彗星マジック「釈迦を汲む」見えすぎるんだ

彗星マジック「釈迦を汲む」見えすぎるんだ

今年初めての劇場観劇は彗星マジックの26景『釈迦を汲む』へ。

4年ぶりの彗星マジックですが、昨年、一人芝居フェスの『INDEPENDENT:22』で観た『名前のつかない有様に』(彗星マジックの勝山修平さんが脚本・演出)がとてつもなく心を揺さぶるものでして、これは機会があったらまた彗星マジックを観に行かなきゃと思わされたのです。

で、フライヤーの束にはこの26景の案内が……このフライヤーのデザインがまた自分の好みにバッチリハマってまして。

そんなこんなで、in→dependenttheatre2ndへ。

朗らかな初日の光さやけく新春らしからぬ、不穏な不穏な時代のお噺。 我が国はここを先途と諸外国に対し獅子奮迅の勢いで躍進するも虚しく敗退し、米、英、仏、露によって分割統治されるに致り、国民は臥薪嘗胆、クチビル噛み締め刻苦勉励の毎日であります。

さてここに御座すは絵師、記者、軍人、撮影技師、人形師、弁士、等々。 自由に往来すること叶わぬご時世の中、鹿児島から天下の米国様にご神木を献上するべく特別に発行された通行手形のご利益に縋って目論見を隠し集まった者たち也。

各々の思惑が錯綜し、風土に文化に言語の違いに悩まされ、泣いて笑って喧嘩して。 それでも続く道中記。

物語は第一次世界大戦で破れ、米英仏露の四国の共同統治下に置かれた日本が舞台。

創作活動ができなくなり、国内を自由に往来できなくなった時代、鹿児島にいた絵師や記者、撮影技師、人形師、活動弁士といった創作者が軍人に集められ、神社の神木を東京の米国に献上すべく、旅に出ることになります。 もちろんそこには、それぞれの思惑があって……

活動弁士の福原黄色(米山真理さん)をストーリーテラーに、シンプル過ぎる舞台上で11人がそれぞれの思いをぶつけ続ける熱量のある物語。

上演時間140分(内休憩10分)ということで、ちょっとだれるところもない訳じゃないんだけれども、弁士の言葉できちんと場面転換を魅せるので、グングンと物語が進んで行くのは感じられます。

11人それぞれの見せ場がしっかりとあり、特に杉並と秋山の軍人の二人は対照的に描かれており、占領下においてどうすることが国のため、人のためになるのかを単に意見の対立で描くのではなく、それぞれの個性を際立たせて見せているのがいいなぁと思います。

彗星マジックの物語は過去に観た作品もそうなんですが、登場人物が色々なことを見えすぎているために、観ている側は情報量が多くて処理しきれないところがあります。
脚本・演出の勝山さんが見えている景色をそのまま全て見せるのではなく、見ている側に見えていないところを感じる余地を残しているような感じ

それが圧倒的でクセになります。

登場人物一行を案内した街道マニアの佐田さんが「絶景です」といった景色のように、観る側それぞれに違う絶景が見えるお芝居。 今年の一発目が彗星マジックで良かったです。

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があ

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

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