- 2017年3月21日
キャラメルボックス「鍵泥棒のメソッド」原作厨も納得の再現度+α
2014年の初演からたった3年で再演になった「鍵泥棒のメソッド」。原作の映画版「鍵泥棒のメソッド」を作った内田けんじ監督……
『三人姉妹』ならぬ『三文姉妹』
昨年、いくつかのお芝居を観に行って配られたちらし束の中で、真っ先に目に入って「これは観に行こう」と思ったお芝居。
ちらしの美しさ、「三文姉妹」なんて興味を引く言葉、そして出演者。いや、これ観にゃあかんでしょ。
一週間の仕事のご褒美にと、金曜日のソワレ(夜に行う公演)に行ってきました。
三姉妹が並んで座って双六をする。 淡々と、そして不穏な空気をまといながら、進んでいるのに止まっているかのような時間が続き、「何だ、この世界は」と引き込まれる。
明日は父親に一年ぶりに会える、引越のための片付け、引っかかりを感じさせる台詞や行動に不穏さは増すばかりですが、その謎が明らかにされると、今度はこの三姉妹が愛おしくなってきます。
三姉妹が重ねた時間と重ねられなかった時間を、おままごとで優しくそして切なく描きます。
脚本はコントが主戦場のザ・プラン9の久馬歩さん、それを名前のインパクトも凄いチャーハン・ラモーンさんが演出されています。 これ、観るとクセになるやつだ。
キャラメルボックスから原田樹里さん。三姉妹の末妹ハナはちょっと生意気になったり、幼くなったり、強がってみたり、表情の変化が三人の中でも一番見られて本当に愛おしくて可愛い。
昨年末のキャラメルボックス『クロノス』での絶対的ヒロインも素敵なんですが、原田樹里さんは本当にどんな役でも目が離せない美しさがあります。
物語の最後は一番の末っ子なんだなぁと思う不安定さで、いつまでもこのままだったりするんだろうなと思うと結構切ないですよね。
シバイシマイの是常祐美さん。長女のウタ姉ちゃん。最初は長女らしい関係性が、終盤に近づくにつれて精一杯背伸びしてお姉さんになっているんだなあというのが分かってきて愛おしくなります。
是常祐美さんは、舞台に登場するだけで謎の安心感が得られる俳優さん。切れの良いツッコミが心地良くて、どんな舞台でもいてほしく思ってしまいます。
次女テルの丹下真寿美さんは、一番しっかり者のようでいて一番胸の奥にため込んでしまいそうな感じが不安定で守りたくなります。
ラストシーンでおままごとの設定を、某怪盗三姉妹(ちゃんと次女にロマンスが訪れる)にするあたりちゃっかりしてて可愛いのですが、あの三姉妹はAmazonプライムで動画なんて見られないなんてことに気付くとこれまた切ないです。
丹下真寿美さんは、以前から直接舞台で観てみたかった方。コロナ禍で、YouTubeでの演技を観たのが初めてだったんですが、演じている姿が楽しそうなのが印象的でした。カーテンコールで一言一言の言葉に手の動きが付いてくるのが素敵でした。
三人姉妹というと『やっぱり猫が好き』を思い出しちゃうおじさん(特に是常さんがもたいまさこさんに重なる)なんですが、この三人の色々な物語を観てみたくなりました。
大阪は明日まで。その後、福岡へ。いいご褒美になりました。
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