- 2017年8月27日
インパクト大の谷四進出@谷町四丁目「麺とかき氷 ドギャン」
コストパフォーマンスに優れた居酒屋でありながら、ラーメンやらかき氷やらアグレッシブに挑戦し続ける「宮崎郷土料理どぎゃん……
「チラムネ」8巻が発売されましたね。
え? 「チラムネって何?」
何言っているんですか?
「このライトノベルがすごい!」大賞で、未アニメ化作品として初の2連覇、堂々の殿堂入りの『千歳くんはラムネ瓶のなか』をご存じでない?
そうですか、では、50歳になった私を沼にはめたこの作品について、別記事に書いていますので、そちらをどうぞ。
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そんなこんなで、8巻の発売前に物語の舞台・福井に行ってきました。いわゆる「聖地巡礼」というやつですね。
あ、「キモっ」とか思ってますね。ほっといてください。そもそも、40代後半から50代前半は、富士見ファンタジア文庫、電撃文庫に角川スニーカー文庫の創世記を直に体験しているラノベ第一世代ですよ。
8巻の発売直前というタイミングだけが失策ですが(いや、発売日知ってたらちゃんと重ねたんだが……)、それも含めてたっぷり楽しんできましたので、昨今何かと話題のコンテンツツーリズムの妙をご紹介します……なんて書くと少し、公務員っぽい??
さて、まずは今回の「チラムネ旅」の案内人についてご紹介。
福井市職員の出蔵健至さん、通称「コラボの中の人」。『千歳くんはラムネ瓶のなか』と福井市のコラボ企画をすすめた中心人物です。
昨年の『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2022』の授賞式で私に「チラムネ」を紹介して沼にはめた極悪人(=恩人)です。
もう一人、福井のお姉様(でも年下)にも案内人になっていただいたのですが、そちらは非公開(ですよね?)のため、ここでは割愛。
さて、福井に到着した当日。「お腹空いてます?」と確認されて向かったのが、『ふくい鮮いちば(福井市中央卸売市場)』。
「チラムネ」では6.5巻でヒロインの一人・優空と夕食の食材を買いにいく「デート」で訪れる場所です。
市場の一番手前のお店『群青』さんで、二人で早速朝ご飯。 出蔵さんは「復活かじきソースカツ丼」をチョイス。このビジュアルにかなり惹かれましたが、チラムネ旅である以上、ソースカツ丼はあとで食べることは確定している(……しかしかじきは捨てがたい)ので、私は限定メニューを選ぶことに。
うまいっ!
海鮮丼にアジフライのセット。何より大阪で食べられる魚とは鮮度が違います。イカやアジはキラッキラの美しさに、アジフライはカリッとした衣にふんわりとした厚みのある身で最高でした。
最初から、これだもんなぁ。
その後は、チラムネ関連のスポットをいくつも訪れて、たくさん食べまくり。
チラムネで何度も登場する北陸の定番ラーメン店『8番らーめん』では、主人公の朔がいつも食べている「唐麺」に酢、辣油をしっかりとかけて食べ、
これまた福井の定番『ヨーロッパ軒』では、作品内に登場する豊島分店が臨時休業と見事な運の悪さに直面しながら、別の店舗でしっかりとミックスでがっつき、
最終日に時間が余れば、7巻で物語をかき回す望紅葉が最近はまっているという『あんバターコッペパン」(私はつぶあん派)も当然に買って、おやつ代わりに食べて……あ、写真撮り忘れた。
夜には、チラムネを知らない友人には「なんで福井駅前店なの?」と言われた『秋吉』で、出蔵さんがサクッと店員さんに告げます。
「しろ10、純けい10、串カツ10、ねぎま10、ピートロ10、キャベツはミックスで」
チラムネセット(3巻での朔がオーダーしたメニュー)を用意して、あっという間にオーダーを済ませる出蔵さんの有能さに溺れながら、うまい焼き鳥に舌鼓を打ちます。特に「純けい」は、グッと噛みしめるほどにうまさを感じられるのでおすすめ。
好きな作品と、好きな人とお酒を通して時間を過ごせるのは嬉しいですよね。お酒も話も進む、進む。
もちろん、作品に登場するグルメ以外にもたっぷり食べたので、本当にずっとお腹いっぱいの旅だったのですが、チラムネをきっかけに福井の名物も日常のグルメも楽しめたのは大満足でした。
これでも作品に登場した「sumu cafe」のエッグベネディクトや、「蛸九」のお好み焼きなどは食べられなかったので、また福井に来させるにはいい戦略かも。
2日目、朝、ちょっと時間があったのでホテルから福井駅に向かって歩いていると、駅前の再開発工事の仕切り壁がチラムネ仕様に。
単に登場人物のイラストだけじゃなく、作品の内容や舞台がここ福井であることを紹介しています。
何しろ、作品はアニメ化されていない、中高生など若い世代が読者の中心のライトノベルということもあって、福井の人でも知らないって人はまだまだいそうです。
読者、マニア向けだけでなく、地元の人にも愛されるコンテンツに育っていくために、福井の人に向けたプロモーションって結構大事だと思うんです。
さて、出蔵さんと合流したとあとは、物語に登場するスポットをどんどんと巡回します。いわゆるけっこうマヂな「聖地巡礼」です。
ヒロインの中で「青海陽」さん推しの私、出蔵さんはそれを分かって色んなところを連れ回してくれます。
朔と陽がキャッチボールした『東公園』で、バスケットしている少年を眺めたり、
陽が凹んだときにやってくるという足羽山の展望スペースで、足羽川に向けて気持ちを込めてみたり、
朔に向けて思いっきり陽が叫んだ福井県営球場のスタンドから、青い空を眺めてみたり、
合間合間に出蔵さん推しの「西野明日風」こと明日ねえスポットを差し込んでくるあたりも楽しいのですが、とにかくこういうスポットのほとんどは、物語に登場するとはいえ、言ってしまえば普通の町中の景色です。
ところが、チラムネを読んだ読者にとってはその普通の景色が特別な景色に変わってしまう。推しが歩いた、見た景色の中に立って、その場所を感じることで、チラムネを読んだ時の物語、登場人物の輪郭がさらに鮮明になっていきます。
明日ねえが朔を待っている河川敷沿いを歩いていたとき、近くの学校で吹奏楽を練習している音が聞こえてきました。
物語をきっかけに、福井の町、福井の景色を好きになっていく。訪れたくなるというのは本当に素敵なことですね。
出蔵さんの「中の人」としての仕事は、一般的にイメージされる公務員の仕事とはかなり違います。
私をアテンドしながら、訪れた場所でコラボイベントのためのポスターをお渡ししたり、ヒロインの等身大パネルを書店に運んだら書店員さんと新巻の発売の話をしたりと精力的に地域の方々と接しています。
さらには私と別れた後は、ラジオに出演して、福井市のコラボイベントの発表をしていました。
なるほど、確かにこれは公務員の仕事だわ。でも、なかなかこれを分かってくれる人、(特に公務員の同業者には)少ないだろうなぁ。
コンテンツツーリズムに関わる仕事、特に自分自身が好きな作品をきっかけに仕事ができるのをうらやましいと思ってはいるのですが、「中の人」の仕事を見て、ちょっと反省モードになっちゃいました。
作品がまず大切、作品を大切に思っている読者が大切、そして舞台となっている福井が大切。 自分の好きや推しを仕事にするのはまぶしいけれど、やっている仕事は、いやぁ私が感じている公務員の仕事のど真ん中じゃないですか。格好よすぎるぞ、中の人。
『千歳くんはラムネ瓶のなか』と福井市のコラボ、今年は8月19日から10月1日で開催。作品を通して、作品を、そして福井をもっと好きになってくれる人が増えるといいですね。
……コラボ期間中にもう一回行きたくなってきたぞ、おい。
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