環境嬉しい!

参加者の一人、福井県の寺井さんは体験会をやっている間にもさっそく自身の仕事に生成した画像を使用されて、そのフットワークの軽さに改めて「やるなぁ」と思ったり。

それにしても、ここしばらく生成AIに関するニュースが連日流れてくるので、ここに書く情報もあっという間に古くなっちゃうんだろうなぁと思うことしきりです。この記事もちょっと制作中にクラッシュして書き直しになっちゃったんですが、その間のニュースをどこまで補足するか悩むくらいで、その辺りはどんどんとインプット・アウトプットを続けて行くしかないんでしょうね。

体験会の模様については、ここでは詳しく書きませんが、地方公務員オンラインコサロン『HOLG』で当日参加できなかった方にも共有されます。これに限らず色々な学びや繋がりのある面白い場でありますので、興味がありましたら参加してみるのも良いかと。

地方公務員が画像生成AIを使うなら「Adobe Firefly」「Bing Image Creator」

画像生成AIにも色々あるのですが、体験会では主に「Adobe Firefly」と「Bing Image Creator」を体験していただきました。この二つを選んだ理由は、

  • 生成される画像がシンプルに高品質なこと
  • 日本語のプロンプト(指示)が通ること
  • 無料で体験できること

特に「無料」であれば、自治体現場では導入、試行のハードルが一気に下がります

基本的に自治体業務の予算は議会の承認を受けて執行するものなので、「この事業の予算がある(余っている)から、これを使ったらええやん」なんてことにはなりません。役所は仕事が遅いってよく言われますが、お金を使える判断が簡単にはできない(させてもらえない、権限がない)ってところが一番の理由だと思っていただければと。そんな訳で、お金を使わずに事業の目的・趣旨に合っているのであれば現場の責任の範囲で導入・試行できる可能性が出てきます。

もちろん、画像生成AIが面白いと担当職員が感じたから、即仕事に使えるかというと別問題ではありますが、画像生成AIを触っていくことで、今後仕事に大きな影響を与えるであろう生成AIへの心理的なハードルも少しは低くなるでしょう。

ちなみに、体験会ではStable Diffusionで制作した画像も示して、

自治体現場で生成AIで制作した画像を使う際の注意点もあげました。

性的なコンテンツは、ちょっとした露出や性別・年齢、表現方法一つで炎上のリスクを抱えていることはやっぱり意識しておきたいですね。

「フリー」は何でもOKじゃない

さて、「無料であれば導入・試行しやすくなる」と書きましたが、自治体職員の皆さんは特に気をつけないといけないのが「著作権」の問題です。

つい先日も、こんなニュースがありましたが、

佐賀新聞

佐賀県杵島郡白石町の小学校がインターネットで探した風鈴のイラストを学校だよりに掲載したところ、制作者から著作権侵害を指摘…

「フリー画像だから大丈夫」なんて思っていると、著作権使用料をあとで請求されることになってしまいます。

例えば、役所のちらしや資料でも良く見られる「いらすとや」の「フリー画像」(個人的にはTPOを考えずに何でもかんでも「いらすとや」の画像を使うのは嫌いなんですがそれは別の話)ですが、こちらもサイト上の「ご利用について」に利用規程として著作権についても記述されているのですが、使用する際にここを読んでいる人はどれくらいいるでしょうか?

いらすとや」さんは利用者にとってはかなり優しい利用規程で、不注意で著作権侵害を犯すことは少ないと思いますが、

  • 個人、法人、商用、非商用問わず無料
  • 素材自体をコンテンツ・商品として再配布・販売することは禁止
  • 素材を21点以上使った商用デザイン(重複はまとめて1点)は有償
  • 素材は規約の範囲内であれば自由に編集や加工できるが、著作権を放棄していない

特に3点目は注意が必要です。公的機関(非営利団体)だからといって、例えば民間団体と共催で参加費・入場料を取るようなイベントを開催する時は「商用」と判断されてもおかしくはありません。

ITmedia NEWS

イラストレーターのみふねたかしさんが運営するフリー素材サイト「いらすとや」。いらすとや素材の商用での無償利用には実は個数…

要は、

利用規程・規約はちゃんと読め

ということです。当たり前のことを当たり前にやるのが地方公務員の仕事です。

機械学習は著作権を侵害しているのか?

今回、体験会で使用した「Adobe Firefly」と「Bing Image Creator」ですが、

Adobe Firefly プレスリリース よくある質問

  • Adobeのアカウントが必要、毎月25の生成クレジットが提供される無料プランあり
  • 商用利用可
  • 生成AIモデルのトレーニングにAdobe Stockなどの使用許諾を受けたコンテンツのデータセットおよび著作権の切れた一般コンテンツを使用

Bing Image Creator Image Creatorの使用条件

  • Microsoftアカウントが必要、無料。画像生成を素早くできるブーストの配布あり。
  • 商用利用不可(同じDALL-E3を使用するOpen AI社の有料プランChat GPT Plusは商用利用可)
  • 生成した画像の所有権はユーザが持つが、Microsoftには無条件で利用許諾が与えられる

といった感じで、どちらも「著作権」は画像生成を行ったユーザが持つことになります。ただ、気をつけないといけないのが、Bingは商用利用不可なうえに、画像のモデルの学習元が不明瞭なところ。その辺りの注意点はこちらの弁護士さんが書いたnoteが良く整理されています。

note(ノート)

はじめに:DALL-E 3による画像生成の進展 OpenAIが提供するChatGPT(DALL-E 3)による画像生成…

つまり、「作ったものの著作権はユーザが持つけれど、それが他者の権利を侵害していないかは自分でちゃんと面倒みろよ」という形です。

まぁ、これは生成AIを使っても、使わなくても常に意識しておかないといけないところではあるので、

著作権侵害の有無を自身で調べる

ことは忘れないようにしましょう。

ということで、画像生成AI体験会の補足でした。

私自身は今後も画像生成AIだけでなく、生成AIは色々と学んで仕事に活かしていきたいと思います。