- 2023年3月5日
『勝てるデザイン』のワークがデザインの「視力」を高める
昨夏からの仕事がようやく一段落ついたので、デザインの勉強を再開。「デザインを諦めない地方公務員」なので、以前からやってみ……
デザイン食堂 淀、第1回目は「ふぉんと大切」です。はい、声に出したい日本語です「ふぉんと大切」
しつこいですか、はい。
でも、デザインを考えるとき、フォントの選択は本当に大切です。
明朝体、ゴシック体、POP書体は知っていても、その使い分けが曖昧な人は多いはず。
今回は、仕事で使う文書作成に必要なフォントの基礎知識です。
ちなみに職場によってPC環境はバラバラだとは思いますが、行政組織で一般的な環境(Windows10 定期アップデートは完了)でお話しします。
Windowsでは、ワードやエクセルなどのソフトウェアを起動すると、最初に設定されている書体は「MSゴシック」の「10.5ポイント」です。本文は明朝体の方が良いという方は「MS明朝」に変えているかもしれません。
2020年1月現在の環境では「BIZ UDゴシック」の使用をおすすめします。
「MSゴシック」「MS明朝」は1992年にWindows3.1に標準搭載されたフォントです。「MSゴシック」は写真植字機用の「ゴシック-B」をベースに、当時のモニター、プリンターの性能に合わせて一部単純化したフォントです。
28年前と今とではOSもモニターもプリンターも違います。
身の回りで使われているもので28年前の物がそのまま使われているということはそれほど多くありません。
28年経って「視認性」「可読性」「判読性」に優れたフォントを使わない手はありません。
「BIZ UDゴシック」をおすすめする主な理由は次の2点
文字を目立たせるために太字(B)にすることはとても有効な手段ですが、「MS明朝」や「MSゴシック」は太字書体を用意しておらず、太字にすると単に線を太らせ「疑似ボールド体」にするため、画数の多い漢字などは字がつぶれてしまいます。
「BIZ UDゴシック」はあらかじめ標準体、ボールド体が用意されているので、文章の一部を太字にしても可読性が落ちることがありません。
「ユニバーサルデザイン」は”できるだけ多くの人が利用可能であるようなデザイン”を基本コンセプトとしたデザインの事で、フォントでは2006年に開発された「イワタUDフォント」が最初になります。
UD書体の特徴は「文字の形が分かりやすい」「読みまちがえにくい」「読みやすい」こと。
Windowsでは、(株)モリサワの「BIZ UDゴシック」「BIZ UD明朝」「UDデジタル教科書体」が導入されています。行政が発行するちらしなど、老若男女どんな方にも読んでいただくことを考えるなら、UD書体は積極的に採用していくべきです。
[blogcard url=https://www.morisawa.co.jp/fonts/udfont/]
教科書体は、一般的なデジタル文書で使用される明朝体やゴシック体と異なり、筆運びの向きや点、ハライ、画数、筆順など実際の「書き文字」に近い形になっており、小学校学習指導要領の別表でも標準とされています。
読みやすさを重視したゴシック体、明朝体は実際の「書き文字」とは違う留めはねでデザインされており、ディスレクシア(読み書き障害)を持つ児童にとっては混乱する要素になってしまいます。
UDデジタル教科書体はそういったことにも配慮された書体で、ロービジョン(弱視)、ディスレクシア(読み書き障害)の方でも読みやすいと評価されています。
硬筆やサインペンでの筆形に近いデザインのため、少し柔らかい印象の見た目になりますが、教育現場でのプリントなどでは「BIZ UDゴシック」以上に積極的に使用していくべきと考えます。
[blogcard url=https://www.morisawa.co.jp/topic/upg201802/]
では、見出しに使うフォントのおすすめはというと……
太字で使うなら「メイリオ」のボールド体、「UDデジタル教科書体」のボールド体が“一応の”おすすめです。
見出しというと、文字を大きくして太めの文字を使うことが多いようです。
よく使われているのはMicrosoft Officeを使用しているとインストールされるHG創英角POP体ですが、使いどころを考えて欲しいというのが正直なところ。
元々、POP書体はPOP(Point of purchase advertising)広告に使われる手書き文字をイメージしたデザインなので、ゴシック体や明朝体と組み合わせると浮いてしまいます。
じゃあ、本文と揃えようとして本文にPOP体を使うととにかく「読みづらい」ので、見出しにPOP体を使うのはあまりおすすめできません。
「メイリオ」や「デジタル教科書体」は標準体とボールド体で、文字の太さがしっかりとついている(「BIZ UDゴシック」は太さの差が少ない)ので、見出しに太字を使いたいならおすすめです。
個人的には、見出しに太字を使うよりも、他の要素で本文と差別化するようにしています。
こんな感じ。見出し=太い文字ではなく、文字の大きさや色を変えるだけでも見出しとして機能するということを覚えると便利です。
ウチの職場もそうですが、セキュリティなどの関係でWindows標準搭載のフォントしか使えないというのは、「伝わる」デザインには結構足かせになります。
フォントを一つ、場合によっては一文字変えるだけで、受ける印象はガラッと変わります。
色々なフォントを知って、まず使ってみるというところから、デザインの面白さを知ってもらえると嬉しいです。
ということで、まずはフリーフォント(無償で使用できるフォント)から
[blogcard url=https://coliss.com/articles/freebies/japanese-free-fonts.html]
有償ならフォントワークスさんの「mojimo」がおすすめ。同人誌の作成などに使いやすい「mojimo-manga」や、動画のテロップなどYouTuberさんにもおすすめの「mojimo-live」など、料金プランがしっかりとしているので目的に応じた利用ができます。
[blogcard url=https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1904/07/news002.html]
[blogcard url=https://mojimo.jp/]
そうそう、フォントというと欧文フォントになりますが、こんなマンガで書体知識を学ぶのも楽しいですよ。
となりのヘルベチカ マンガでわかる欧文フォントの世界 /フィルムア-ト社/芦谷國一
興味のある人は、どんどんと手を出してみてくださいね。ということで、今回はここまで。
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